本機は、フジ医療器製作所(現 (株)フジ医療器)を創業した藤本信夫が1954(昭和29)年につくった、世界初の量産型マッサージチェア第1号機である。タイル掃除用ブラシを製造販売していた藤本は、銭湯で専門職の手を使わず気軽にマッサージができる機械をつくりたいとの思いを実現するために、もみ玉に軟式野球用ボールを用いたり、アームの上下調節機構に自転車用チェーンを使用したりするなど、資材調達に苦労しながら試行錯誤を繰り返し、ようやく完成にこぎ着けた。
 側面に取り付けられたハンドルを回転させることで、もみ玉が上下に移動するシンプルな構造だったが、「人の手や道具を使って、たたく、もむ」という従来の概念を打ち破り、「椅子に座れば機械がマッサージしてくれる」という画期的な商品となった。
 2014(平成26)年に(一社)日本機械学会より「機械遺産第68号」に認定された同機は、わが国で発明された医療器械として国民生活とその福利厚生に大きな影響を与えたユニークな機械の一つであり、マッサージチェアのルーツとして今も象徴的な存在である。

所蔵 : 株式会社フジ医療器
https://www.fujiiryoki.co.jp/

引用 : 日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第68号
https://www.jsme.or.jp/kikaiisan/heritage_068_jp.html
協力・参考 : 株式会社フジ医療器 非公開(原則)
https://www.fujiiryoki.co.jp/

( vol.149・2026年11月掲載 )

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