東京佃島器械製作所製 茨城県 長井戸沼耕地整理組合(現、長井戸沼土地改良区)向け 両吸込渦巻ポンプ (「世界の水環境・社会基盤を支えるポンプ」日立評論2008年9月号より)
さまざまな産業と社会インフラにおける水の移送、汲み上げ、循環に欠かせない日立ポンプ。その歴史は、1907年に設立された東京佃島機械製作所(日立製作所 亀戸工場の前身)が手がけていた鉱山向けの小型ポンプにまでさかのぼります。以来、時代の変化、社会の要請に応じて、さまざまなポンプを開発。社会の発展、暮らしの向上に貢献してきました。
参考:「日立製作所三工場の生立回顧 亀戸工場の生立を回顧して」
   「日立製作所創業100周年記念シリーズ 開拓者たちの系譜 世界の水環境・社会基盤を支えるポンプ」(いずれも日立評論)
画像1: 【日立産機の技術者たち】
産業と社会インフラの脈動を支える
日立ポンプ誕生と事業拡大のストーリーをたどる

株式会社 日立産機システム
インフラシステム統括本部 
水環境社会システム事業部
風水力機械設計部
部長 岡田幸司

150馬力の大型ポンプから始まったポンプ事業の本格化

 鉱山向けの小型ポンプの開発・生産から始まった日立のポンプ事業が本格化したのは、日立製作所 亀戸工場(現、日立産機システム 習志野事業所のルーツ)が誕生した1918年のこと。干拓事業に必要な排水用の150馬力大型渦巻ポンプを開発し、8台を納入したことが評価され、大型ポンプ事業の基礎が築かれました。この成功を機に、その後の技術進化により、大容量化とともにポンプ効率などの性能が大きく向上していきます。

 戦後の復興期から高度経済成長期には、農地用、炭鉱用ポンプの開発・生産が加速。使われる場面も炭鉱用から干拓用の排水、水力発電の揚水、上下水道と広がり、揚程(水を汲み上げる、または押し上げることができる高さ)、容量、出力などが異なるさまざまな種類のポンプの事業化が進展しました。また、1960年代に入る頃にはポンプ事業が移管された日立製作所 亀有工場において、一般産業向け汎用ポンプの事業展開も本格化し、日本の近代化と高度成長を支える日立ポンプの存在感が高まっていきました。

 創業当時からの歴史を振り返ると、例えば、羽根車に大きなダメージを与えるキャビテーションを抑えるための解析技術や生産設備が今ほど整っていなかった時代に、設計や生産を担う先輩方が直面した困難は計り知れないものがあったと思います。一枚の設計図を描くにも、計算や試作を繰り返し、失敗と改善を重ね試作にこぎつけてもポンプが思うように動かなかったこともあったでしょう。生産段階では、品質管理技術が今ほど体系化されていなかったこともあり、設計者と生産技術者が緊密に連携し、意見をぶつけ合いながらも知恵や工夫をこらしてより良いモノづくりを実現するために、大変な努力を重ねていたはずです。

画像: 栃木県足利市上下水道で使用された後、習志野事業所に寄贈された1930年製のタービンポンプ

栃木県足利市上下水道で使用された後、習志野事業所に寄贈された1930年製のタービンポンプ

総合力を活かして発展する日立グループ3社のポンプ事業

 創業時からの伝統を活かし、産業の発展と社会インフラを支えてきた日立のポンプ事業は、現在、日立グループ内の日立産機システム、日立インダストリアルプロダクツ、日立グローバルライフソリューションズが、それぞれの歴史と知見、そして技術力を活かしつつ、3社が連携して幅広いラインナップを展開することでニーズに応えています。

 日立産機システムは、習志野事業所において、産業用ポンプを中心に、給水・排水、冷却、循環、送水など多様な産業に貢献する陸上ポンプや水中ポンプ、自動給水ユニットなど、幅広いラインアップを展開。設計・生産技術と「品質第一」「現場主義」「挑戦と改善」の精神を受け継ぎ、お客さまから高い信頼を得ています。日立インダストリアルプロダクツは、重工業や石油・ガス、発電所などの過酷な環境や特殊用途に向けた高性能ポンプを開発・生産。高度な技術力と実績を背景に、中東や北米の石油精製プラント、発電所などの大型プロジェクトにも参画しています。日立グローバルライフソリューションズは、家庭用・ビル用の給水ポンプや環境対応型ポンプなどの製品を展開し、省エネルギーや静音設計など、ユーザー視点の開発力を活かして、アジアや欧州の都市インフラ整備にも貢献しています。

今後のポンプ開発の方向性を見通す

 日立ポンプは、今、次世代のポンプ開発に挑戦しています。開発テーマとしては、カーボンニュートラルの実現やSDGsをめざす観点から、より高効率で環境負荷の少ないポンプ、IoTやデジタル技術、センシング技術を結集し、状態監視や予知保全を実現するポンプ、市場の多様なニーズに応える柔軟な設計によりカスタマイズ対応力を高めたポンプなどを想定しています。

 今後も、「品質第一」は日立の大切な伝統です。モノづくりの伝統と強みをしっかりと継承しつつ、過酷な環境下でも長期間安定して稼働するポンプづくりのためにも、若手技術者の育成や現場の知見のデジタル化・体系化を進めてまいります。そして、先人の情熱と志の高さに思いを馳せ、ポンプづくりを担う誇りと使命感を今一度深く刻み込みたいと願っています。

画像1: 今後のポンプ開発の方向性を見通す

 

画像2: 今後のポンプ開発の方向性を見通す

「水を止めない」という使命とともに、
進化を重ねた自動給水ポンプユニット
 
ポンプ、インバータ、モータ。当社 習志野事業所が磨き続けてきた技術を結集して誕生した
「インバータ・ウォータエースシリーズ」は、省エネルギー、高効率、安全性、
使いやすさを追求しながら進化を重ね、暮らしと産業に欠かせない「水」を届け続けてきました。
発売から30年の本年。次世代のポンプ開発に向けた新たな挑戦がすでに始まっています。

株式会社 日立産機システム インフラシステム統括本部
水環境社会システム事業部 風水力機械設計部 ポンプ設計グループ
■ 小宮山晃浩 グループリーダ主任技師
■ 富田敏夫 主任技師
■ 小堀智之 技師

インバータポンプ制御を実現した 画期的な自動給水ユニットの誕生

小宮山 インバータジュニア・ウォータエース(以下、IJ)は、日立製作所 習志野工場(現、日立産機システム 習志野事業所)が培ってきた汎用ポンプとモータの開発・生産技術、そしてインバータによってモータを高度に制御する技術を結集し、その強みを最大限に活かして開発した、日本で初めてポンプ専用ソフトウェアをインバータに搭載した自動給水ユニットでした。その開発目標は何でしたか。

画像: IJ開発前の初期「ウォータエース」

IJ開発前の初期「ウォータエース」

岡藤 IJが発売された1995年は、私がまさにIJの制御ソフトの設計部門に配属された年です。それまでの給水ユニットは、リレーによってポンプを「動かす・止める」という制御が基本でしたが、インバータに進化したマイコンを内蔵し、ポンプ制御を組み合わせたインバータポンプ制御を搭載することで、使用する水量に応じてポンプの回転数をきめ細かく制御し、必要な水量を安定して供給できる自動給水ポンプユニットをめざしました。

小宮山 当時、インバータは主に中・大型設備向けのポンプに使われるもので、高性能である一方、高価でした。IJは、習志野工場で開発された先進の小型インバータを搭載することで、小容量の給水ユニットにもインバータポンプ制御のメリットを取り込み、幅広い施設で利用できる給水ユニットとなりましたね。

富田 開発で最も重視したのは、需要に応じて必要な水を最適な水圧で施設の隅々にまで供給することと、何があっても「断水させない」ことでした。信頼性を高めるため、インバータとポンプを二重化し、1台が故障しても、もう1台のポンプで給水を継続できるシステムを実現しました。これでトラブル時でも安定した水圧を保つことができ、例えばシャワー使用時の温度変化も抑制。さらに省エネ性能や耐久性を高め、接水部にはステンレスを採用して赤水を防止するなど、「きれいで安全な水」を安定して届けることに徹底してこだわりました。

小宮山 インバータに搭載するポンプ専用ソフトウェアの開発において、大きな壁となったのが、給水設備ならではの制御思想だったそうですね。一般的な産業機器では、異常があれば安全のために「止める」のが基本ですが、人々の暮らしを支え、場合によっては生命にも関わる給水設備は、簡単に止めるわけにはいきません。万一、圧力センサが故障しても、電流値を監視することで運転を継続し、断水を回避するためのソフトウェア開発には、大変苦労したと聞いています。

堀田 この難題を乗り越えることができた背景にも、ポンプ、インバータ、モータを同じ拠点で開発・生産していた強みがあります。試行錯誤をためらうことなく繰り返すことができる環境に恵まれていたと思います。

小堀 IJの完成によって、インバータポンプ制御によるポンプの利便性が広く知られるようになり、市場が大きく拡大していったわけですね。

富田 当時、集合住宅では、高架水槽から各戸へ給水する方式から、受水槽からポンプで水を給水する加圧給水方式へと移行していました。小型化と高い信頼性、さらにユニット化による施工性を実現したIJは、こうした時代の変化を捉え、活躍の場を広げていきました。IJは、安全でクリーンな水を、必要なだけ、止めることなく届けることができる画期的な自動給水ユニットであり、品質や性能、アフターサービスに優れた住宅部品(BL部品)として一般財団法人ベターリビングに認定されました。

画像: 株式会社 日立産機システム インフラシステム統括本部 水環境社会システム事業部 戦略企画部 部長 斎藤信彦

株式会社 日立産機システム
インフラシステム統括本部 水環境社会システム事業部
戦略企画部 部長 斎藤信彦

業界最高水準の性能を発揮するインバータ・ウォータエース

富田 インバータ・ウォータエース(以下、IJ2)の開発が始まったのは2005年。私はポンプ専用の制御ソフトウェアの開発部門に配属され、進化した制御機能をコンパクトな基板に搭載することに専念しました。

岡藤 開発の背景には、大規模マンションや商業施設の増加がありました。建物の大型化に伴って必要な水量も増え、大型ポンプを導入する施設が増えていました。しかし、大型ポンプは使用水量が少ない時にも大きな能力で運転するため、効率面で課題があります。そこで、小型ポンプを複数台組み合わせ、必要な水量に応じて運転台数を自在に制御できる給水ユニットの開発を急ぎました。

富田 挑戦したのは、小型ポンプを最大6台まで連結・制御するシステムです。IJではインバータ同士の通信で稼働台数を制御していましたが、IJ2では表示装置を動かす「制御基板」と、インバータに接続する「デジオペ基板」を産業用通信で接続。使用水量が少ない時は少ない台数で、大量の水が必要な時は複数台を連動させ、小水量から大水量まで効率よく、きめ細かく対応できるようになりました。

小宮山 通信面の開発では、ノイズなどによる通信異常が頻発しましたね。配線方法の見直しやノイズ抑制機器の追加、さらにポンプ専用ソフトウェアの調整を繰り返し、試行錯誤の末、安定した連動制御を実現しました。

小堀 使いやすさも大きく進化しました。IJでは故障内容や設定値がアルファベットと数字で表示され、取扱説明書を確認しなければ意味が分かりませんでしたが、IJ2では他社に先駆けてカタカナ、英・数字による表示を採用。「アツリョクタンク コウカンジキデス」など、故障内容や設定状態をその場で確認できるので、メンテナンス性が飛躍的に向上しました。

富田 ハードウェアも進化しましたね。ポンプ本体としてステンレス製多段モートルポンプ「NJP2」を開発し、低騒音化、高性能化、小水量領域への対応を実現しました。当時は現在ほどシミュレーション技術が発達していなかったため、実機試験を何度も重ね、モータ出力や羽根の形状にも新たな工夫を加えました。この積み重ねが、後の解析技術や制御ソフトウェアの高度化にもつながっています。

岡藤 こうして開発開始からわずか2年後の2007年、IJ2は市場に投入されました。大規模施設の大容量給水と省エネを両立する給水ユニットとして、IJから大きな飛躍を遂げました。

画像: 株式会社 日立産機システム インフラシステム統括本部 水環境社会システム事業部 制御システム部 開発グループ 兼 風水力機械設計部 ポンプ設計グループ グループリーダ 主任技師 岡藤啓

株式会社 日立産機システム
インフラシステム統括本部 水環境社会システム事業部
制御システム部 開発グループ 兼 風水力機械設計部 ポンプ設計グループ
グループリーダ 主任技師 岡藤啓

広域・遠隔での 設備監視を実現した「FitLive※」への対応

小堀 設備監視サービス「FitLive」に対応したインバータ・ウォータエース(以下、IJ3)の開発は2020年にスタートし、2022年8月に第1号機を出荷しました。ポンプは建物の奥まった場所に設置されることが多く、異常を把握し、迅速に対応するためには定期的な巡回が必要です。しかし、現場では技術者不足が進み、異常の発見が遅れ、ポンプが停止して初めて故障に気づく場合もありました。

富田 IJ3では、キャリア通信を活用した「FitLive」により、ポンプのさまざまな稼働データを設置場所から離れたオフィスなどで監視できます。常時ポンプの状態を見守り、異常が発生した場合には即時にメールで通知するとともに、トラブルへの対応策を提案します。また、故障発生前に部品の交換時期を知らせることで、予防保全にもつなげることができます。

小堀 開発では、それまで制御盤内だけで扱っていたポンプの稼働データを、外部へ出力できるシステムを構築しました。どのデータを取得すれば効果的な遠隔監視につながるのかを何度も検討し、IJシリーズの開発で培ってきた通信・制御技術を進化させました。また、自動運転を継続しながら1台のポンプを個別に手動運転へ切り替える機能も搭載しました。これで水を止めずに保守・メンテナンスができるため、施設管理者と利用者双方の利便性向上に貢献することができました。

富田 既設のIJ2も、現地で改造することで「FitLive」に対応可能としました。ポンプ室へ足を運ばずに状態を監視でき、保守管理の省力化につながります。こうした設備監視機能を他社に先駆けて実現したことで、BL部品の中でもBL-bs(社会貢献優良住宅部品)の認定を取得し、IJ3の価値をさらに高めました。

小堀 IJシリーズで蓄積してきた膨大な運転データと制御・監視のノウハウは、今後、大型・中型ポンプにも活用できます。さらに、インバータを搭載していないポンプからも直接データを取得し、稼働状態を遠隔から監視することも可能です。今後も、設備を見守る技術の適用範囲をさらに広げ、最適な制御と予防保全によって、「設備を止めない安心」という価値を提供していきたいと考えています。

※「FitLive」は、IoT対応により、セキュアな監視システムを確立した設備監視サービスです。
 「FitLive」は、株式会社日立産機システムの登録商標です。

画像: ダイレクト・ウォータエースの特長を語る小宮山

ダイレクト・ウォータエースの特長を語る小宮山

画像: IJ3の構造を語る富田

IJ3の構造を語る富田

飛躍的な進化が期待される次世代ポンプ

斎藤 IJ3では「FitLive」を通じてさまざまなデータを収集しています。今後はそのデータを活用し、より精度の高い予兆診断や保守・点検サービスを実現したいですね。製品に加え、そのライフサイクル全体を支える保守サービスにおいても、当社の強みを発揮できるはずです。

小堀 「FitLive」では、お客さまからのお問い合わせに対し、生成AIが取扱説明書を参照して回答するサービスも実現しています。今後は、ポンプが使われている現場の環境や、ポンプそのものの状態をリアルタイムでデータ化し、AIと組み合わせることで、新たな技術やサービスの開発につなげていきたいです。

小宮山 ポンプそのものにも大きな進化の余地があります。モータは高効率化の面で著しい進化を遂げています。その性能をポンプ全体の効率向上につなげるためには、コントローラや制御技術をさらに進化させる必要があります。安定制御の高度化に加え、羽根形状などの部品レベルでも改善を重ねることで、さらなる省エネを実現できます。小型化や軽量化も含め、ポンプの可能性はまだまだ広がっていくと思います。

斎藤 日立グループでは、フィジカルとデジタルをつなぐ次世代型AIソリューションの提供を通じて、産業の変革と豊かな社会の実現をめざしています。日立ポンプもまた、この大きな潮流の中にあります。これまでに培ってきたポンプ技術と最新のデータ解析技術、センシング、AIなどを融合し、設備の稼働状態を自ら把握し、最適な運転や保守につなげていく「スマートポンプ」の実現に向けて、ポンプ事業をさらに進化させていきたいと考えています。

画像: IJ3の特長を語る小堀

IJ3の特長を語る小堀

  

画像: ポンプ生産ライン全景

ポンプ生産ライン全景

画像: 最終チェックを行うIJ3の出荷試験

最終チェックを行うIJ3の出荷試験

画像: ステンレス製モートルポンプ(手前)

ステンレス製モートルポンプ(手前)

画像: 消火ポンプの生産ライン

消火ポンプの生産ライン

画像: 中型ポンプの塗装ライン

中型ポンプの塗装ライン

画像: 水道直結増圧給水ポンプユニット ダイレクト・ウォータエース

水道直結増圧給水ポンプユニット
ダイレクト・ウォータエース

画像: IJ3の制御パラメータの調整

IJ3の制御パラメータの調整

画像: HEポンプ5台が並ぶ習志野事業所 工業用水圧送ポンプシステム

HEポンプ5台が並ぶ習志野事業所 工業用水圧送ポンプシステム

画像: ポンプシステムの制御盤と監視画面

ポンプシステムの制御盤と監視画面

画像: IoT対応産業用コントローラ HXを使った 遠隔監視・制御システム

IoT対応産業用コントローラ HXを使った
遠隔監視・制御システム

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■ 日立産機システム 習志野事業所 技術教育センタ

習志野生まれの製品の
拡販と保守を支える専門技術研修

当社 習志野事業所 技術教育センタは、モータやインバータをはじめとする
ドライブシステム、さまざまな汎用ポンプとブロワやファン、
IoT対応産業用コントローラやPLCなどの製品を対象に、
特約店・販社・販売店様や自社スタッフ向けに専門技術研修を広く展開。
事業拡大とメンテナンスサービスを支える人材を育成してきました。

画像: 株式会社 日立産機システム インフラシステム統括本部 ドライブシステム事業部 生産管理部 部長 兼 習志野事業所 技術教育センタ センタ長 甲州 亘

株式会社 日立産機システム
インフラシステム統括本部 ドライブシステム事業部 生産管理部 部長
兼 習志野事業所 技術教育センタ センタ長 甲州 亘

センタと全国の分校で展開する高い品質の専門技術研修

 日立産機システム 習志野事業所 技術教育センタは、1979年8月に「習志野電子制御技術学校」として設立され、当初はモータやPLCなどの製品を対象に技術研修を展開していました。現在は、習志野をはじめ、中条、多賀、勝田、相模の各事業所で、それぞれの主力製品を対象とした専門技術研修を展開しています。
 当事業所の技術教育センタの特徴は、事業所内のセンタ以外に、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡に置かれた支社内に分校を展開し、それぞれがポンプやインバータなどを対象に、センタと同水準の技術研修を実施していることです。これらの分校は、日立製作所 習志野工場時代の先輩たちが力を尽くして開設したものです。全国の特約店・販社・販売店様の営業スタッフやサービスエンジニアに専門技術研修を提供することがエンドユーザー様の期待やニーズに応え、当社製品の市場拡大につながると考えたためです。特に、ポンプやインバータに関する受講希望者は、当センタだけでは受け入れ切れないほど多いので、5つの分校の存在は、ますます重要になっています。
 いずれの製品向けのコースでも、受講資格は実務経験2年以上とし、初級レベルから学びたいという方は、センタのプログラムではなく、eラーニングや各支社で提供する基礎的な製品研修を受けていただき、その上でセンタで開催される専門技術研修を受講していただきます。ここでは座学に加え、それぞれの製品の実機に触れ、機能を理解するために操作したり、時には分解し再度組み立てたりすることで、製品の構造や操作方法、あるいは複雑な設定などの実体験を通じて、学んだ知識を実践的な技術として習得できます。

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ポンプの機能や構造を体で学び、お客さまのニーズとご期待に応える

 近年受講希望者が増加しているポンプ研修は、1984年4月から始まり、「ポンプ基礎」「ポンプサービス」「ポンプ省エネ提案」など、レベルや目的に応じた専門技術研修を実施しています。特徴は、実機を使った実践的な教育を重視していること。実際にポンプを見て、触れて、動かしながら学ぶことで、座学だけでは得られない実践的な理解を深めていただけます。さらに、ポンプの構造や動作原理を学ぶほか、実習機を用いて運転データを取得・分析し、省エネ提案に必要なスキルを身に付ける演習も行っています。
 ポンプは、省エネルギー化、高効率化、IoTを活用した遠隔での設備監視サービス「FitLive」など、製品の高機能化が進んでいます。また、ポンプは構造や出力、機能などの種類が多く、エンドユーザー様の用途や設置環境に応じた最適な機種選定、据付、運転・保守に関する知識が重要です。エンドユーザー様は、省エネルギーや設備の安定稼働、メンテナンス性の向上など、より高い付加価値を求めているので、専門技術研修を通じて製品知識はもちろんのこと、実際の使用現場で役に立つノウハウを習得し、提案力や現場対応力向上につなげていくことができます。

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進化するポンプとともに、専門技術研修の進化をめざす

 ポンプ受講者が増え続けている背景には、過去に受講された方がその効果を実感し、後輩に勧め、その後輩も学んだことを活かして活躍するという良い循環があります。当事業所で開催する研修コースでは、ポンプ生産ラインを実際に目のあたりにできる機会や、事業所内の制御を自動化した工業用水圧送ポンプシステムの稼働ぶりも見ていただくことができます。受講者からは、「ポンプの構造やトラブル事例を体系的に学ぶことができた」「事故につながるキャビテーション発生時の不良状態を実機で確認し、音や水の流れまで体感できた」などの声をいただいています。
 今後も社会動向の変化や技術進化に合わせて研修内容を常にアップデートし、当社の事業拡大につながるより実践的なプログラムへと進化させていきたいと考えています。製品や市場の要求が高度化する中で、現場で本当に役立つ知識・スキルを提供し続けられるよう当センタを育ててまいります。

画像: さまざまなポンプの実機や検査装置が用意された技術教育センタ

さまざまなポンプの実機や検査装置が用意された技術教育センタ

( vol.149・2026年11月掲載 )

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