
浜松研究所
パナソニック株式会社 草津拠点
代表取締役社長執行役員 CEO:品田正弘
設立:1918(大正7)年
所在地:
[本社]東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル
[H2 KIBOU FIELD]滋賀県草津市野路東2丁目3番1-1号
従業員数:3,401人
事業内容:家電・空質空調・デバイス等の開発・製造・販売
https://www.panasonic.com/jp/about.html
CO2排出量実質ゼロ化を実現する、純水素型燃料電池を活用した実証施設の全容
カーボンニュートラルの実現に向けてパナソニックグループが掲げる長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」に基づき、水素の本格活用という新たな選択肢の提案を通じて脱炭素社会の実現に貢献する純水素型燃料電池を活用した実証施設「H2 KIBOU FIELD」がパナソニック株式会社 草津拠点に開設。2022年4月15日に稼働を開始して以来、運用は順調に進み、新たなチャレンジが成果を結びつつあります。

草津拠点内の「パナソニック ショウルーム 滋賀」
同施設の建設と維持・運用を担ってきたパナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 人事センター 総務部 施設環境課 課長の中山和明様は、「この施設は、純水素型燃料電池と太陽電池、さらに蓄電池を連携させた自家発電により、事業活動で使うエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄う『RE100※ソリューション』の実証を目的としています。約6,000㎡の敷地に5kW純水素型燃料電池99台(495kW)と太陽電池(約570kW)を組み合わせた自家発電設備、余った電力を蓄えるリチウムイオン蓄電池(約1.1MWh)を設置し、この3電池連携による最適な電力需給運用に関する技術開発と検証のために、発電した電力を草津拠点内の燃料電池工場 製造部門の全使用電力として供給しています」と、施設の概要を紹介されました。

「H2 KIBOU FIELD」全景
中山様をはじめとする施設環境課の皆さまは、2021年4月に「H2 KIBOU FIELD」プロジェクトが発足した段階から法規対応、竣工、稼働開始、維持管理、現在に至るまで同プロジェクトを支えてきましたが、いずれもその意義の大きさにやりがいを感じていたといいます。電気の専門家である同課の石井直行様は、「RE100をめざすということは、省エネではなくエネルギーの転換というまさにイノベーションを実現することなので、身が引き締まりました」と振り返ります。エネルギー管理を担当する菅沼久和様も、「3種類の電池を連携して燃料電池⼯場 製造部⾨の全電⼒を賄うためには、施設環境課がすべての力を発揮しなければ、との思いが徐々に大きくなったことを思い出します」と語ります。
※ 企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことをめざす国際的なイニシアティブ

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社
人事センター 総務部 施設環境課 課長 中山和明 様
環境と電気、施設運用・管理のプロが支えたプロジェクトの推進
同プロジェクトにおいて施設環境課が果たした役割は多岐にわたりました。「まずプロジェクトのコンセプトに合わせて最大の効果が得られるような土地を、工場立地法、日射条件、複合的な開発・生産拠点である草津拠点の特徴を踏まえて懸命に探しました」と中山様。同課のエネルギー管理係 係長の菅原勢也様は、「電力会社への系統連系の申請手続においては、今回は太陽光発電に加え、大規模な純水素型燃料電池、蓄電池を運用するので、仮に草津拠点内で電気事故が発生しても電力会社の系統に絶対に影響を与えないシステムを構築していることを説明し、ご理解いただくことに注力しました」とご苦労を語りました。同課のミッションは、プロジェクトをスケジュール通りに遂行するために欠かせないインフラ整備ともいえます。「H2 KIBOU FIELD」では、法規制や電力会社への対応はもちろんのこと、「RE100ソリューション」にふさわしい、効率的な発電、蓄電、配電システムを具体化するための関連設備・機器の選定や電気設計・工事の実施、管理なども担いました。

「RE100ソリューション」実証施設のシステム構成
石井様は、「この施設を支えている重要な設備の一つが日立産機システムさんのアモルファス変圧器です」と語ります。「純水素型燃料電池と太陽電池、リチウムイオン蓄電池をつなぎ、非常に高い効率で変圧機能を発揮するとともに、今後の設備の拡張にも対応できる容量の機種を選定しました。また絶縁油に生分解性を有する自然由来の大豆油を使っている機種に関しては、その高い環境性能の観点から積極的に採用しました」との評価をいただきました。また、変圧器とともに電気事故から設備を守る高圧真空遮断器もグリースレスの構造で故障率が低減できることや、メンテナンス周期の延伸が可能な点をご評価いただきました。これらの電気設備の導入にあたり、同課をサポートしてきたのが株式会社 かんでんエンジニアリング様です。中山様は、「竣工日が決まっていたので、いかに安全、確実、かつ効率良く工事ができるか、また各設備メーカーさんと連携し、最適な納品スケジュールを組んでいただくなど、全体の工程管理に至るまでご協力していただきましたね」とその役割をご紹介されました。

出力約570kWの太陽光発電システム

フィールド全体を守る管理棟(左)
容量7.8万Lの液化水素タンク(右)

容量約1.1MWhのリチウムイオン蓄電池(左)
出力495kWのパナソニック製 純水素型燃料電池(右)
カーボンニュートラル実現を牽引するために取り組むチーム力の向上と勉強
「プロジェクトに関わった多くのスタッフや協力会社さんなどの努力の甲斐もあって、『H2 KIBOU FIELD』は稼働開始以来、広く注目して頂き、多くのお客さまがご見学のためにお越し下さっています。私たち施設環境課もお客さまをご案内しながら、年々進化を遂げていることを実感しています。特に天候の変化にエネルギーマネジメントシステムが高度に対応し、工場で必要な電力のほぼ100%を供給できているので、大変うれしく思っています」と中山様は現状の成果をご紹介されました。

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 人事センター 総務部 施設環境課
エネルギー管理係 菅沼久和 様(左)
エネルギー管理係 係長 菅原勢也 様(中)
石井直行 様(右)
また、このプロジェクトの成功もあって、社内では同課の位置付けが変わってきたといいます。拠点の運用において、なにか新しい取り組みを始める前に、一度施設環境課に相談しようという流れができつつあるのです。中山様は、「当課がこれまでに蓄積してきた工場立地や建築、環境面などにおける法や条例、各種規制に関する知識や対応のノウハウがこれまで以上に重要なものになってきているのです。また、当課の位置付けが変わってきたことで、今までどおりの知識やスキルに満足していてはいけないと感じています。また私たちは、草津拠点以外の拠点においても施設管理のプロフェッショナルとして他拠点を応援、サポートすることもあります。そのミッションを達成するためにも、日々新しい課題に向けてスキルアップし、勉強しなければいけないので、日立産機システムさんのようなメーカーさんとともに、最新の技術や製品を学んでいきたいと思っています」とのお言葉をいただきました。
日立産機システムは、株式会社 かんでんエンジニアリング様、関西日立さんとともに、お客さまのご期待にさらにお応えできるような製品・システム、ソリューションをご提案し、パナソニック株式会社様がめざす長期環境ビジョンの実現に貢献してまいりたいと考えています。

日立環境調和型変圧器 Superアモルファス奏

変圧器や高圧真空遮断器などを収めたキュービクル(左)
日立ハイブリッド形高圧真空遮断器(VCB)(右)

気密試験に欠かせない日立窒素ガス発生装置(N2パック)(左)
動力源として活躍する日立オイルフリースクリュー圧縮機(右)
「提案力」「現場力」「技術力」の3つの力でお客さまにお応えします
当社は、「H2 KIBOU FIELD」内のキュービクルの設計や変圧器などの設置工事、同施設と工場をつなぐケーブルの敷設工事などを担当させていただきました。同施設と電力会社との連携で逆潮流が発生しないような制御の方法を送電先の工場棟の電気設備の制御と合わせて検討し、ご提案しました。パナソニック株式会社様とは草津拠点様以外でもご提案する機会をいただいているので、今後も日立産機システムさん、関西日立さんとも協力してお客さまに貢献してまいりたいと思います。

株式会社 かんでんエンジニアリング
滋賀支店 電設グループ 原直士 様
お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—
アモルファス変圧器の環境価値を、多くのお客さまに知っていただけるきっかけとなりました
超高効率を実現した変圧器「SuperアモルファスZero」と、同シリーズのフラッグシップモデルともいえる環境調和型変圧器「Superアモルファス奏(かなで)」を、パナソニック株式会社様の純水素型燃料電池を活用した実証施設「H2 KIBOU FIELD」に導入していただき、大変うれしく思っています。入社以来、関西日立さんと草津拠点をたびたび訪問し、自分なりに勉強を重ねつつ製品の素晴らしさをお客さまにお伝えしてきました。アモルファス変圧器は、お客さまの環境意識の高まりとともに市場での認知が広がってきました。製品のポテンシャルはとても高いので、これからもさらに多くのお客さまのご期待にお応えしていきたいと思っています。

株式会社 日立産機システム
営業統括本部 関西支社
第二営業部 配電システムグループ
成尾直香
RE100に貢献するグリーンプロダクトのフラッグシップ製品をご採用いただきました
パナソニック株式会社様の草津拠点にお伺いする中で、純水素型燃料電池を活用した実証施設「H2 KIBOU FIELD」のプロジェクトに出会い、お客さまと施工を担当された株式会社かんでんエンジニアリング様に当社製品の優れた環境性能を的確にアピールすることができました。お客さまは環境意識が高い電気の専門家であり、勉強熱心な方ばかりです。日立産機システムさんと力を合わせてプロジェクトの完遂に貢献できたことは一番の喜びです。ありがたいことに、本プロジェクトをきっかけに他の拠点にもお伺いできる機会をいただくことができ、GXを推進する当社の取り組みも加速することができました。
関西日立株式会社
京滋支社
産業システム1部
チームリーダー 野々村圭祐

ご採用いただいた製品
変圧器
超高効率変圧器 SuperアモルファスZeroシリーズ
環境調和型変圧器 Superアモルファス 奏(かなで)シリーズ
鉄心に最新のアモルファス合金を採用し、
変圧器の無負荷損(待機電力)を低減した超高効率変圧器
トップランナー変圧器2014への対応はもちろん、油入/モールドともに圧倒的な省エネ性能の超高効率アモルファス変圧器や、絶縁油に生分解性を持つ大豆油を採用し環境に配慮したアモルファス変圧器をラインアップ。油入、モールド変圧器など、設置場所により豊富なラインアップからお選びいただけます。
主な特長
1. 超高効率、省エネ性能
アモルファス合金を鉄心に採用することで無負荷損を大幅に低減した超高効率を実現。2026年度から始まる新たなトップランナー基準へも対応。
2. 耐震性能、相対変位抑制への対応
地震災害における耐震性能を考慮し、耐震2Gでの対応を強化。耐震対応とするため構造を見直すことで、さまざまな場所で確かな性能を発揮します。
3. 環境に優しい植物由来の大豆油を使用
Superアモルファス奏の絶縁油には、自然界の微生物によって分解される性質(生分解性)を持つ大豆油を使用。安全性が高く、環境負荷の低減に貢献します。

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( vol.137・2024年11月掲載 )