主力商品の「ワンカップ大関」と「横綱は強いようでもどんづまり 私がかうならのびる大関」と書かれた広告コピーの書
1711年の創醸以来培ってきた醸造技術と「魁(さきがけ)精神」を継承し、いつの時代も新たな分野に挑み続けてきた大関株式会社。暮らしに欠かすことができない地域の風土や歴史に根差した食文化の価値を創造し、お客さまや社会に役立つ企業として発展を遂げてきました。今回は、同社の酒造りのこだわりと、主力商品である「ワンカップ大関」やパック詰め商品のトレーサビリティ確保に貢献する日立産機システムの産業用インクジェットプリンタをご紹介します。
画像1: 【お客さま導入事例 vol.179・産業用IJプリンタ】
大関株式会社

独自の醸造技術を活かした清酒・酒類の事業拡大とともに
新しい食文化創造への貢献をめざす

大関株式会社

代表取締役社長:長部訓子
創業:1711(正徳元)年
所在地:西宮市今津出在家町4番9号
従業員数:343名(2026年4月1日現在)
事業内容:清酒などのアルコール飲料、食品類の製造販売、化成品開発販売 他
https://www.ozeki.co.jp

画像: 大関株式会社 製品部製品グループ 課長 大滝雅史 様

大関株式会社 製品部製品グループ
課長 大滝雅史 様

創醸300年を超える蔵元の誇りと「魁精神」が生きる酒造り

 兵庫県神戸市と西宮市の沿岸部に連なる西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の5つの地域からなる灘五郷は、日本を代表する酒どころ。優れた酒米と「宮水」と呼ばれる上質の地下水、寒造りに適した強くて冷たい六甲颪(おろしや)丹波杜氏の酒造技術を活かした銘醸地として発展し、現在も日本の三大酒造地の一つとして人々に愛される酒文化をリードしています。

 大関株式会社は、西宮郷と今津郷を結ぶ「酒蔵通り」に本社を構える国内屈指の蔵元です。その歴史は、江戸時代中期の1711年、初代大坂屋長兵衛が「大坂屋(おおざかや)」を屋号として今津村に創醸したことから始まります。江戸期、明治・大正時代を経た同社にとって大きな発展の契機となったのは、1964年、一升瓶から銚子に注いで飲むことが主流であった時代に、いつでもどこでも気軽に飲める「ワンカップ大関」を業界にさきがけて開発したこと。東京オリンピックの開幕日に発売が開始されると、日本酒業界に革命的な変化を巻き起こしました。その後、1979年に、日本の大手酒造メーカーとして初めて米国カリフォルニア州において現地生産を開始。1991年には、「大関株式会社」に社名を変更して、日本酒市場の変化に向き合い、常に挑戦的な取り組みを進めてきました。そして2017年、創業家出身の長部訓子様が代表取締役社長に就任すると、日本酒の未来を開く新しいプロジェクトが次々と動き出しました。

画像1: ガラス張りの仕込み場から醸造工程を見学できる「魁蔵」

ガラス張りの仕込み場から醸造工程を見学できる「魁蔵」

 2021年、醸造技術を活かした「大関醸(かも)す」ブランドを立ち上げ、発酵技術を活かした酒類以外の商品群を展開。同年秋には、創醸310周年を機に「創家 大坂屋」ブランドを立ち上げ、純米大吟醸酒の発売を開始。2022年には、有機JAS認証を取得した有機米使用純米酒「#J(ハッシュタグジェイ)」を発売。さらに2025年、マイクロブリュワリー(小規模醸造所)である「魁蔵」が竣工。丹波杜氏の技の継承と若手社員の育成を目的に、挑戦的な酒造りが始まりました。

 現在同社では、ワンカップ、純米大吟醸、大吟醸、純米酒、発泡性特別純米酒、生貯蔵酒、リキュール・梅酒など、多彩な商品を展開していますが、仕込みや醸造以降の、火入れ(加熱殺菌)、ろ過、貯蔵、びん詰め、出荷までの工程すべてを担うのは、同社 製品部製品グループ 課長の大滝雅史様です。

多彩な酒造りを支える繊細な感性と技術

画像2: ガラス張りの仕込み場から醸造工程を見学できる「魁蔵」

ガラス張りの仕込み場から醸造工程を見学できる「魁蔵」

 製品部製品グループでは、「寿蔵」、「恒和蔵」の2つの蔵で醸造された酒を調合グループがブレンドしたのち受け入れ、火入れ、瓶や紙パックなどの容器への充填、ラベル貼付やトレーサビリティを確保する製造年月日の印字を行い、確かな品質の商品へと仕上げ、お客さまに向けて出荷するという重要な役割を担っています。

 「製品グループでは、第一瓶詰め工場、本社工場、第二瓶詰め工場の各プラントでさまざまな商品を生産しています。第一瓶詰め工場では、180mlから一升瓶の各容量の瓶に、生酒や大吟醸、さらに『創家大坂屋』などの新ブランドの高級酒を詰めるプラントがあります。主に低速ラインなので、いろいろな手法を使ってバラエティ豊富な商品をつくることができます」と紹介される大滝様。「本社工場には、『ワンカップ180ml』専用の高速ラインやリキュール、レモンサワーなどを充填する紙パックラインがあります。高速ラインでは1分間に500本、1時間に3万本を充填でき、2025年には同ラインから1,200万本の『ワンカップ』を出荷しました。発売開始以来60年以上経過しましたが、最近は、専用冷凍庫でワンカップを過冷却状態にし、注ぐとシャーベット状になるみぞれ酒のような新しい飲み方が人気になったことなどを見ると、『ワンカップ』には今後も大きな可能性があると感じています」と語ります。さらに今回お伺いした第二瓶詰め工場では、「ワンカップジャンボ」から「ワンカップミニ」、輸出向け商品まで多彩なサイズの「ワンカップ」に対応したラインや、すっきりとしたキレが人気の「辛丹波」の専用ラインが稼働しています。

 「充填や包装などの工程で重要なのは、瓶や紙パック、段ボールといった包材への理解の深さです」と大滝様。いずれの包材も日々の温度や湿度の変化、輸送状態によって微妙に変化するからです。

 「ラインでは包材の状態を見極めながら充填機を調整しています。高速ラインでは、ガラス瓶の品質をカメラで検査し、紙パックは熱圧着の状態を細かく確認しています。自動化が進んだラインでも、品質を安定させるためには感性を研ぎ澄ませ、繊細な調整や設定替えが欠かせません。毎日何十万本もの商品を出荷するために、一点一点に高い品質をつくり込んでいくとともに、その技能を若手へ継承していくことが私たちの重要な使命です」と強調されました。

画像: パック詰め商品の天面への印字工程

パック詰め商品の天面への印字工程

画像: 「ワンカップ大関」のアルミキャップ印字ライン

「ワンカップ大関」のアルミキャップ印字ライン

画像: パック詰め商品の生産ライン

パック詰め商品の生産ライン

画像: 第二瓶詰め工場の生産ライン全景

第二瓶詰め工場の生産ライン全景

画像: 大関株式会社 製品部製品グループの皆さま 濱本様、大滝様、林田様、前田様(左より)

大関株式会社 製品部製品グループの皆さま
濱本様、大滝様、林田様、前田様(左より)

商品の出荷を左右する充填後のラベリングと印字品質

 完成した商品を市場へ送り出す上で、充填後のラベリングや製造年月日の印字は極めて重要です。「ワンカップ」ではでんぷん糊でラベルを貼付しているため、ラベル貼り付け工程では気温や湿度による糊の状態変化を見極めた細かな調整が必要です。また紙パックへの印字については、オペレーターが印字状態を常に確認しています。

 「どれだけお酒そのものの品質が優れていても、包装や印字に不具合があれば商品として市場へ送り出すことはできません。包装・印字工程は、酒造りの“最後の仕上げ”を担っています」と大滝様。

 アルミキャップや紙パックの天面に製造年月日を印字するために、日立産業用インクジェットプリンタ(IJプリンタ)などが使われていますが、紙パックに印字する場合、作業者の安全に配慮した有機則非該当インクを使うと、文字が手指消毒用アルコールによって消えてしまうという課題に直面しました。「そこで、アルコール耐性と付着性・耐久性がともに優れた有機則非該当インクの導入が急務と考え、さまざまなメーカーさんにお声がけする中、日立産機システムさんにも最新のIJプリンタとインクを検討したいとご連絡しました。すぐに営業担当の寺岡さんを紹介いただき、2025年4月に発売されたばかりのインクをご提案していただきました」と大滝様はこれまでの経緯を振り返りました。

 同年秋には、充填した紙パックを使った印字テストが繰り返し実施されました。輸送テストでは、実商品を箱詰めにした状態で本社と首都圏支店との往復輸送を行い、印字品質が担保されたことも確認できました。「インクの導入とともに、更新時期を迎えていたIJプリンタも寺岡さんと相談して日立製の新鋭機に更新しました。インクヘッド自動洗浄機能を搭載しているとともに、遠隔監視サービス「FitLive」にも対応しているので、稼働状態をリアルタイムで監視でき、大変助かっています。他社メーカー製のものも検討しましたが、最も当社のニーズに寄り添っていただけたのが寺岡さんだったので、採用を決めました」との評価をいただきました。

 「導入後は印字品質について高い評価を得ていますが、工業製品も日々状態は変化するため、油断することなく目を光らせ続けています」と大滝様。「いつでも大関さんなら安心だと選んでいただける酒造りをめざし、製品部製品グループでは今日も品質を守る着実な取り組みを続けています」。

 日立産機システムは、マーキングシステムのトップメーカーとして、IJプリンタの保守メンテナンスを通じて、これからも大関株式会社様の新しい食文化創造に向けた取り組みのお手伝いをさせていただきたいと願っています。

画像: パック詰め商品の印字ラインに設置された日立産業用IJプリンタ

パック詰め商品の印字ラインに設置された日立産業用IJプリンタ

画像: 日立産業用IJプリンタの印字ヘッド

日立産業用IJプリンタの印字ヘッド

画像: アルコール耐性に優れたインクによる印字サンプル

アルコール耐性に優れたインクによる印字サンプル

画像: 「ワンカップ大関」の印字ラインに設置された日立産業用IJプリンタ

「ワンカップ大関」の印字ラインに設置された日立産業用IJプリンタ

お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—

株式会社 日立産機システム 営業統括本部 関西支社

 2025年7月に、大関株式会社様から産業用IJプリンタと、アルコールが付着しても容器に印字した文字が消えない専用インクのお引き合いをいただきましたので、すぐさまお伺いし、同年4月に発売された長寿命かつ優れたアルコール耐性を発揮するインクをご紹介しました。
 お客さまからは、商品を長距離輸送する際の揺れや振動に対しても印字がかすれないなど、多様な条件のもとで印字品質を担保できることを確認することが求められました。私は、サービスエンジニア時代の経験と知識をフルに活かして、さまざまな印字サンプルをご用意し、印字品質に関する試験のお手伝いをさせていただきました。その結果、同年10月にご採用が決まり、11月には、インクとともに日立産業用IJプリンタ Gravis UX2 Seriesを新規に導入していただくことができました。本機は、設備監視サービス「FitLive」に対応しているので、オフィスからでも監視できるとあって、大変便利であるとのご評価もいただきました。これからは、IJプリンタを他のラインへも導入していただけるよう、積極的にご提案をさせていただくとともに、いつも安心してご相談していただけるよう、日常のコミュニケーションをさらに大切にしてまいります。

画像2: 【お客さま導入事例 vol.179・産業用IJプリンタ】
大関株式会社

独自の醸造技術を活かした清酒・酒類の事業拡大とともに
新しい食文化創造への貢献をめざす

設備・ソリューション営業部
デジタルイノベーショングループ
主任 寺岡善之

株式会社 日立産機システム 営業統括本部 中国支社

 今回ご採用いただいたインクは、従来品と比べて連続運転時間が600時間から2,400時間へと向上した新製品であり、安心してお使いいただける耐久性を実現しています。
 本機導入にあたっては、今後のIJプリンタの入れ替えなどの作業を簡単にできるような治具を開発し、お客さまの手間を可能な限り低減できるよう工夫をしました。マーキング市場では競争が激しくなっていますが、当社のソリューション力を活かし、お客さまの課題解決に貢献してまいります。

画像3: 【お客さま導入事例 vol.179・産業用IJプリンタ】
大関株式会社

独自の醸造技術を活かした清酒・酒類の事業拡大とともに
新しい食文化創造への貢献をめざす

サービス・エンジニアリング部
広島サービスグループ
前川士

   

ご採用いただいた製品

マーキング機器・システム
日立産業用IJプリンタ Gravis UX2 Series
アルコール耐性インク4158K

設備監視サービス「FitLive」に対応し
印字工程の保守管理の手間を大きく軽減

日立産業用IJプリンタGravis UX2 Seriesの印字設定画面は、見やすさ・操作性を大幅に向上。また、ワンタッチで取り付け・取り外しできるI/Oプラグを採用したことで、配線接続ペースごと入れ替えることができ、手軽な装置入れ替えを可能としました。さらに定期的にインク噴出・循環運転を行うことで、休止時のインク経路詰まりを予防します。

高機能、長寿命のアルコール耐性インク

幅広い生産現場のマーキングシステムに欠かせない、多彩なインクバリエーションに、有機則非該当かつ手指消毒用アルコール耐性を有するインクが登場。インク連続運転2,400時間を実現しました。

画像4: 【お客さま導入事例 vol.179・産業用IJプリンタ】
大関株式会社

独自の醸造技術を活かした清酒・酒類の事業拡大とともに
新しい食文化創造への貢献をめざす

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( vol.148・2026年9月掲載 )

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