

本社(上)
静岡事業所 大井川工場(下)
イハラ建成工業株式会社
代表取締役社長:平林義則
創業:1949(昭和24)年
設立:1964(昭和39)年
所在地
[本社]静岡市清水区長崎69-1(イハラビル)
[静岡事業所 大井川工場]静岡県焼津市高新田509-8
従業員数:222名(嘱託・パート含む 2025年10月31日現在)
事業内容:建設事業(総合建設業)、化成品事業(発泡スチロールの製造販売業 全国4事業所)、不動産事業
https://www.ihara-ci.co.jp

イハラ建成工業株式会社
代表取締役社長 平林義則 様
環境特性に優れた素材を活かした化成品事業と建設事業を柱に発展
発泡スチロール製品の出荷量では国内五指に入る化成品事業部門と、建物の設計・施工・監理などを手がける建設事業部門を有するイハラ建成工業株式会社は、1949(昭和24)年、庵原(いはら)農村工業購買販売利用組合を株式組織化し、創業しました。
創業当時は、鮮魚などを輸送するための木箱を製造し、その後、建物の天井や壁の下地材などに用いる不燃性の木毛セメント板の生産に着手しました。1960年代には、ドイツの総合化学メーカーを視察した当時の社長が、発泡スチロールの有用性と将来性に着目し、帰国後ただちに発泡スチロール部門を新設しました。次いで、発泡スチロールの生産工場を地元の静岡県、宮城県、福島県、千葉県などに次々と新設し、化成品事業を拡大・発展させてきました。現在は、本社を拠点として建設事業を展開するとともに、今回お伺いした静岡事業所 大井川工場をマザー工場として、静岡県および東日本を中心に化成品事業を広く展開しています。
同社 代表取締役社長の平林義則様は、「発泡スチロール製品としては、鮮魚の輸送・保管のための魚箱を最も多く生産しています。軽く丈夫で、しかも水を通さず断熱性が高いため、鮮魚の輸送には最適な容器です。当社の各工場が漁港に近い場所に立地しているのは、市場のニーズに即応するためで、当社の出荷量の約50%を魚箱が占めています。魚箱以外の製品は、空調機器や冷蔵庫などの梱包・緩衝材や断熱部品、建築用断熱材などとして使用されています。特に、大手電気機器メーカー向けの製品開発を進めたことが、当社の成長を牽引してきました」と、発泡スチロール製品の用途やその発展ぶりを説明されました。

発泡スチロールの生原料(左端)とさまざまな倍率で発泡されたビーズ
発泡スチロール製品の原料は、直径が1mm程度の樹脂であるポリスチレンの粒(ビーズ)です。このビーズを蒸気で加熱し、50倍、40倍、30倍などに膨らませます。この工程を発泡といいます。「例えば、50倍に膨らませた発泡スチロール製品の全体積の98%は空気で、石油由来の原料であるビーズはわずか2%です。また、使用済み発泡スチロールの有効利用率(マテリアルリサイクル率とエネルギーリカバリー率の合計)は94.2%(2024年実績)で、サーキュラーエコノミーの実現にも大いに貢献しています」と強調されました。

化成品事業部門の主力製品である、鮮魚、野菜などの農水産物を、
水漏れなく鮮度を保ったまま輸送できる発泡スチロール製容器
高効率、省エネルギーの生産設備を積極的に導入し、
カーボンニュートラルをめざす
同社 静岡事業所 大井川工場は、1969年に発泡スチロール製品の生産拠点として新設され、1994年には生産の拡大・発展を見据えて現在地に移転・新築されました。

イハラ建成工業株式会社
化成品事業本部 静岡事業所
大井川工場
工場長 泉卓哉 様
魚箱・野菜箱、電気機器用の緩衝材・包装材、成型部品、土木・建築用資材などの発泡スチロール製品は、原料のビーズ→1次発泡→サイロでの熟成→全自動成型(2次発泡)→梱包→製品倉庫→出荷という流れでお客さまのもとへと送り出されます。同社 化成品事業本部 静岡事業所 大井川工場 工場長の泉卓哉様は、「当工場の強みは、全自動成型の前後の工程も自動化を実現したことです。また、成型工程に欠かせない金型については、コンピュータ制御による自動倉庫を導入することで金型の入出庫の能率向上を図り、段取り時間を大幅に短縮しています。また、24時間連続操業しているので、成型された製品がサイロに滞留することを防ぐため、成型品を自動整列させ、その場で製品内に内袋を挿入する設備を導入したことで、競争力を一層高めることができました」と語ります。

工場内で金型などを搬送する
日立天井クレーン
生産工程の自動化とともに、同工場ではカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを近年加速してきました。同社では、クミアイ化学工業株式会社を中心とするクミアイ化学グループの一員として、気候変動対応や循環型社会への貢献をめざしていることから、温室効果ガスの排出量削減を経営上の重要課題に掲げています。「自動成型機は省エネに大きく貢献していますが、それに加えて、エネルギーロスに直結する蒸気や圧縮エアーの漏れにも注目し、きめ細かな対策を施してきました。また、フォークリフトを電動タイプに切り替えたことや、2024年度に太陽光発電システムを導入したことも省エネに貢献しています。さらに、成型に必要な蒸気を生むボイラーも高効率タイプに切り替え、エネルギー消費を削減しました」と泉様。
「また、ボイラーまわりの廃熱回収にも取り組んできましたが、2024年11月に山崎産業さん、静岡日立さん、日立産機システムさんのご協力をいただき、動力源となる圧縮エアーをつくる空気圧縮機を高効率のものに更新するとともに、圧縮機から発生する熱エネルギーを回収し、ボイラー用温水の加熱に活用するために廃熱回収システムも採用しました」と本システム導入の経緯を紹介されました。

成型された製品は整列され、内袋入り製品として加工される

成型機より製品が次々と出てくる

出荷単位ごとに梱包されていく
環境技術を高め、持続可能な未来への道を拓く
平林様は、「空気圧縮機の廃熱を回収し、有効活用するシステムの導入は、当工場にとって前例のない取り組みでしたが、カーボンニュートラルを実現するために、ぜひ推進したいと考えました」と語ります。泉様からは、「検討当時はまだ導入事例が少ない製品でしたが、日立産機システムさんの設計者の方とも直接相談し、安心して導入しました。導入直後の2024年11月から4ヵ月間モニタリングしたところ、ボイラーで使うガスの使用量が1.4%、金額にして約285万円、CO2換算で70t削減できました」との評価をいただきました。

イハラ建成工業株式会社
化成品事業本部 静岡事業所 大井川工場
工場長代理 池野仁士 様
同工場で生産計画と在庫管理、設備管理を担当する工場長代理の池野仁士様は、「生産現場では、常にカーボンニュートラルの実現に貢献できる取り組みを検討していたので、廃熱回収システムの導入は大変良かったと思います。日立産機システムさんには何度も工場に来ていただき、配管の計測や廃熱回収の検証などをていねいに行っていただいたので、新製品とはいえ不安はありませんでした。私たち現場をあずかるスタッフ一同は、これからも高品質のものづくりをさらに拡大しつつ、地域の発展に貢献できる環境に優しい工場にしていきたいと思います」と抱負を述べられました。
平林様は、「これまでさまざまな取り組みを推進し、2019年度比で温室効果ガスを約13%削減してきましたが、これからはさらに新しい視点で取り組むことが必要です。山崎産業さんをはじめ、皆さんのお知恵を借りながら、カーボンニュートラルの実現という大きな目標に向けて、他の生産拠点とともに着実に進んでいきます。技術開発の面では、親会社とともに、生分解性ポリマーの採用や発泡スチロールのマテリアルリサイクル率の向上などを研究していきたいと考えています。さらに、会社が成長を続けていくためには、人材を惹きつける取り組みが一層重要になっていきますので、健康で安心して働ける環境づくりを大胆に推進していきたいと思います」と、これからの展望を話されました。
日立産機システムは、今後とも山崎産業株式会社様、株式会社静岡日立様とともに、「人と環境に優しいものづくりに徹する」イハラ建成工業株式会社様の、高効率でカーボンニュートラルを追求する工場づくりに貢献できる製品・システムをご提案してまいります。

日立廃熱回収システム全景

日立給油式スクリュー圧縮機が並ぶコンプレッサー室

日立給油式スクリュー圧縮機用廃熱回収ユニットHHR-75(左)
温水として回収された熱エネルギーは貫流ボイラで使われる(右上)
既設の空気圧縮機用の日立台数制御盤とボイラー室の温水パイプ(右下)
山崎産業株式会社

山崎産業株式会社 静岡営業所 取締役専務 古橋靖司 様
トータルメンテナンスサービス活動を通じ、
社会への貢献を貫く
山崎産業株式会社は、1963(昭和38)年の創立以来、空気圧縮機、ホイスト・クレーン、空調機器、モータ、ポンプなどの各種回転機械およびその周辺機器のメンテナンス、販売を中心に事業を拡大してきました。現在は、静岡県浜松市に置く本社を中心に、静岡営業所、沼津営業所、愛知営業所を展開し、お客さまの工場全体を視野に入れたトータルメンテナンス事業を通じて、地域社会に貢献しています。
同社 取締役専務の古橋靖司様は、「創業者の山崎仁義は、たった一人でモータや電動工具などの修理・販売を始めるために会社を立ち上げ、その後、修理や営業活動の経験を積み、発展の基盤を築いてきました。創業者のこの姿勢は、今も若い世代に引き継がれ、フロントに立つスタッフは全員が会社の顔として営業活動とサービスエンジニアリングを担い、お客さまのご要望にお応えしています」と語ります。
今回お伺いしたイハラ建成工業株式会社 静岡事業所 大井川工場様を担当する、山崎産業株式会社 静岡営業所 静岡SEGの大村篤史様も、「イハラ建成工業株式会社様は、工場の効率化・自動化とともに、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを積極的に推進されています。静岡日立さん、日立産機システムさんの協力を得てご採用いただいた日立廃熱回収システムは、お客さまの期待にお応えできていると感じており、大変ありがたく思っています。今後も、空気圧縮機やホイスト・クレーンなどのメンテナンスを通じて、大井川工場様の発展にしっかりと貢献してまいります」と抱負を述べられました。

山崎産業株式会社 静岡営業所 静岡SEG 大村篤史 様
会社概要
代表取締役:山崎義治
創立:1963(昭和38)年
所在地:[本社・浜松] 静岡県浜松市中央区有玉北町734
[静岡営業所] 静岡県静岡市駿河区中島891番地
従業員数:105名(2026年2月現在)
事業内容:回転機械の修理/販売/メンテナンス、回転機械の周辺機器の修理/販売/メンテナンス
https://yamazakisangyo.co.jp

新鋭工場を備えた静岡営業所(左) 静岡営業所内のオフィス(右)
お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—
株式会社 静岡日立
山崎産業株式会社様から、イハラ建成工業株式会社 静岡事業所 大井川工場様の省エネに貢献できる製品を提案したい、とのご相談を受け、2023年10月に日立産機システムさんと力を合わせてプレゼンしました。強力な競合もありましたが、廃熱回収システムをご採用いただき、翌年10月の試運転後も安定して性能を発揮しています。今後も山崎産業様とともに、お客さまの省エネに寄与する製品・システムをご提案してまいります。

設備機器営業本部
第一営業部
薩川優作 様
株式会社 日立産機システム 営業統括本部 中部支社
今回ご採用いただいた廃熱回収システムは、2023年当時はリリースされたばかりであり、中部支社としても初の案件でしたが、勉強を重ねながら開発担当者に何度も教えていただき、自信をもってプレゼンに臨みました。間違いなくお客さまに貢献できる製品なので、採用が決まった時は大変感激しました。今後は、エンドユーザー様はもちろんのこと、販売店様、特約店様にも広くPRしていきたいと考えています。

空圧営業部
空圧システム第二グループ
須田和真
株式会社 日立産機システム グローバルエアパワー統括本部
当社では、空気圧縮機の廃熱を有効活用する構想は以前からありましたが、製品化は困難でした。しかし、カーボンニュートラルへの関心の高まりとお客さまのご要望を受け開発を本格化。試作段階では「大きすぎる」とのご指摘を受け、現場にはさまざまな制約があることを痛感したこともありましたが、小型化と性能・信頼性・メンテナンス性の両立をめざし、内部の部品配置や熱マネジメントなどを検討しながら開発を推進。その結果、圧縮機と廃熱回収ユニットの合計設置面積を他社製品よりも小さく収めることができ、既設の圧縮機にも密接して接続できるようになりました。今後はオイルフリー圧縮機への適用拡大を進め、より多くのお客さまのカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。

グローバル開発統括部
清水開発設計部
主任技師 松坂岳廣
ご採用いただいた製品
空気圧縮機関連機器
日立給油式スクリュー圧縮機(HISCREW)用
廃熱回収ユニット HHR-75
もったいない! 捨てている廃熱の有効利活用を実現
工場内の多様なシーンで廃熱を再利用できる廃熱回収ユニットです。空気圧縮機で圧縮エアーをつくりながら、圧縮熱を温水として回収し、廃熱を有効活用。ボイラー給水の予熱、ヒーターの代替として水の再加熱や保温などに最適です。すでに稼働している日立給油式スクリュー圧縮機にも、現地改造により廃熱回収ユニットを接続できます。※
※日立給油式スクリュー圧縮機HISCREW55/75kW Gシリーズ、NEXTⅡ・Ⅲseries に対応

製品の詳細や導入に関するご相談はこちらから
( vol.146・2026年5月掲載 )



