秀峰・大山をはじめとする県下の豊かな自然に抱かれてすこやかに育てられた乳牛たち。そのしぼりたての新鮮な生乳を集乳、処理・加工。県内外で親しまれる“白バラ牛乳”として販売する大山乳業農業協同組合は、鳥取県内で唯一の組合であり、唯一の工場を有しています。今回は、基本理念「白の一滴、心の一滴」の思いを込めて、おいしくて良質な牛乳と乳製品を提供し続ける同組合の発展の歴史と、生乳処理ラインで活躍している日立産機システム製品をご紹介します。
画像1: 【お客さま導入事例 vol.147】
大山(だいせん)乳業農業協同組合

生乳の集荷、処理・加工、販売までを自らの手で──。鳥取県下の酪農家たちが一つになって送り出す、“白バラ牛乳”に込めた「白の一滴、心の一滴」の思い。

大山乳業農業協同組合

代表理事組合長:小前孝夫
設立:1946(昭和21)年
所在地:鳥取県東伯郡琴浦町大字保37-1
正組合員数:163名(准組合員数724名)
従業員数:381名
事業内容:牛乳、成分調整牛乳、乳飲料、バター、生クリーム、粉乳、練乳、醗酵乳、アイスクリーム、菓子などの生産・処理・販売
https://dainyu.or.jp/

どこまでも安全で良質な牛乳を追求してきた、鳥取県で唯一の酪農専門農協

 “伯耆富士”と呼ばれる中国地方最高峰の大山。その麓に清潔な生乳処理工場を構える大山乳業農業協同組合は、地元の山陰地方はもちろんのこと、山陽地方、関西地方などでも、おいしくて良質の“白バラ牛乳”として知られています。

 同組合が誕生したのは戦後間もない1946(昭和21)年のこと。最初は32人の酪農家による任意団体の「伯耆酪農組合」からスタートし、「美保酪農協」「東部酪農協」などと合併を重ね、2003(平成15)年には県下のすべての酪農家が組合員となって、全国的に珍しい1県1組合を結成しました。県下の酪農家が生産や販売の方向性を共有することで、よりこだわった牛乳や乳製品を消費者に届けることが可能になったのです。翌2004(平成16)年には生産機能を集約した新工場が完成し、中国地方最大級の処理能力を実現。鳥取県内すべての集乳エリアをカバーする広域化と、組織と機能を1つにまとめる集約化を同時に進めて、成長を遂げてきました。

画像: 鳥取県内外で人気の白バラブランドの商品群

鳥取県内外で人気の白バラブランドの商品群

 設立当初からこだわってきたのは、生乳の生産、処理・加工、販売を一貫して自分たちの手で行うこと。白バラブランドの牛乳は、中央畜産会による「畜産大賞」(2004年)を受賞するなど、品質の良さとすっきりとしたおいしさで評価を得、県下の学校給食にも採用されています。現在では牛乳、乳飲料、バター、粉乳、練乳、生クリーム、アイスクリーム、ヨーグルト、菓子などのラインアップを揃え、中国地方、近畿地方を中心に販売されています。

 「新工場を建設してから数年間は、利益が出にくい時期もありましたが、おいしい牛乳をつくっているという誇りを持ってやり続けてきました。今では平均すると生乳約5万6千トン/年を処理。その6~7割が牛乳、3~4割が加工品として出荷。全国的に生乳の生産量が減少傾向にある中、鳥取県の生産量は、酪農家の努力もあって増加しています。また鳥取県から運営を任されている酪農レジャー施設『大山まきば みるくの里』は、大人気の観光スポットに成長しました」と手応えを語る、専務理事の平野浩様。組合員である酪農家の皆さん一人ひとりの思いを大切に、安心で良質の牛乳と乳製品を、毎日、送り出しています。

画像: 大山乳業農業協同組合 専務理事 平野浩 様

大山乳業農業協同組合 専務理事 平野浩 様

酪農家の努力を生かす、徹底した衛生管理と高い処理能力

 2004年に生乳処理工場を新設した背景には、何よりも食の安全性を追求した「より衛生的な工場をつくりたい」との思いがありました。そこで、生産拠点を集約・合理化させて国際競争力を高めようと国が進めてきた「乳業再編等合理化推進事業」を活用して、最新鋭の工場を建設したのです。

 「私たちは、大手のメーカーとは違う強みを生かした取り組みを進めてきました。それが生乳のおいしさ、品質の良さを追求することです。牛乳の味は生乳の質で決まり、加工品の品質にも大きく影響します」と平野様。さらに、開発センターと営業スタッフが一緒になって商品開発に取り組み、自組合の生乳、乳製品を使用したアイスクリームや、生乳を100%使用したヨーグルトなど、生乳の味をできるだけ生かした独自の商品も白バラブランドの特徴です。

画像: 大山乳業農業協同組合 製造部 製造管理課 課長 徳丸千春 様

大山乳業農業協同組合
製造部 製造管理課 課長 徳丸千春 様

 おいしい牛乳のポイントとして乳脂肪分の高さがあげられますが、それに加えて差別化のポイントとなるのが「衛生的乳質」です。乳牛が病気になったり、ストレスをため込んだりすると、乳牛の体細胞の白血球が増え、乳質と味が落ちてしまうそうです。そこで同組合では酪農指導部のスタッフが酪農家の飼育管理を手厚くサポートする体制を整え、牛を健康的に育てるお手伝いを徹底。その努力が実を結び、牛の健康状態や成分などを調べる牛群検定率は全国1位を達成しています。「複数の生産組合から生乳を仕入れる場合は、統一した指導は難しいかもしれません。しかし、県でただ1つの組合だから生産者と私たちがつながり、高品質の生乳を出荷しようとの目的を共有できました。徹底したサポートのもとで生乳生産ができることが私たちの強みです」と平野様はこれまでの取り組みを紹介されました。

 大切に生産された生乳を生かすために、集乳する際には、牧場ごと、タンクごとに乳温、アルコール、人の五感を生かした官能検査を実施し、基準を満たした生乳だけを工場に搬入します。搬入された生乳は、清浄・冷却・貯乳、そして均質・殺菌・貯乳・充填などの工程を、わずか1日で終えなければなりません。工場では、毎日約160トンの生乳が自動化されたラインで処理されますが、この処理ラインの動力となるエアーをつくっているのが、日立産機システム製のオイルフリー空気圧縮機です。

画像: 県内各地から新鮮な生乳が運ばれてくる

県内各地から新鮮な生乳が運ばれてくる

画像: 商品をケースに入れるケーサーライン

商品をケースに入れるケーサーライン

画像: 構内にある直売所「カウィーのみるく館」

構内にある直売所「カウィーのみるく館」

画像: アイスクリームや菓子類、グッズなども人気

アイスクリームや菓子類、グッズなども人気

画像: 牛乳の大瓶充填ライン。生乳処理ラインの他、ここでもエアーが動力として使われている

牛乳の大瓶充填ライン。生乳処理ラインの他、ここでもエアーが動力として使われている

おいしい牛乳をお届けするために、停まることが許されない処理ラインを支える

 工場新設時に採用された空気圧縮機は、出力55kWが4台。エアーシリンダの駆動用など、動力源としての扱いやすさと経済性の観点から選ばれました。また、生乳タンク内に外部からの空気が入らないように加圧する時もエアーを使うので、清浄性の点からオイルフリーであることが必須条件でした。なお、水冷式圧縮機も候補にあがりましたが、冬季は外気温が下がって凍結の心配があるので、最終的には空冷式が選ばれました。

 「新工場の建設前から鳥取電業さんからは積極的にご提案をいただいていましたし、日立製品への信頼性もあったことから、当時の担当者が採用しました。制御のしやすさや省エネ性能の高さも評価ポイントだったと聞いています。また、運転に関する相談ごとがある場合には、日立産機システムさんの山陰サービスステーションに即座に対応していただいています」と製造部 製造管理課 課長の徳丸千春様は、これまでの経緯をご紹介くださいました。

画像: 大山乳業農業協同組合 製造部 製造管理課 課長補佐 松田宏樹 様(左) 渡邉一起 様(右)

大山乳業農業協同組合 製造部 製造管理課
課長補佐 松田宏樹 様(左)
渡邉一起 様(右)

 その後、エアーの使用量が増加したため、2016年~17年にかけて、既設機4台を75kW×2台と55kW×2台に更新するとともに、稼働時間の平準化とエネルギー使用量を削減するため、新たな台数制御盤も導入されました。「生乳を処理するために休まず稼働するので、負荷が低い状態で4台とも稼働させるよりも1台ずつ休ませるほうが省エネに効果的で、圧縮機の長寿命化にも貢献できるからです」と徳丸様。さらに長期の保守契約をご契約いただくなど、空気圧縮機を大切にお使いいただいています。

 「3年前に設立70周年を迎え、その時につくった活動ビジョンを基に、“商品を育てる”“人を育てる”“酪農家を育てる”をテーマに取り組んでいます。商品開発については、新たなプロジェクトを立ち上げ、若い力で取り組んでいるところです。酪農家の皆さんには、引き続き良質の生乳を提供していただけるようサポートするとともに、職員もさらに成長していかなければなりません」と平野様は展望を語られます。さらに、「これまではユニークなグッズやデザインで白バラブランドをアピールしてきましたが、今後はSNSを活用したブランディングにも力を入れていきたいと思います」と将来を見据える平野様。日立産機システムは、これからも鳥取電業株式会社様とともに、新たな提案ときめ細かなサービスで、ご支援させていただきます。

画像: コンプレッサー室に設置された日立製空気圧縮機。台数制御で省エネ運転に貢献

コンプレッサー室に設置された日立製空気圧縮機。台数制御で省エネ運転に貢献

画像: 日立製台数制御盤

日立製台数制御盤

画像: 細菌数測定装置で使われている日立製ベビコン

細菌数測定装置で使われている日立製ベビコン

お客さまのベストパートナーをめざして —日立産機システム 製品関係者—

大切なエアーを安心してお使いいただける、最善のメンテナンスをご提供しています

 大山乳業農業協同組合様とは、特約店の鳥取電業さんとともに長くお付き合いをさせていただいています。4台の空気圧縮機は生乳の処理ラインで動力源として稼働し、1台のベビコンが検査室で使用されています。圧縮機の予防保全を重視するお客さまのご要望に沿って、2017年に出力75kW2台についてメンテナンスパックをご契約いただき、2018年には出力55kW2台についてもご契約していただきました。運転については稼働時間の平準化と省エネを追求されているので、台数制御の設定を常に見直し、最適な稼働を実現できるよう取り組んでいます。これからも、おいしい牛乳と人気の乳製品の生産のお手伝いをしていきたいと考えています。

画像2: 【お客さま導入事例 vol.147】
大山(だいせん)乳業農業協同組合

生乳の集荷、処理・加工、販売までを自らの手で──。鳥取県下の酪農家たちが一つになって送り出す、“白バラ牛乳”に込めた「白の一滴、心の一滴」の思い。

株式会社 日立産機システム
中国支社 営業部 空圧システムグループ
主任 川端隆之(左)
山陰サービスステーション
所長 江見隆伸(右)

生乳処理工場の特性に合わせたご提案で、ご信頼にお応えしています

 大山乳業農業協同組合様とのお付き合いは約18年前にさかのぼります。旧工場の排水処理でお困りとお聞きして、日立グループの協力を得てご提案したことがはじまりでした。その後、新工場向けに日立製の空気圧縮機を受注することができましたが、これは乳業メーカーのラインの特性を研究した成果でした。2016年と17年には、新工場建設時に納入した空気圧縮機の更新も受注できましたが、この時は、山陰サービスステーションさんと協力して診断測定を何回も行い、最適な機種をご提案しました。今後は配電や水処理分野でもソリューションをご提案し、お客さまの事業発展に貢献していきます。

画像3: 【お客さま導入事例 vol.147】
大山(だいせん)乳業農業協同組合

生乳の集荷、処理・加工、販売までを自らの手で──。鳥取県下の酪農家たちが一つになって送り出す、“白バラ牛乳”に込めた「白の一滴、心の一滴」の思い。

鳥取電業株式会社
米子支店 米子支店長 寺井 操(左)
産業システム部 部長 岡本由起夫(右)

日立産機システム 山陰サービスステーション
〒692-0058 島根県安来市西恵乃島町837-53
TEL:0854-22-5552 FAX:0854-23-2673

遠隔地のお客さまにもご満足いただけるサービスを

島根県安来市に拠点を構え、鳥取県全域と島根県の東部のお客さまを対象にサービスをご提供しています。サービスエンジニアは7名体制。日頃のメンテナンスを充実させる取り組みに力を入れています。特に空気圧縮機は工場の大切な動力源としてお使いいただいているお客さまが多いので、保守契約「メンテナンスパック」の導入を特約店さんと一緒にお勧めしています。今後も、お客さまに安心して当社製品を長くお使いいただくために、きめの細かいサービスを実現していきたいと思います。

画像4: 【お客さま導入事例 vol.147】
大山(だいせん)乳業農業協同組合

生乳の集荷、処理・加工、販売までを自らの手で──。鳥取県下の酪農家たちが一つになって送り出す、“白バラ牛乳”に込めた「白の一滴、心の一滴」の思い。

ご採用いただいた製品

( vol.106・2019年9月掲載 )

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