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大阪サービスステーション[ホイスト・モートルブロック編]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783708/rc/2025/02/19/7009028e8c7cc84f4ee1cbcf2c07afcb7af7e3ee_xlarge.jpg)
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大阪サービスステーション
所在地 : 〒660-0806
兵庫県尼崎市金楽寺町1-2-1
上:池西をはじめとする大阪サービス・エンジニアリング部のスタッフたち
下:大阪サービスステーションの工場内に設置されたクレーンシステム(左)
当社関西支社外観(右)
入社以来積み重ねてきた学びと経験の日々
2007年に入社した池西は、神戸サービスステーションに配属後、ホイスト・モートルブロックの生産拠点で1ヵ月間の現場実習を経験し、さまざまな製品がどのようにつくられるかを学びました。「その後1年間は、大阪サービスステーションで、OJT研修として先輩についてお客さまの工場を回り、ホイスト・モートルブロックの修理、メンテナンスに関する実務を学ぶ日々でした。同時に、サービスステーションに戻って、座学を通じて関連法規や安全規則を徹底的に習得し、2016年に大阪サービスステーションに配属されました」と語ります。
当社で開発・生産・販売するクレーンシステム関連機器は、電気ホイストと電気チェーンブロック(モートルブロック)を中心に、クレーンサドルや給電機器などの周辺機器まであり、担当するサービスエンジニアには、これらの製品に関する幅広い知識と整備技術が求められます。
2年目になると学んだ知識とスキルのレベルも向上し、3年目に入る頃には高所作業を含む現場作業を任され、現場作業の責任者としてメンテナンス業務全般を円滑に進める責任を負うまでになりました。
「仕事の面で大きな自信となったことは、2015年に技師になれたことでした。技師は、社内において一定以上の知識と技術力を持つと認められた者に与えられる称号であり、上司や先輩から現場を任せられるスペシャリストとして認められた証しです。技師になれたことで、お客さまからの信頼感も高まりました」と池西は振り返ります。
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池西良陽 (2007年入社)
株式会社 日立産機システム
大阪サービス・エンジニアリング部
省力グループ 技師
失敗と成功を経てつかんだ大きな成長
ホイスト・モートルブロックのメンテナンスは、お客さまから整備依頼が入ると、まず現地調査を行い、修理や整備、設備更新などに関する見積書を提出して受注することから始まります。その後、作業内容や工程についてお客さまと綿密に調整し、現場での点検・修理、あるいは設備更新などを実施し、報告書を作成して作業が完了します。現地調査では、特にクレーンの高さや上部空間の有無などを確認し、安全確保のために足場や搬入経路の確保にも注意を払います。特に高所での作業には、工場建屋の梁や電気配線に触れないよう細心の注意を払い、作業者の足元の安全確保を徹底します。また、限られたスペースで重量物でもあるホイスト・モートルブロックを持ち上げるためにはチェーンブロックの設置や高所作業車を用意する必要があるので、安全かつスムーズに作業するための念入りな準備が重要であり、池西が力を発揮する場面は多くあります。
キャリアを重ねた池西ですが、これまでに大きな失敗を経験したこともあります。それはホイストの更新を受注した際に、ホイストの稼働範囲にある工場内施設がホイストの動作に干渉する可能性を設計段階において正確に反映することができず、実際に操作して初めて不都合が判明したことです。「トラブル発生に対し、私はまずお客さまに事情をご説明し、ただちに上司と相談し、協力会社と連携し、現地でクレーンを改造することにし、可能な限り速やかなリカバリーに努めました。自分の仕事に自信を持っていた時だったので、大いに反省するとともに、どんな問題が発生してもうろたえることなく解決する力を磨く大切さを学ぶことができました」と池西。この経験は、その後、別のお客さまの5tホイストが突然停止した時に、現地調査を含め約1時間で復旧することができたという成功体験につながりました。迅速な対応が功を奏し、お客さまから「本当に助かった」という言葉をいただけたことは、今でも忘れることができない経験だったといいます。
最大の使命は、お客さまのラインを停めないこと
当社製のホイスト・モートルブロックをご紹介すると、ホイストは0.5〜60tまでの荷重に対応できる幅広いラインアップを有し、その多くはインバータ制御による滑らかな動作や荷振れ抑制機能などを備えています。一方モートルブロックは、150kg〜20tまでの荷重に対応し、作業効率を高める機能に特長があります。いずれも多様な現場ニーズに応えるために進化し続けており、新機種・新機能の導入に伴いサービスエンジニアが身につけるべき知識と技術も増えていきます。特にホイストのラインアップには、インバータ制御を採用したものが多く、サービスエンジニアには電子制御の知識も欠かせません。池西も電子制御に関する知識を深め、今ではインバータに蓄積されたエラー履歴を活用し、予防的な部品交換や修理の提案とともに操作ログなどを分析してお客さまの操業状況を把握することで、適切な整備計画を立て、お客さまに貢献しています。
しかし池西は、新しいホイスト・モートルブロックが登場してもサービスエンジニアとして一番重要な使命は変わらないといいます。「トラブル対応においては、お客さまの工場を長時間停止させないことが最重要です。この使命を達成するために、多くのメンテナンス作業を可能な限り1日で終えることを目標とし、年次点検や月例点検では、お客さまの生産スケジュールに合わせた綿密な計画を立て、お客さまにとっての影響を最小限にすることをめざしています」と語ります。

左:アーム式電気チェーンブロックを使い大型ホイストのモータを点検
右:出荷前の電気チェーンブロックの基板を点検

上司の下村とともにお客さまにご提案するメンテナンス計画を打ち合わせる

オフィスで設備監視サービス「FitLive」を使い、ホイストの稼働状態を確認する
お客さまとの信頼関係の構築と後進の育成にかける
ホイスト・モートルブロックなどのクレーンシステムは高所に設置されるため、お客さま自身での点検や修理は困難です。サービスエンジニアは、お客さまの頼れるパートナーとして日頃から親しみやすいコミュニケーションを心がけ、気軽に相談していただける関係づくりが大切です。「私はホイスト・モートルブロックだけでなく、工場全体の環境にも目を向けています。例えば、酸性薬品を使う工場では搬送機やボルトの腐食状況も確認し、必要であれば補修や交換をご提案しています。細部に気を配ることで、お客さまから信頼していただけるようになり、長期的な設備の安全性に貢献できると考えています」と池西。上司でありグループリーダ 主任技師の下村智之は「当サービスステーションは、兵庫県の東半分と大阪全域、加えて京都の一部と奈良、和歌山と担当範囲が広く、約200社のお客さまと約2,000台のホイスト・モートルブロックのメンテナンスを担っています。池西さんは独り立ちしたサービスエンジニアとして、豊富な知識を持ち、クレーンシステム、搬送システム全体の状態を把握し、広い視野からお客さまにメンテナンスのあり方を提案できる力があります。今後は、その強みをさらに活かしつつ、後輩を育てチーム力を高めてほしいですね」と大きな期待を寄せています。
池西は、「当社は、ホイスト・モートルブロックを自社で開発・生産・販売、サービスまで手がけることで一貫した価値をお客さまにご提供しています。私もクレーン運転士の資格を取得し、より幅広い製品に対応できる力を身につけ、さらにお客さまに貢献したいと思います。サービスエンジニアは安全を守る仕事であり、信頼を築く仕事です。技術力はもちろんのこと、お客さまとの信頼関係を深めることで新たな挑戦の機会が生まれます。現場の要として、安全で効率的な搬送システムを提供し続けることを目標に、成長を続けていきます」と力強く抱負を語ってくれました。

王子イメージングメディア株式会社の奥田様(右)と大型ホイストの点検ポイントを確認する池西
サービスエンジニアが活躍するお客さまを訪ねて
成長を続ける
王子グループ機能材カンパニーの中核企業
王子イメージングメディア株式会社 神崎工場 施設部 施設動力課 奥田直典 様

王子イメージングメディア株式会社 奥田直典様
世界有数の感熱紙メーカーとして日本含む世界10ヵ国に拠点を有し、全世界のお客さまに地域の市場ニーズに沿った商品をお届けしています。世界シェア20%を誇る感熱紙分野、食品や医療関係に欠かせないフィルム感熱分野、リサイクル性に優れたインクジェット分野を中心として、市場に求められる商品を提供することにより、感熱紙の需要拡大とともに事業を拡大してきました。
神崎工場内では、原材の入荷から製品搬出、塗工部品の交換などさまざまな現場で揚重機が稼働していますが、その中で日立ホイストはその大半を占めており、設備の安定操業を支える重要な機械装置として位置づけています。現在稼働している日立ホイストは、小・大容量のものを含めて100台以上に及び、そのすべてを毎月1回の頻度で日立産機システムさんのサービスエンジニアに点検をお願いしていますが、24時間稼働している設備がほとんどのため緊急時のトラブル対応をお願いすることもあり、私たちの要望に柔軟かつ迅速に対応をしてくださり助かっています。また、いつも明るく丁寧に、ユーザー目線の姿勢で対応していただけるので、安心してお任せできます。
私は揚重機設備の担当者として専門知識の習得や新しいスキルの習得をめざし、当社の目標達成につなげることができるよう、努力を続けます。また、日立産機システムさんとの信頼関係をさらに深め、双方にとって良い成果を生み出せるよう努めていきたいと思いますので、今後とも引き続きサポートをお願いいたします。

左:数多く導入されている日立電気ホイスト
右:奥田様(右)と今後のメンテナンス計画を打ち合わせる池西
王子イメージングメディア株式会社 神崎工場
兵庫県尼崎市常光寺4-3-1
( vol.139・2025年3月掲載 )