直需チームのホゼ・ガルシア・ジュニア(左から2人目)や販売店チームのエドガー・パコ(右)などのサービスエンジニアの仲間たちとマイクロスコープの使い方を共有。
日立産機システム 関西支社から、海外研修生として米国イリノイ州シカゴにある当社の子会社 Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC(以下 HIESA)に派遣され、マーキング機器・システム担当のサービスエンジニアとして活躍している竹村仁(2024年7月時点)。さまざまな人々、さまざまな文化が共存する中で未経験のビジネス環境に溶け込んで、販売店やお客さまに価値を提供するサービスのあり方を追求しつつ、HIESAのサービスエンジニアたちと学び合い、共有したことをご紹介します。
画像1: 【熱きサービスエンジニア・13】
Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC
[産業用インクジェットプリンタ 米州編]
画像2: 【熱きサービスエンジニア・13】
Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC
[産業用インクジェットプリンタ 米州編]

Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC
2730 Greenleaf Ave Elk Grove Village, IL 60007, U.S.A.
(2025年3月移転予定)
https://www.hitachi-iesa.com

上:竹村(左)とともに活躍するサービスエンジニアの仲間たち。
下:HIESA本社内の作業場(左)とエントランスロビー(右)。

グローバルビジネスの展開を支えるサービスエンジニアの育成をめざす取り組み

 当社は、これまで営業職や設計職の若手スタッフを海外拠点に派遣し、現地でさまざまな経験を積む機会を与えることでグローバルビジネスを担う人材を育成してきましたが、マーキング関係のサービスエンジニアについては、竹村の海外派遣が初めての試みでした。

 竹村が上司の推薦により海外研修生に選ばれたのは2022年11月。その後、オリエンテーションなどを経て1年間の研修のために2023年8月初頭に日本を発ちました。

 「行き先は、シカゴに本社を構える当社製品の販売とサービスの提供を目的とする現地法人のHIESAです。語学力に自信があったわけでもなく、初めは不安しかなかったですね(笑)。当社の欧州、中国、東南アジア、シンガポールの拠点の中から同社を選んだ理由は、2022年の秋に役員の北米視察に同行する機会をいただいた折りに同社を訪問し、仕事ぶりをこの目で確かめることができたことです」と派遣の経緯を語ります。

画像3: 【熱きサービスエンジニア・13】
Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC
[産業用インクジェットプリンタ 米州編]

竹村仁 (2015年入社)
Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC
米州販売店向け技術・サービスサポートチーム
サービスエンジニア 技師 (2024年7月現在)

 竹村がサービスエンジニアとして担当する産業用インクジェットプリンタ(以下 IJP)は、食品や薬品、化粧品などのパッケージにトレーサビリティ確保のために製造年月日やロット番号などを印字するマーキング&コーディング機器の1種です。竹村は海外派遣前には経験豊富なサービスエンジニアとして、食品・飲料メーカーのほか電⼦部品、自動車部品、化学品などのお客さまに、IJP関連の保守・メンテナンスサービスを提供していましたが、HIESAにおいてはお客さまの窓口となる現地の販売店(distributor)に技術・サービスサポートを提供します。

 「私が所属しているサービス部門は、テクニカルサービスマネージャーであるエドガー・パコ(Edgar Paco)を中心に、食品業界、包装業界をはじめ、さまざまな業界のお客さまと強いつながりのある販売店のスタッフに技術・サービスサポートとトレーニングを提供しています。販売店はHIESAが信頼するパートナーであり、お客さまへの対応に責任を持っています。一方HIESAは、メーカーとして米国、カナダ、中南米という広大なエリアに点在する販売店をサポートしています」と語ります。米州全体を商圏とするので、販売店に対するサービスの提供は、webミーティングやメールなどでのやり取りが中心となりますが、必要に応じて販売店とともにお客さま先に出向き、ご相談に応じたり、IJPなどの保守・メンテナンスを行うこともあります。また販売店は日立以外の製品も取り扱っているので、時にお客さまのために他社製品のメンテナンスを手がけることもあるといいます。

 「HIESAは、技術・サービスサポートチームとして、販売店向けと直需向けの2つのチームを持っています。日立産機システムは日本国内では全国規模のサービス体制を整えていますが、米州ではその役割を販売店が担っているので販売店のサポートがとても重要です。一方、直接お取り引きをいただいているお客さま向けには直需向けチームが対応します」とエドガー・パコがサービス体制を紹介します。直需チームのスーパーバイザーであるホゼ・ガルシア・ジュニア(Jose Garcia Jr.)は、「私たちのチームはここシカゴとカリフォルニア州オンタリオに拠点を置き、この業界では他にはないと自負している質の高いエンジニアリングサービスをお客さまに直接提供しています。迅速なサービスの提供により、お客さまにほとんど負担をかけることなく製品を修理しています」と胸を張ります。

経験豊富な上司、先輩の知識、技術、お客さまへの貢献の姿勢を学ぶ

 竹村は、販売店スタッフとともにIJPの新規導入や更新にあたりお客さま先に出向き設定をサポートすることがあります。これは上司のエドガー・パコや先輩の仕事ぶりを学ぶ大切な機会となっています。エドガー・パコは、ペルーのリマで生まれ育ち、同国の大学で機械工学を学んだ後、米国のニュージャージー州で多種多様なマーキング&コーディング機器のサービスエンジニアとしてのキャリアをスタートさせ、2004年から現在に至るまでずっと日立と関わってきました。

画像: サンヨーフーズアメリカ(Sanyo Foods Corp. of America)様にて印字ラインをチェック。

サンヨーフーズアメリカ(Sanyo Foods Corp. of America)様にて印字ラインをチェック。

画像: オフィスで提案資料を作成。

オフィスで提案資料を作成。

画像: IJPの印字パターン、形、文字数の設定を確認。

IJPの印字パターン、形、文字数の設定を確認。

 「私は、日立製品の機能や性能を深く理解すればするほど、私たちの大切なお客さまやパートナーに質の高い技術・サービスサポートを提供できるようになると確信しています。そのためにもHIESAのサービススタッフや販売店のスタッフのために、包括的なトレーニングセッションを準備することと適切なトレーニング教材を開発することが不可欠です」と語ります。竹村はエドガー・パコのもと、米州におけるIJPの使われ方やお客さまの生産ラインにおける重要性を再認識しました。また、同行のたびに自身の技術力には自信があっても語学が堪能ではないことで、販売店のスタッフやお客さまが真に求めていること、期待していることが理解できないことがしばしばあったといいます。「もっとしっかりと英語を話し、理解することができれば、自分の経験を背景に最適な提案ができることもあるし、お客さまにもっと貢献したいとの思いも伝えられるのに、といつも歯がゆい思いをしてきました。でも、当社のIJPによって印字されたパッケージに包まれた食品をスーパーマーケットの店頭で見た時は、当社のビジネスやお客さまのビジネスがグローバルに広がっていることを実感できてうれしかったですね」と目を輝かせます。一方、日本からの研修生を受け入れたエドガー・パコは、「仁さんが私たちのチームに加わってくれたことはとても幸運なことでした。彼がシカゴに滞在している間に知識と経験を共有するとともに、日立産機システムが提供するソリューションやスキルを互いに交換することで、私たち全員の視野が広がり問題解決のアプローチを多様化することのメリットを理解することができました。印象的だったのは印字ヘッドのインク詰まりを、マイクロスコープを使ってチェックする方法を彼が教えてくれたことですね。また彼がここにいる間に改善が必要な技術・サービスに関する分野を特定しそのレポートを、IJPの開発・生産拠点である多賀事業所に送りレビューを得たことでHIESAのサービスチームを強化することができたと思います」と竹村の海外研修の意義を語ってくれました。

画像: 上司のエドガー・パコ(左)とメンテナンス方法について打ち合わせ。

上司のエドガー・パコ(左)とメンテナンス方法について打ち合わせ。

画像: 大成ラミックアメリカ(Taisei Lamick USA, Inc.)様にてIJPを点検。

大成ラミックアメリカ(Taisei Lamick USA, Inc.)様にてIJPを点検。

画像: 同社「DANGAN’S STUDIO」においてIJPの動作を確認。

同社「DANGAN’S STUDIO」においてIJPの動作を確認。

グローバルな視点で技術・サービスサポートの将来を拓くチャンス

 この1年間、竹村はイリノイ州をはじめ、ウィスコンシン州、ケンタッキー州、カリフォルニア州などの販売店やお客さまを訪問する中で、技術・サービスサポートに対するニーズの違いを体感しました。例えば日本ではサービスエンジニアは、定期的な保守・メンテナンスを推奨することが重要な仕事の1つですが、米州ではIJPをとことん使い切り、買い替えることを重視していることが多いといいます。「私たちは、日本にいる時は故障した部品をユニットで交換しますが、HIESAのサービスエンジニアはそれこそ部品をバラバラに分解して修理することもありますね。これは部品交換より修理する方がお客さまの費用負担が軽いと考えているからです。製品寿命を考えれば部品交換が望ましいと思いますが、お客さまを費用面からサポートする姿勢には学ぶことがあると考えています」と振り返ります。

 このような技術・サービスサポートに対する考え方の違いを理解した上で、竹村はグローバルな視点で今後のサービスエンジニアの役割を考えるようになりました。「例えば、当社の開発・生産拠点と海外各地で活躍する技術メンバーとのつながりをこれまで以上に強くすることが、製品の海外での販売や技術・サービスサポートの展開を大いに助けてくれることがわかりました。それは、販売店やお客さまが潜在的に望んでいるからです」と語る竹村は、すでにHIESAと日本国内の開発・生産拠点との間の強固な関係構築づくりを提案したといいます。

 「私が大切にしたいのは、サービスエンジニアが現場で最高の結果を出せるようにトレーニング資料を作成することと、お客さまを第一に考え、真摯に仕事に取り組み続けることです」とホゼ・ガルシア・ジュニアは語ります。エドガー・パコは、「私たちの使命は、今後のデジタルトランスフォーメーションの進展に対応しながら、HIESAの戦略やアプローチを米州の市場ニーズに合わせて継続的に適応させていくことです。日本の本社とともに、卓越した技術を確実に実行し、成長と改善に取り組む企業文化を育んでいきたいですね」と展望を披れきしてくれました。竹村は、「さまざまなバックグラウンドを持つ多くの人と仕事ができたことは大きな自信になりました。1年間、学んだり教え合ったりしてHIESAの皆さんと太いつながりができたので、今後の発展のお役に立てたらうれしいですね。またお客さまや、販売店の皆さんにもお世話になりましたので、帰国後の自身の成長をお約束してお礼の言葉にかえたいと思います」と力強く抱負を語ってくれました。

画像: 作業場で印字ヘッドの整備を行う。

作業場で印字ヘッドの整備を行う。

画像: サンヨーフーズアメリカの飯田様(中)とともに今後のメンテナンス計画について検討する竹村(左)と営業担当の武山(右)。

サンヨーフーズアメリカの飯田様(中)とともに今後のメンテナンス計画について検討する竹村(左)と営業担当の武山(右)。

( vol.138・2025年1月掲載 )

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