
アンリツグローバル本社
アンリツ株式会社
代表取締役 社長 グループCEO:濱田宏一
創業:1895(明治28)年
所在地:神奈川県厚木市恩名5-1-1
従業員数:4,144名(連結)
事業内容:電子計測器、食品・医薬品の品質保証システム、環境計測機器、デバイスなどの開発・製造・販売
https://www.anritsu.com
通信と計測の分野で築いた歴史をベースに攻めの姿勢で新たな成長に挑む
街を歩けば、誰もがスマートフォンやタブレット端末を手にしている時代──。すでに5Gの通信規格が普及しつつありますが、この5Gの商用化に先んじて、キャリア各社が疑似基地局をつくり通信検査を可能とするための、さまざまな検査機器や通信用計測器を提供してきたのがアンリツ株式会社です。さらに通信基地局の建設や保守、光ファイバーの点検や工事、データセンタの効率化、車載レーダ、各種通信デバイスの開発などに欠かせない先端的な製品・システムを社会に提供しています。
同社の創業は、奇しくもイタリア人発明家のグリエルモ・マルコーニが世界初の無線電信を成功させた1895(明治28)年。この時に誕生した石杉社(せきさんしゃ)(後の共立電機株式会社)が有線分野の先駆者として、無線通信に強みを持つ安中電機製作所と1931年に合併して安立電気株式会社が設立されました。同社の歴史は近代通信の幕開けとともに始まり、情報通信ネットワークの進化とともに刻まれてきたといえます。

情報通信と食品・医薬品の分野を支える各種製品
現在、同社は、中核事業である通信機器・設備の品質保証に必要な測定ソリューションの開発、製造、販売の他、食品や医薬品用の異物検出機や重量選別機、遠隔監視制御システム、通信用デバイスなど、情報通信と計測技術を基盤にして幅広い分野を支えるオリジナル&ハイレベルな製品とサービスを提供し、安全・安心で快適な社会づくりを支えています。その事業活動はグローバルに拡大し、2022年度の連結売上高の約7割は、海外市場によるものです。
2021年4月、同社では2025年に創業130周年を迎えるにあたり、さらなる飛躍を求めて〈「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。〉との新たな経営ビジョンを掲げ、コアコンピタンスである計測技術「はかる」を極めるとともに、「はかる」を超える価値や新領域を開拓していく姿勢と、サステナビリティ経営を展開することで、グローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献することを、内外に宣言しました。
攻めの姿勢で2030年度売上高2,000億円達成をめざし、次世代通信規格の6Gへの対応をはじめ、中核事業と新たな事業のますますの進化、発展が期待されています。

アンリツ株式会社 インフィビスカンパニー
日本事業本部 広域営業部長 高野俊幸 様(左)
グローバル事業推進本部 Iブランディング部 参与 澤野啓二 様(右)
4事業の特長と連携を活かして、社会に役立つソリューションを提供
同社は、創業以来「通信計測事業」を中心に、「PQA(プロダクツ・クオリティ・アシュアランス)事業」「環境計測事業」「センシング&デバイス事業」をバランス良く展開しています。グローバル本社機能と研究開発機能を集約したアンリツグローバル本社棟で、同社 コーポレートブランディング部 湊英里様にお話を伺いました。
「通信計測事業は、売上の6割以上を占める中心的な事業です。例えば、最先端の通信規格をいち早く測定器に落とし込み、キャリアやスマートフォンメーカー様にお届けしています」と語る湊様。最近では車載通信などで自動車業界でも必要とされる計測ソリューションも提案しています。また2011年の東日本大震災で大規模通信障害が発生した時には、光ファイバの通信断線状況を調べる機器を無償で貸し出し、社会貢献に取り組んだといいます。

アンリツ株式会社 コーポレートブランディング部 広報チーム 課長 湊英里 様
PQA事業は、食品や薬品の安全と安心を支えるX線検査機、金属検出機、質量検査機などを開発・生産する部門で、特に硬質異物検査の分野では業界をリードする技術の高さを誇っています。「他社よりも精度が良いもの、かつスピードが速いものでないと、社内でも開発の提案が通らないくらいのレベルで取り組んでいます」と技術の高さを自負する湊様。同事業は、世界的に進む食の安全性を支えるハイ・セキュリティのトレーサビリティに貢献しています。
環境計測事業は、河川氾濫の遠隔監視システムの提供や脱炭素化などの社会課題解決をめざすとともに、EVや電池の評価ソリューション提供にも注力しています。産業DX用ソリューション「AccelVision(アクセルビジョン)」は、PQA事業と連携した食品工場の遠隔監視システムをつくり、スマートファクトリー化を実現します。「これは製造現場のデータや映像を⼀元的に可視化し、製造現場と管理者の双⽅向コミュニケーションを可能にします」と湊様。
センシング&デバイス事業は、光通信とセンシング市場向けに光・超高速電子デバイスを開発・生産しています。最近は特殊な光源を活かして眼軸を精密に測定する機器の開発に貢献するなど、非通信分野にも進出しています。湊様は「当社のデバイスは精密度が高いのが特長です。また、通信をはじめ、医療、産業、環境、精密計測など幅広い分野にもアピールできるものです」と、同事業の強みを語られました。

5Gラボ 食品工場のスマート化に貢献するアクセルビジョン

電波暗室

130年の歩みを知るギャラリー

各種検査機で構成された品質管理システム

サンプルテストルーム
食品トレーサビリティを劇的に変える「検査×印字」の新システムの誕生
前述のPQA事業では、日立産機システムのIJプリンタとのコラボレーションにより、新たなトレーサビリティシステムを食品メーカーに提案、展開しています。
「食品メーカー様の最重要課題は安全性です。もし品質不良が発生した時には迅速に検査記録を確認できることが求められるので、当該商品に関するあらゆる検査データを即座に検索し、正確にお答えできる体制を構築する必要があるのです」と、同社 インフィビスカンパニー グローバル事業推進本部 I ブランディング部 参与の澤野啓二様は、食品業界に求められる安全性の厳しさを語られます。生産工程で、異物や形状異常などを検出するX線検査、金属検出、質量検査、高速自動計量などさまざまな検査機器の測定記録と動作来歴を一元管理するために、同社が開発したのが総合品質管理・制御システム「QUICCA」です。このシステムに、製品トレーサビリティに必要な製品IDを、包装面に不可視インクで正確かつスピーディに印字するために導入したのが日立産機システムのIJプリンタでした。

アンリツ株式会社 インフィビスカンパニー
日本事業本部 北海道営業部 水谷優士 様
グローバル事業推進本部 商品企画/販売促進チーム 森田光稀 様
日本事業本部 東北営業部 安福悠 様
日本事業本部 関東営業部 さいたま営業チーム 鈴木大成 様
日本事業本部 関西営業部 関西営業チーム 有馬大智 様
(左から)
「日立産機システムさんとのコラボレーションにより、IJプリンタと当社のQUICCAを組み合わせ、正確かつ高速印字を可能にするために、技術的な勉強会や市場に関する情報交換も行いました。今回のコラボレーションにより、トレーサビリティの高度化と、食の安全・安心にさらなる付加価値をご提供できるシステムを構築できたと考えています」と、経緯を振り返るのは同カンパニー 日本事業本部 広域営業部長の高野俊幸様です。従来は時間帯や検査項目から検査画像やカメラ映像を探し当てていたところを、IDを読み取ることで膨大な検査記録を一発で検索でき、検査画像を呼び出せる「検査×印字」のコラボレーションにより、食品検査に新たな価値を加えることができたと評価されました。
「今後は、同業他社や異業種の企業、さらには関連する商社や販売会社とのコラボレーションの機会を拡大し、市場を開拓するとともに当社のシステムを業界のデファクトスタンダードにしたいと思います」と澤野様は力強く展望を語られました。
日立産機システムは、これからもアンリツ株式会社様とともに、食の安全・安心に貢献してまいりたいと考えています。

「QUICCA」にセッティングされたIJプリンタ(右)

コンベアで運ばれる食品パッケージにIJプリンタでIDを印字

不可視インクで印字されたIDをブラックライトで可視化
お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—
新たな付加価値を創造することで、マーキングシステムの可能性を広げていきます
アンリツ株式会社様と連携して、同社のX線検査機と当社のIJプリンタを組み合わせたより高度なトレーサビリティを担保する品質管理システムを、食品メーカー様に提供しています。異物検査機メーカーとして最先端を走っているアンリツ様とのコラボレーションは、当社製品・システムだけではできなかったことや新たな価値を、お客さまにご提供できる機会となり、営業担当者として大変大きなやりがいを感じています。今後は、アンリツ様とともにこのコラボレーションをスタート地点として、他メーカーや関連する商社、販売店などとも連携し、食品業界全体に刺激を与えられるような取り組みも推進してまいります。

株式会社 日立産機システム
営業統括本部 設備第一営業統括部
省力営業部 マーキングシステムグループ
主任 孫田聖治
食の安全・安心に貢献できるIJプリンタを通じて、アンリツ様の発展に貢献します
2016年に始まったアンリツ株式会社様とのお付き合いを通じて、常にチャレンジするダイナミックな姿勢と、お客さまと真摯に向き合う誠実さが融合した社風にいつも感動しています。同社のX線検査機をはじめとする検査機器は、どの食品メーカー様にとっても欠かせない製品なので、アンリツ様と協業できることは、当社にとって大きな意義があります。今回ご紹介した品質管理システムを導入された食品メーカー様からは、当社のサービスエンジニアの迅速で質の高い対応に、高い評価をいただいています。今後とも食の安全・安心へのニーズはますます高まっていきます。アンリツ様とのパートナーシップを深めつつ、当社も新たな分野に挑んでまいります。
株式会社 日立産機システム
営業統括本部 設備第一営業統括部
省力営業部 マーキングシステムグループ
主任 遠藤晃希

ご採用いただいた製品
マーキングシステム
日立産業用IJプリンタ Gravis® UX2 Series
印字ヘッド自動洗浄機能搭載でよりクリーン&より使いやすく!
印字ヘッド先端は稼働中に汚れやすい部分です。セーフクリーンステーション内では印字ヘッド内部はもちろん印字ヘッド先端部分も自動洗浄することが可能となりました。さらに、操作画面のボタンを押すだけで定期的にインク噴出・循環運転を行い、インク詰まりを防ぎます。
主な特長
1. セーフクリーンステーションだからできる新機能
2. 新構造“インクガード”による生産性向上
3. 直感的に操作可能な画面構成と動画によるサポート

製品の詳細や導入に関するご相談はこちらから
( vol.130・2023年9月掲載 )