国内では知らない人がいない「サッポロ一番」シリーズの即席麺類が、アメリカの食品スーパーマーケットにも常に並んでいます。カリフォルニア州ロサンゼルスの南東に位置するサンヨーフーズ アメリカは、サンヨー食品株式会社のグループ会社として、即席麺類の原材料の調達から生産、販売、市場開拓までを担い、いつどこでも安心とおいしさを北米一帯に届けています。今回は、同社が北米市場に送り出す製品のトレーサビリティを支える、日立産機システム製のマーキング機器・システムや空気圧縮機などの製品をご紹介します。
画像1: 【お客さま導入事例 vol.168】
サンヨーフーズ アメリカ(Sanyo Foods Corp. of America)
         
日本発の即席麺を世界中で愛されるおいしさへ

サンヨーフーズ アメリカ
(Sanyo Foods Corp. of America)
President:高橋勇幸
設立:1978年
所在地:11955 Monarch Street, Garden Grove, CA 92841, U.S.A.
従業員数:80名
事業内容:即席麺類その他食料品の製造販売
https://sanyofoodsamerica.com/

サンヨー食品株式会社
代表取締役社長:井田純一郎
所在地:東京都港区赤坂3の5の2
従業員数:連結7,338人(2023年3月現在)
https://www.sanyofoods.co.jp/

世界に広がった日本発、即席麺のおいしさ

 サンヨーフーズ アメリカは、「サッポロ一番」で知られるサンヨー食品株式会社(以下 サンヨー食品)のグループ会社として、北米において即席麺類の製造販売を展開しています。サンヨー食品は、1953(昭和28)年に酒類販売業を営んでいた井田文夫様と井田毅様が事業の多角化をめざして乾麺製造を開始して以来、70年以上にわたる成長の軌跡を描いてきました。この間、「良い味の創造」を企業理念に掲げるサンヨー食品の発展とともに即席麺が世界に広がり、今では日本生まれの味が世界で愛され、親しまれるようになりました。その中でも「サッポロ一番」ブランドは誰にでも知られ、愛されるロングセラー商品です。「サッポロ一番 みそラーメン」をはじめとする同シリーズは累計250億食以上を販売し、日本国内の袋麺の市場では、ほぼ首位を維持している人気ぶりです。

画像: 北米市場で人気の主力製品

北米市場で人気の主力製品

 サンヨー食品は、1955年頃からアメリカ向けに即席麺の輸出を開始しましたが、日本で愛される味をさらに世界中の食卓に届けるために、1978年2月にサンヨーフーズ アメリカ(以下 同社)を設立しました。アメリカでの即席麺の総需要は年間約51億食、過去5年間の年平均成長率は4.7%といわれていますが、その中で同社は年間約1億食強の即席麺を製造販売し、近年、その生産規模はさらに拡大を続けています。同社 プラントマネージャーの関龍様は、「現在、サンヨーフーズ アメリカでは袋麺の生産に特化していますが、ベトナムや日本のサンヨー食品グループでつくられたカップ麺を輸入して北米で販売する事業も大きな柱です」と同社の業容を紹介されました。またアメリカでは、本格的な日本ラーメンの人気の高まりや、ヘルシー志向のニーズなどにも応え、ノンフライの袋麺を日本から輸入するなど、品揃えにも力を入れているといいます。

 北米市場における同社即席麺類の消費トレンドについては、「アメリカで一番人気がある製品は、『サッポロ一番オリジナル』(SAPPORO ICHIBAN ORIGINAL)、日本での『サッポロ一番 しょうゆ味』です。それ以外ではチキン、ビーフのフレーバーが人気ですね。近年は日本食人気やラーメンブームとの相乗効果もあり、豚骨、焼そばの販売も大きく伸びています」と近況をご紹介されました。

画像: サンヨーフーズ アメリカ プラントマネージャー 関龍(せきとおる) 様

サンヨーフーズ アメリカ
プラントマネージャー 関龍(せきとおる) 様

即席麺の魅力をアメリカの消費者に届けるために

 同社にとって、原材料の調達は常に重要な課題でした。特に進出当時は、ほとんどの原材料を日本からそのまま持ち込むことができなかったので、主原料である小麦やパーム油などの調達先を現地で探し出すために大変な苦労をされました。

 「北米進出を支えた先輩方は、原材料の調達、生産設備の調整、現地での人材採用や育成、販売先の開拓などの面で計り知れない苦労を乗り越え、現在の事業基盤を築いてくれました」と関様。「この先輩方のご苦労とは比べものにはなりませんが、2021年に私が着任した当時は新型コロナウイルス感染症が全米に拡大する中、食における巣ごもり需要が高まったことで即席麺類の生産がピークを迎え、生産現場のシフトを増やしても追いつかないほど大変な状況だったことをはっきりと覚えています。そのような状況下でサプライチェーンの混乱や人手不足などのハードルをスタッフや関係者、協力会社の皆さんと一緒に乗り越え、ラインを無事に立ち上げるという貴重な経験をさせていただきました」と振り返ります。

画像: サンヨーフーズ アメリカ アシスタントマネージャー/メカニックスーパーバイザー 飯田淳 様

サンヨーフーズ アメリカ
アシスタントマネージャー/メカニックスーパーバイザー 飯田淳 様

 同社の生産ラインは日本で設計し、日本メーカーの設備・機器を一度セットアップしたものを分解して輸入します。その後、工場に生産ラインを再構成しながら、蒸気パイプや電気設備、その他のユーティリティ関連設備を敷設する必要があるため、その調達や工事の調整も大変だったといいます。

 同社の生産ラインには、HACCPに沿って食の安全を実現するために、異物混入を防ぐ金属検出機やX線検査装置、重量選別機などの装置が備えられています。その下流の包装ラインには、製品のパッケージに賞味期限と機械番号を印字する日立産機システム製の産業用インクジェットプリンタ(IJP)と印字検査装置が設置されています。アシスタントマネージャー/メカニックスーパーバイザーの飯田淳様は、「当拠点では高速で袋麺を包装するので、そのスピードに対応できるIJPと印字の検査を精密に行う検査装置は欠かせません」と語られました。関様、飯田様は、「他社の印字装置と比べ、メンテナンスの作業性、ランニングコスト、印字品質の高さ、印字検査装置の機能性などを総合的に評価して、日立 IJPが最良と判断しました」と、新ライン導入時に同機が選定された経緯をご紹介されました。

画像: IJP、印字検査装置などを備えた印字工程

IJP、印字検査装置などを備えた印字工程

画像: 袋詰め前の麺とスープ(左) 袋詰めを終えた製品(右)

袋詰め前の麺とスープ(左) 袋詰めを終えた製品(右)

画像: 多くの包装用資材(左) 北米市場向けの出荷に備えた製品(右)

多くの包装用資材(左) 北米市場向けの出荷に備えた製品(右)

先進の食品安全管理システムの構築をめざして

 同社工場は設立から45年以上経過していますが、定期的なメンテナンスを欠かさないことで、来訪者の皆さまからは「きれいな工場」と評価されているといいます。「2022年には前述の新ラインが稼働し、その後も空気圧縮機やボイラーなどを更新・増設することで盤石な生産体制が完成しつつあると思います」と飯田様。さらに、「日系スーパーでは『サッポロ一番』の商品をよく見かけますが、巨大な市場規模から見れば認知度を高めるための努力がまだまだ必要です。さらに味づくりの探求、品質本位の製品づくりの面に終わりはなく、市場ニーズに合わせた設備変更や商品開発も進めながら、あらゆる分野にアンテナを張って将来に向けた戦略を練っていきたいと思います。また、DXやIoTの活用などによって食品安全管理システムのレベルを高めることを検討しているので、日立産機システムさんやその現地法人であるHitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC(以下 HIESA)にもご協力をお願いしたいですね」とのお言葉をいただきました。

画像: 視認性に優れた印字フォント

視認性に優れた印字フォント

 「米国にはさまざまな人種や文化的な違いを持った人が集まり、食文化も多様です。物流や原材料調達の選択肢も日本とは異なります。幸いなことに当社は機動力もあり、製造と販売が一体化しています。新たな課題に対してスピーディに対応し、さらなる進化、発展をめざす取り組みを進めたいと考えています」と関様。飯田様は「当拠点のスタッフの出身地は中南米をはじめ多様です。文化や言葉の違いはありますが、会社主催の昼食会やクリスマスパーティなどを通じてチームワークを大切にしながら助け合って働いていただいています。また一人ひとりが安全を強く意識しているので、労働災害はずっと発生していません」といいます。

 関様は、「今後も北米進出した当時に掲げた『日本で愛される味をより世界中の食卓に届ける』という原点を忘れず、お客さまに安全にかつ安心して召し上がっていただける製品づくりに努めていきます。そして、多くのサプライヤー、社内のさまざまな部署、現場のオペレーターの皆さんが誇りを持てるような製品づくり、会社づくりに取り組んでいきます」と力強く決意を述べられました。

 日立産機システムは、現地法人であるHIESAやHitachi Global Air Power US, LLC、日立グループのシナジーを活かして、サンヨー食品様、サンヨーフーズ アメリカ様のさらなる発展に貢献してまいります。

画像: 高速印字する印字ヘッドと印字検査用カメラ

高速印字する印字ヘッドと印字検査用カメラ

画像: 日立産業用インクジェットプリンタ(IJP)(左) IJPと連携している日立印字検査装置(右)

日立産業用インクジェットプリンタ(IJP)(左) IJPと連携している日立印字検査装置(右)

画像: 圧縮エアーによる工場現場の清掃作業(左) 日立オイルフリー圧縮機、エアードライヤー(右)

圧縮エアーによる工場現場の清掃作業(左) 日立オイルフリー圧縮機、エアードライヤー(右)

お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—

米州の日系企業のお客さまに、信頼され頼りにされる存在をめざして

 私は、2023年12月から日立産機システムの子会社 Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLCに赴任し、今はカリフォルニア州オンタリオに拠点を構える同社オフィスにおいて、セールスマネージャーとしてサンヨーフーズ アメリカ様のような米州で事業を展開する日系企業を担当しています。米州担当を拝命する前は、IJPとそのインクの市場要求を反映するために、製品開発に関わってきた経緯や、また欧州向け製品のREACH規則(欧州の化学物質管理における法規制)への対応をサポートするためにドイツに赴任していました。
 現在は、当社のマーキング機器・システムの専門家として、お客さまである日系企業のモノづくりを支援できるソリューションの提案やサポート、さらには新規顧客の開拓などに当たっています。なお、昨今は、⼯場のスマートファクトリー化やIoT化の推進が加速しています。そこで、紫外線照射で発光させることで可視化できる不可視インクや、印字した⽂字を消去できるインクを⽤いてマーキングすることで、トレーサビリティを⾼度化し、お客さまの課題を解決できるソリューションをご提案することも考えています。
 これまでに培ってきた、プリンタやインクの専門知識を活かして、日系企業のお客さまから頼りにしていただける機会が増えてきました。日立産機システムにとって、海外営業力は今後ともさらに重要になると思います。お客さまのご期待に応えて、さらに価値ある存在となるべく当社のサービスや営業の対応力と日立グループのシナジーを活かして、北米はもちろんのこと中南米における当社の存在感を高めていきたいと思います。

画像2: 【お客さま導入事例 vol.168】
サンヨーフーズ アメリカ(Sanyo Foods Corp. of America)
         
日本発の即席麺を世界中で愛されるおいしさへ

Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC
ナショナルアカウントマネージャー-ジャパニーズ・アカウント
武山博道

Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC

日立産機システムの米州展開を支える販売・サービス拠点

米国イリノイ州シカゴ郊外に本社を構え、日立産機システム製のインクジェットプリンタ、レーザーマーカ、水中ポンプ用モータ、インバータ、IoTソリューションなどさまざまな産業用機器の販売・サービスを北米・中南米で広く展開しています。本社以外に、ノースカロライナ州シャーロットには営業・サービス、倉庫、インクの開発・生産拠点を構えています。また、カリフォルニア州オンタリオの営業・サービス拠点では、西海岸地域におけるお客さまのサポートを行っています。

画像: 拠点内に掲げられた日立創業の精神「和」「誠」「開拓者精神」(左) サービス部門のリーダーたち(右)

拠点内に掲げられた日立創業の精神「和」「誠」「開拓者精神」(左)
サービス部門のリーダーたち(右)

Hitachi Industrial Equipment & Solutions America, LLC
https://www.hitachi-iesa.com

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( vol.138・2025年1月掲載 )

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