
本社・早月事業所
株式会社スギノマシン
代表取締役社長:杉野岳
創業:1936(昭和11)年3月
設立:1956(昭和31)年4月
所在地:本社・早月事業所 富山県滑川市栗山2880番地
従業員数:1,440名(グループ全体) 2025年3月31日現在
事業内容:高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電所検査保守用機器、湿式・乾式微粒化装置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具、バイオマスナノファイバー、産業用ロボット等の開発・設計、製造、販売
https://www.sugino.com

株式会社スギノマシン
代表取締役社長 杉野岳 様
類まれな「技術の連鎖」が生んだ「グローカル」カンパニー
株式会社スギノマシンは、発明意欲に満ちた杉野林平様により日本で初めて開発された「チューブクリーナ」の製造・販売を目的に、1936年に大阪の地で創業されました。チューブクリーナは、蒸気機関のボイラーや発電所などの熱交換器を構成する何万本ものパイプ内に付着したスケール(堆積物)を取り除くための工具であり、「切る・削る・洗う・磨く・砕く・解す」の6つの「超技術」と呼ばれる同社の独自技術のすべての源流をなすものです。

国産初の「チューブクリーナ」
同社 代表取締役社長の杉野岳様は、「当社は、創業者の『自ら考え、自ら造り、自ら販売・サービスする』という精神を引き継ぎ、他社が真似のできない多くのコア技術を生み出し、創業以来90年間、世界各国3万社のお客さまのニーズにお応えしてきました。当社の技術は、正当進化だけでなく、枝分かれや別の技術との融合を繰り返し、網の目をなすように発展してきましたが、もとを辿るとすべてチューブクリーナに行き着きます」と語ります。
さらに、「自分たちでつくったものを自ら納め、自らの手でメンテナンスをするので、お客さまから直接ご評価をいただくことができ、商品の改良すべき点がすぐに分かります。また、お客さまの現場で、お客さまの気づかないニーズを見出し、自分たちのシーズを組み合わせてソリューションを提案することで、また新しい技術や商品が生まれていくのです。この技術と市場創造の連鎖が、当社の発展の原動力であり、最大の強みです」と、技術を核とした発展の歴史を紹介されました。
現在、同社は生産のほとんどを国内で行っており、富山県滑川(なめりかわ)市の2ヵ所の拠点で8割以上の生産額になります。一方で、売り上げの半分は海外で、9ヵ国の現地法人と、40ヵ国以上の販売ネットワークを通じてビジネスを展開しており、「超高圧水(ウォータージェット)」技術を活かした分野では、世界トップシェアを誇っています。
「特定の国や地域、業界に偏ることなく、自動車、電機、半導体、航空宇宙、土木・建築、化学、医薬品、食品、水素、原子力発電、核融合などさまざまな分野に向けて、装置やツールを提供しています」と杉野様。滑川市という地方都市(ローカル)で開発・製造した商品を武器に「どうしてもスギノマシンの技術・製品が必要」と言っていただけるニッチな市場を見つける、あるいは創り出す。そしてその市場においてトップを取る「グローカルニッチリーダー」という戦略は、同社90年の歴史から生み出された経営方針です。

超高圧水切断装置「アブレシブジェットカッタNC-5AX」<一点指向仕様ハイエンドモデル>、 SMART M/C「X10」、 ウォータージェットバリ取り装置「JDM」 (上段左より)
湿式微粒化装置「スターバーストラボ」、 ローラ・バニシングツール「SUPERROLL」、 クローラ式小型作業ロボット「Crawler Type Multi-Joint Robot」 (下段左より)
「超高圧水」技術とプロダクトアイデンティティから生まれた
新型ポンプユニット

株式会社スギノマシン
高圧機器事業部
生産統括部 WJ技術部
部長 舟津昭博 様
同社の主力工場の一つである早月事業所では、「超高圧水」技術を活用したウォータジェット関連装置などを、もう一方の滑川事業所では、マシニングセンタやロボットマシニングユニットなどの開発・製造を行っています。
早月事業所において、同社を象徴する高圧水機器の開発と設計部門を統括するのは同社 高圧機器事業部 生産統括部 WJ技術部部長の舟津昭博様です。
「当社は、500MPaを超える超高圧水を発生させるポンプから、それを噴射するノズルに至るまで、すべての構成部品を自社で開発・製造できる技術と生産能力を有しています。高圧機器関連商品は、土木・建築、航空機、自動車、化学、医薬品、食品などの幅広い産業分野で使われていますが、中でも250MPaの超高圧水を40L/minの勢いで噴射することで、老朽化した道路や橋などのコンクリート構造物をはつったり(はつり=コンクリートを剥がす、壊す、削ること)、塗装面を剥がしたりする技術は、社会インフラの維持のために欠かせません」と語ります。今回ご紹介する超高圧水発生ポンプユニット「HI-JET 3000GT-R」は、そのフラッグシップモデルとして2024年秋に市場に投入されました。
「本機には先代モデルがありましたが、基本的なスペックを変えることなく、もっと小型に、もっと操作しやすくしてほしい、という施工会社様などのご要望に応えて開発しました。設計上、特に重視したことは、小型化と遠隔操作性の向上、そしてプロダクトアイデンティティ(PI)に沿った商品づくりです」と舟津様。小型化については、全長を4,150㎜から3,750㎜へと約400㎜短縮しました。遠隔操作性の向上については、オプション仕様の専用タブレットにより、ポンプ本体から数百mも離れた場所にいる作業者でも、自身の手元で安全、簡単な操作と、ポンプの稼働状態のモニタリングができるようになりました。
PIについては、スマートで斬新なポンプ本体のデザイン、使い勝手を考慮したカバー設計に反映するとともに、ユーザーフレンドリーな使い心地や機能性、操作性に大きな影響を与える制御盤や通信機能、操作用タッチパネルにもこだわり、その設計・デザインは、同部 電装設計課 一係 古川爽一郎様がデザイナーとともに担当しました。古川様は「PIに基づいて仕上げたユーザーインターフェースのデザインや使いやすさには大変満足しています」と語ります。

本社・早月事業所の生産ライン

製作中のアブレシブジェットカッタ

大型加工機(製造設備)

ウォータージェット関連製品の組み立て

本社・早月事業所のショールーム

生産ラインの動力を担う日立空気圧縮機(左、右)


スギノタワー最上階に設置された日立電気ホイスト

ウォータージェット関連製品に組み込まれた日立モータ
安全な遠隔操作を支える、
堅牢、コンパクトな産業用無線ルータ

株式会社スギノマシン
高圧機器事業部
生産統括部 WJ技術部
電装設計課 一係
古川爽一郎 様
今回、遠隔操作性の向上に欠かせない安定した遠隔通信を実現するために、日立産業用無線ルータが採用されました。
舟津様は、「高速道路や一般道路のコンクリート面のはつり、ビルの塗装やアスベストの安全な除去、電車の塗装のはく離などに本機が使われる際には、ポンプ本体を置く場所と施工する場所が遠く離れることが多く、正確で安全な遠隔操作と制御を行うためには、ポンプ本体と操作用の専用タブレットとの間と、ポンプ本体内に設置された制御用のPLCと無線ルータとの間の安定した通信が必要不可欠です。加えてポンプ本体は、運搬時には振動や衝撃が加わり、稼働中も温度変化にさらされるので、無線ルータは堅牢でコンパクトであることが必須条件でした」と日立産業用無線ルータを選定された背景を紹介されました。
古川様からは、「初期モデルではWi-Fiを使っていましたが、実際の施工現場では障害物が多く、通信が安定しないこともありましたので、電波がつながりやすいキャリア通信に対応した機種を選びました。最初に選定したキャリア通信用無線ルータは海外製で使い勝手に難点があった上、設定作業などで困った時に満足できるサポートが得られなかったことも日立製品を選んだ理由でした」との評価をいただきました。「発売以来、うれしいことに、お客さまはオプション対応の専用タブレット付きの商品を選ばれることが多く、今後の商品開発に向けて明確な指針になります」と古川様。舟津様も、「高圧機器関連では、この超高圧水発生ポンプユニット以外に、三連プランジャポンプやウォータージェットカッタなど、多彩な商品を展開しています。今回の成功例を発展させ、グローカルニッチリーダーとして、今後も世界的なライバル企業に勝てる『超技術』を追及していきます」と、力強く抱負を語られました。

ウォータージェット(WJ)ブラスト用大流量・超高圧水ポンプユニットのフラッグシップモデル
「HI-JET 3000GT-R」

ポンプの遠隔操作を可能にする専用タブレット(オプション対応)

「HI-JET 3000GT-R」から供給される超高圧水により道路の白線をはく離する装置(左)
作業中にも専用タブレットにより遠隔操作が可能(オプション対応)(右上)
創業100周年の2036年、さらにその次の100年をめざす
杉野様は、「当社の存在意義は『超技術』を追求し、技術で世の中に貢献することです。それを全うすることが当社の使命であり、この使命を全うした証が利益として返ってくるという考えで、これまで経営にあたってきました。その結果、2024年度と2025年度には営業利益率15%を達成することができ、現在は新たなフェーズとして、創業100周年にあたる2036年の営業利益率20%を目標に掲げています。次の100年に向けてのあるべき姿を追及し、強みをいかんなく発揮するために2026年4月、全社的に組織を変更しました」と最近の取り組みを紹介されました。
事業部門は、精密機器事業部、高圧機器事業部、PRI事業部の3つに再編され、精密機器事業部では工作機械などの精密加工を中心とした技術で、高圧機器事業部では同社のコア中のコアである超高圧水技術で、PRI事業部では原子力発電や核融合などで培った、同社技術の高度な組み合わせで、さらなる社会貢献をめざすこととしています。なお、核融合では、量子科学技術研究開発機構、双日マシナリーと共同で、南フランスの核融合実験炉IETRの重要機器の製作や、日本のベンチャー企業ヘリカルフュージョン社にコイル製作装置を納入するなど、注目すべき成果をあげています。

富山大学 キャンパス内施設においてネーミングライツを取得し、大学の発展に貢献
「当社は、創業の地、大阪から富山に移転し、地方都市に根づいた企業として発展してきましたので、地域社会とは運命共同体です。故に、富山県内の国公立大学や高等専門学校、小中学校に向けては、教育面や財政面での支援活動を続けています」と杉野様。さらに、県内のプロサッカーチームカターレ富山へのスポンサードを通じて、「カターレ富山“夢教室” supported by スギノマシン」を開催し、小学生に目標を持って生きるということを考える機会も提供しています。
「現在私は、『必然経営』という方針を掲げています。これは、スギノマシンにしかできないこと、スギノマシンがやるべきこと、つまりスギノマシンがやる必然性のあることを地道に実行していくという意味です。この経営方針のもと、常に一歩先の『超技術』を追い求め、社会のニーズに応え、必要とされる存在であり続けたいと思います」と、杉野様は力強く抱負を語ってくださいました。
株式会社北陸日立と日立産機システムは、世界を舞台に独自の強みを発揮する同社の進化と発展に向けて、さらなる貢献を果たしてまいります。

コントロールボックス内に設置された日立産業用無線ルータ「CPTrans MJW」(左)
「HI-JET 3000GT-R」の前面フード内のコントロールボックスと白いマグネットアンテナ(右上)
お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—
株式会社 北陸日立
株式会社スギノマシン様は、ウォータージェット分野における世界のリーディングカンパニーです。これまで、高圧水発生ポンプの動力源となる日立モータをはじめ、空気圧縮機や電気ホイストなど、多くの日立製品をお使いいただいてきました。今回は、超高圧水発生ポンプユニットの新機種に組み込む日立産業用無線ルータをご採用いただき、大変ありがたく思っています。今後も、他の機種にご採用いただけるようご提案してまいります。

営業本部
第一営業部
部長 山下英明 様(左)
産業システムグループ
主任 嶋田克海 様(右)
株式会社 日立産機システム 北陸支社
株式会社スギノマシン様とは、これまで日立グループとして幅広いお付き合いをいただいてきました。日立産業用無線ルータのご採用に向けては、北陸日立さんとともに、お客さまのニーズに合わせながらご提案を重ねることで、耐振動性・耐衝撃性、小型化などを評価してご採用いただくことができました。今後は、工場のDX化やAI化などの分野でも、「One Hitachi」の力を発揮して貢献したいと願っています。

営業第一グループ
部長代理 佐伯斉宏(左)
主任 高木伸紘(右)
株式会社 日立産機システム インフラシステム統括本部
お客さまの大流量・超高圧水ポンプユニットを無線タブレットで制御するために必要な無線ルータとして、厳しい温度変化や優れた耐環境性を持つ「CPTrans-MJW」をご採用いただけたことを、大変うれしく思います。この製品はマルチキャリアや無線LAN、Ethernet、シリアル通信規格などにも対応するとともに、豊富なインターフェースを有しています。また、LTE通信機能、位置情報取得機能などの20個以上のアプリケーションの設定・管理、監視を容易に実行できる独自開発したミドルウェアを実装していることも大きな特長です。開発にあたっては、アプリケーションの試験自動化プログラムを作成したことで、開発期間の短縮も実現することができました。本機とともに、グローバル対応モデル「CPTrans-MGW」も同時に開発しましたので、今後は、海外展開をさらに加速させていきたいと考えています。

デジタルイノベーション事業推進室
IoT機器設計部 位置・通信機器設計グループ
グループリーダー主任技師 谷川原誠(右)
同グループ技師 鈴木輔(左)
ご採用いただいた製品
産業用無線ルータ
CPTrans-MJW 国内通信モデル
産業機器への組み込みにより、稼働状況の遠隔監視・操作や
生産状況のデータ収集・見える化など、IoT化を実現。
効率的な工場運営に貢献します。
●豊富なインターフェース(キャリア通信、無線LAN、Ethernet、RS232C/RS485)
●手のひらサイズのコンパクトな本体(80mm×80mm×28.8mm)
●産業用の組み込みを意識した設計で、DINレール取付可能
●通信の安定稼働を実現するための自己監視機能を搭載

製品の詳細や導入に関するご相談はこちらから
( vol.147・2026年7月掲載 )




