1959(昭和34)年、株式会社五藤光学研究所が国産初の完全投映式プラネタリウムM-1型を開発した。同年の東京国際見本市で初号機が公開されたのを皮切りに、1970年代にかけて国内外で多数納入された実績を誇る。直径10mのドームに投映するもので、光学式プラネタリウムとしては日本初の本格的な量産機種であり、日本のプラネタリウム機器が世界的評価を獲得(日本製の世界シェア70%)する基礎となったパイオニアである。近代的プラネタリウムの要素(レンズ投映式、年周運動の投映)を実現したM-1型は、国立科学博物館の2021年度「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」にも登録されている。
1965(昭和40)年に東京海洋大学に設置されたM-1型は、航海用天測技術の学習や天体教育に活用され、管理運営を担う東京海洋大学海事普及会では今も学生が参画してメンテナンスを行うなど技術伝承にも貢献している。国産最古の現役投映機として例年6月の海王祭(東京海洋大学越中島キャンパス(海洋工学部)の学園祭)で公開され、上映も行われている。
所蔵:国立大学法人東京海洋大学越中島会館
https://kaijifukyu.main.jp/index.html
引用 : 日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第117号
https://www.jsme.or.jp/kikaiisan/heritage_117_jp.html
協力・参考 : 東京海洋大学海事普及会
https://kaijifukyu.main.jp/index.html
( vol.144・2026年1月掲載 )



