
株式会社ハリマビステム
代表取締役社長:免出一郎
設立:1961 (昭和36) 年
所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目2番1号
横浜ランドマークタワー16階
従業員数:4,439名(2024年3月末現在)
事業内容:ビルの総合管理、マンションの総合管理、
環境ソリューション、PPP/PFI事業(官民連携事業)
https://www.bstem.co.jp/
千葉エス・アンド・エス株式会社
千葉県警察本部庁舎管理センター
業務総括責任者:阿部純
所在地:千葉県千葉市中央区長洲1丁目9番1号

株式会社ハリマビステム
PPP本部 LCM部 副部長 小松豊 様
総合ビルメンテナンス企業として、首都圏を中心に事業を拡大
株式会社ハリマビステムは、1961年の設立以来、首都圏を中心に事業を展開する総合ビルメンテナンス会社です。現在、2,300棟以上の施設管理を受託するなど業界では中堅に位置し、大型複合施設や民間の建物管理、業界トップレベルの受注実績を誇るPPP/PFI事業などを拡大しています。
同社 PPP本部 LCM部 副部長の小松豊様は、「当社の強みは、ビルメンテナンス、施設管理に関わるさまざまなサービスをワンストップで提供できることです。お客さまからの緊急時のご要望に対応するコールセンターを自前で持っていることや、社内には一級建築士をはじめとする技術系、サービス系の有資格者が多いことが特長ですね」と語ります。
また、同社にとって1993年に播磨ビルサービス株式会社から現社名に変更したことが、大きな発展のきっかけとなりました。株式上場や海外進出をなし遂げ、売上高100億円達成や横浜みなとみらい21地区の象徴である横浜ランドマークタワーの運営・管理業務を受注するなど、1990年代はまさに飛躍の時代でした。

千葉県警察本部庁舎外観
2000年以降に同社を牽引する新しい力となったのがPPP/PFI事業です。積極的に大手ゼネコンなどとコンソーシアムを組成し事業獲得の機会を拡大。今回訪問した千葉県警察本部の庁舎建設に関わるPFI事業への参画は、代表的な取り組みの一つです。
この事業は、株式会社日立製作所、鹿島建設株式会社、株式会社竹中工務店などを中心に設立された特別目的会社(千葉エス・アンド・エス株式会社)が、建設予定地の既設建物の撤去、設計・建設から、供用開始後は施設の維持管理や運営などを2029年3月まで行うものです。同社は特別目的会社の出資者として入札時から参画し、2009年6月の供用開始からは維持管理業務、受付案内、広報センターの運営、警備業務などを特別目的会社から委託されています。
「千葉県の政治・経済・文化の中枢機能が集まる中心市街地に立つ千葉県警察本部庁舎では、千葉県民の期待と信頼に応えるために安全で安心して暮らすことができる町づくりに向けた警察活動が展開されています。当社は特別目的会社の千葉県警察本部庁舎管理センター 業務総括責任者 阿部純様のもと、庁舎全体の維持管理と運営を通じて警察業務の円滑な遂行に貢献していると自負しています」と小松様は同社の取り組みの意義を紹介されました。
* PPP(Public Private Partnership): 官民連携事業 / PFI(Private Finance Initiative): 民間資金等活用事
「予防保全」のコンセプトで建物、設備を守る維持管理業務
特別目的会社において維持管理責任者を務める同社の土井信廣様は、「警察業務に欠かせない通信指令などに関わる特殊な機器以外のさまざまな設備、例えば受変電・配電設備や照明、空調、水やガスに関わる設備や植栽、清掃などの維持管理業務については、私たちが全責任を負っています。また、2029年3月までの長期修繕計画書があるので、それに基づいて建物と設備のメンテナンスや修繕を着実に遂行していくことも大切な業務です」と紹介されました。
しかし建物や設備は、長期修繕計画通りに故障したり劣化するわけではなく、予定より早く修理したり、修理の必要がないこともしばしばありますので、定められた予算枠の中で個々の設備の状態に応じた手当を施しながら、全体の業務の進行を細やかに調整しているといいます。土井様は、「維持管理業務の一番の目的は、供用開始から20年間、建物や設備が常に健全な状態にあり、千葉県警察本部の職務が円滑に遂行されることです。この目的を果たすため、私たちは事後保全ではなく予防保全を重視しています」といいます。

株式会社ハリマビステム
千葉エス・アンド・エス株式会社(特別目的会社)
千葉県警察本部 庁舎管理センター
維持管理責任者 建築設備診断技術者 土井信廣 様
小松様は、「千葉県警察本部の建物と設備機器は365日、24時間休みなく稼働していますので、停電を起こすような電気設備のトラブルは許されません。したがってその維持管理と点検は、最重要な使命の一つです」と強調されました。「2025年2月、高圧配電設備の点検と保守にあたっては、長時間、電気を停めないで作業を終わらせることを大きな目標としました。そこで、施設内の各種ポンプのメンテナンスを長年にわたってお願いしている日立産機グリーンテックの佐藤さんに相談したところ、高圧配電設備の心臓部である日立VCB(真空遮断器)については長時間の停電が必要な細密点検ではなく、日立産機システムさんのリビルトプロダクツの導入を提案していただきました」と土井様は、これまでの経緯を紹介されました。
VCBは漏電などによって生じる大きな事故電流を瞬時に遮断する重要な機器ですが、その細密点検には通常、1台につき約2時間の停電が必要です。そこで、経年劣化した部品を新品と交換して組み立てることで、新品同等の品質を保証したリビルトプロダクツに20分で入れ替えるメンテナンス方法が採用されることになりました。

千葉県警察本部庁舎管理センター

日立VCBが使われている電気室
新たな製品・システム、ソリューションを通じて、持続可能な社会づくりに貢献
今回の作業では、2台のVCBをリビルトプロダクツに入れ替えましたが、その他のVCBについては事業期間中にすべてリビルトプロダクツにする計画です。小松様からは、「短時間の停電とコストメリット、日立クオリティへの信頼があったので、事業終了後に電気設備を良い状態で千葉県にお返しできると考え採用しました」との評価をいただきました。さらに、「高圧VCBをリビルトプロダクツに入れ替え、取り外したVCBを日立産機システムさんが引き上げて、新品同等の品質を保証したリビルトプロダクツとして社会の中で循環させるというコンセプトは、電気機械器具の分野でも重要になっていくと考えています。サーキュラーエコノミーの実現、持続可能な社会への貢献という点で期待できる取り組みですし、積極的にアピールしていただければ社会全体にも良い影響を及ぼすと思います」とのお言葉をいただきました。
同社は、従来からSDGsへの取り組みを積極的に推進しています。直近では一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入が禁止される2027年に向けて、顧客である中小のオフィスビルの照明器具をLEDに交換することで、省エネルギー推進に貢献することをめざしています。同時に、「長期ビジョン2026-2035」の実現に向けた新たな挑戦も待っています。

株式会社ハリマビステム
千葉エス・アンド・エス株式会社(特別目的会社)
千葉県警察本部 庁舎管理センター
電気主任技術者 米澤準二 様
小松様は、「長期ビジョンでは『挑戦する文化を醸成し、イノベーションを起こす』ことをめざし、グループ成長戦略、企業価値向上戦略、人的資本戦略を推進することで、事業エリア拡大、新事業開拓、海外事業展開、積極的なM&Aの実施などに取り組み、2035年度に連結売上高500億円、連結営業利益30億円達成を目標としています。全社一丸となって、『ハリマで良かった!』という声が周囲から聞こえてくる未来の実現に向けた大きなステップを踏み出していきたいと考えています」と同社の戦略と展望を紹介されました。
堅実で安定した経営のもと、風通しが良く働く人を大切にする企業風土で知られる株式会社ハリマビステム様。日立産機システムと日立産機グリーンテックは、「グリーン」「デジタル」「リカーリング」をキーワードとする製品・システム、ソリューションのご提案を通じて、同社のご期待に応えつつ、今後のさらなる発展に貢献してまいります。

日立Hy-VCB(ハイブリッド形真空遮断器)のリビルトプロダクツ

日立VCBの機構部

VCBをリビルトプロダクツに取り替えた高圧盤

日立モールド変圧器
お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—
株式会社 日立産機システム
Hy-VCB(ハイブリッド形真空遮断器)のリビルトプロダクツの事業化にあたっては、市場調査、他社動向の把握などを通じて社内調整に奔走してきましたので、株式会社ハリマビステム様をはじめ多くのお客さまからお引き合いをいただき、うれしく思っています。停電時間の大幅な短縮と点検業務の軽減、サーキュラーエコノミーへの貢献、当社にとってはリカーリング事業の拡大に寄与しますので、本製品のメリットをさらに広く伝えてまいります。

受変電・配電システム統括本部
受変電制御システム事業部
開閉装置システム設計部 器具設計グループ
技師 芝山慎一(左)
セールスエンジニアリング統括部
コネクティッド機器エンジニアリング部
コネクティッド機器グループ
技師 野澤俊成(右)
株式会社 日立産機システム カスタマーサクセス・サービス事業本部
2025年2月、千葉県警察本部庁舎の高圧配電設備内のHy-VCBをリビルトプロダクツに入れ替えました。作業時間は1台で約15分。試験は約5分と、細密点検に必要な2時間から大きく短縮できました。今後は、リビルトプロダクツ採用による停電時間の短縮、人件費や作業時間の低減というメリットの訴求だけではなく、受変電・配電設備の健全性を常に維持するため、点検の重要性を改めて全国のお客さまに訴求していきたいと考えています。

サービス事業部 東京サービス部
ドライブ・受配電グループ
縄田克己
株式会社日立産機グリーンテック 習志野事業部
2009年に千葉県警察本部庁舎が竣工した時から、株式会社ハリマビステム様から緑地管理などを受託してきました。その後、ポンプのメンテナンスを日立産機システムのサービスエンジニアとともに対応させていただきました。今回は、Hy-VCBのリビルトプロダクツを採用いただき、計画通り短時間で作業を完了することができました。今後とも環境創造企業として、日立産機システムのグリーンプロダクトの事業を支え、お客さまに貢献してまいります。

環境ビジネス本部 環境設備部
環境設備グループ
課長 佐藤友浩
ご採用いただいた製品
高圧真空遮断器
Hy-VCB※ リビルトプロダクツ
※ Vacuum Circuit Breaker
停電時間の確保が難しいVCBの点検・更新。
リビルトプロダクツならその問題を解決します。
VCB(真空遮断器)を点検または更新する際に、本体ごと日立産機システムが提供するリビルトプロダクツと入れ替えるソリューションをご提案。新品出荷時と同等の試験を全数実施することで信頼性を確保し、筐体はメッキから塗装にすることで耐久性を向上。制御基板や電気的主要部品は最小限の交換なので環境負担を低減させます。

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( vol.141・2025年7月掲載 )