母から娘へ、娘からその娘へと、110年余にわたって女性たちに愛され続けてきた「双美人」ブランドの化粧品──。株式会社クラブコスメチックスは、明治時代に自然派化粧品の先駆けとして誕生し、オリジナリティあふれる高品質の製品をつくり続けてきました。チャレンジ精神と社会貢献の姿勢を大切にする企業風土に支えられながら、原材料と品質の良さを強みにOEM/ODMでも業績を伸ばしています。今回は、五條工場で30年以上ご採用いただいている日立産機システム製品と増産に対応するために設備増強に取り組む同工場をご紹介します。
画像1: 【お客さま導入事例 vol.146】
株式会社クラブコスメチックス五條工場

「双美人」に込められた美への思いを継承して、オリジナリティあふれるヒット商品を生み出し続ける。

株式会社クラブコスメチックス

代表取締役社長:中山ユカリ
創業:1903(明治36)年4月
設立:1939(昭和14)年11月
本社所在地:大阪市西区西本町2-6-11
五條工場:奈良県五條市住川町888-4
従業員数:328名(2019年1月1日現在)
事業内容:化粧品・医薬部外品の製造・販売・研究・開発・企画
https://www.clubcosmetics.co.jp/

100年余のロングセラー品が今も愛される、自然派化粧品の先駆け企業

 優雅な「双美人」のラベルで知られる化粧品製造販売業の株式会社クラブコスメチックス。1903(明治36)年に化粧品雑貨卸売の中山太陽堂として創業し、2019年で116年を迎えた老舗企業です。創業者の中山太一氏は化粧品の原料を従来の鉱物性から天然動植物性への転換をはかり、初の自社製品である1906(明治39)年発売の「クラブ洗粉」、1911(明治44)年発売の「英国式クラブ美身クリーム」などで、日本の女性たちを魅了してきました。1918(大正7)年には、最新ベルトコンベヤーを採用した東洋一の近代工場を建設し、生産の能率化も進めました。商品ラベルにも生かされている「双美人」は、「ひとりよりふたり、より多くの女性に美しさをお届けする」という企業理念のシンボルです。本社1階の文化資料室で化粧品文化を紹介する活動には、そんな会社の姿勢が表れています。

 今回訪ねた五條工場は、1976(昭和51)年、奈良県五條市において竣工。生産規模と機能を進化させたこの工場で、日本生活協同組合様の基礎化粧品のOEM(受託生産)に取り組んだことが同社の発展をさらに後押ししました。

画像: 幅広い年代の女性に愛され続ける商品の数々

幅広い年代の女性に愛され続ける商品の数々

 「当時は鉱物油を使った化粧品による肌荒れなどが多かったのですが、当社は薬草をいち早く採り入れ、安全安心を訴求したことで選んでいただけたのだと思います」と受託の経緯を振り返る取締役 五條工場 工場長の森岡正利様。2000年以降、さらに本格化したODM(受託設計生産)生産も合わせ、OEM/ODMは現在、売上の4割以上を占めるまでになりました。

 116年の揺るぎのない歴史と品質の良さを強みに誕生した商品ラインアップは、幅広い世代に応える「クラブ」ブランド、紫根エキスを使ったサロン・訪問販売展開の「サロン ド フルベール」ブランド、地域の資源を活用した「SHIZEN(シゼン)」シリーズの3つの自社ブランドと、ライセンス商品の「マリークヮントコスメチックス」。研究開発を担う化粧品文化研究所を拠点に、地元奈良県の薬草や柿の葉、長崎県五島列島のツバキなどの植物資源を活用したコラボ製品の展開も積極的に進めています。

画像: 株式会社クラブコスメチックス 取締役 五條工場 工場長 森岡正利 様

株式会社クラブコスメチックス 取締役 五條工場 工場長 森岡正利 様

自動化が進む化粧品製造ラインで活躍する産業用インクジェットプリンタ

 市場マーケティング、研究・開発、製造・販売までを一貫して行いながら、新たなチャレンジを続ける同社の生産拠点である五條工場は、豊かな緑と水に恵まれた奈良県五條市に位置します。1976年の竣工当初から、微生物・砂・活性炭を利用した環境にやさしい排水処理を誇り、業界内外から多くの人が工場見学に訪れます。多様化するニーズを支える多品種少量生産に対応した工場は、A棟・B棟・製造粉体棟の3つの建屋で構成。A棟は1階が化粧品の調合室、2階が化粧品の充填・包装仕上げ。B棟は1階がマスカラ・口紅専用の充填、2階がクリーム・ファンデ-ションの充填・包装仕上げ。製造粉体棟は、パウダー系製品の製造・調合・プレスなどを担っています。安全基準が厳しい化粧品製造において必須の、化粧品GMP(優良製造規範)の基準を満たすため、異物混入が決して生じないように明確なライン分けがされています。

 「当社は多品種少量生産なので、同一の生産ラインでの異物混入と製造番号の間違いには、一番留意しています。監視カメラも導入していますが、最終的には人の五感を生かして、確かな目で確認することを大切にしています」と品質管理体制について語る森岡様。自動化が当たり前の工程においても、生産現場の担当者が最終確認を行い、品質管理と生産管理の向上に大きく貢献しています。現場では改善提案活動も盛んに行われ、互いにコミュニケーションを図るなど、風通しの良い社内環境とチームワークを生かして、品質管理・生産管理に取り組んでいます。

画像: 株式会社クラブコスメチックス 五條工場 生産部 次長 柿本芳孝 様

株式会社クラブコスメチックス
五條工場 生産部 次長 柿本芳孝 様

 そんな同社で30年前から導入されているのが、日立製の産業用インクジェットプリンタです。

 「最初に採用した海外メーカーの製品は、トラブルが多く困っていました。そこで長年のお付き合いのある吉田機電株式会社さんを通じて紹介いただいたのが、当時、生産が始まったばかりの日立さんの製品です。印字間違いもなく、数量管理もできるようになり、生産が格段に効率的になりました」と森岡様。製造番号による品質と数量の管理は、安全基準の厳しい化粧品生産ではとくに重要です。今では、使用年数に応じて順次に更新していただき、13台のインクジェットプリンタが稼働しています。

画像: クリームの自動ライン。各ラインで日立製インクジェットプリンタが活躍している

クリームの自動ライン。各ラインで日立製インクジェットプリンタが活躍している

画像: 五條工場のショールーム

五條工場のショールーム

画像: 充填時、容器の持ち上げ動力にエアーを使用

充填時、容器の持ち上げ動力にエアーを使用

画像: 印字ライン。設定された文字をパッケージの底面に正確に印字

印字ライン。設定された文字をパッケージの底面に正確に印字

生産能力増強に向け、工場設備の改修も進展

 同社にあって、今後もOEM/ODMを柱に力強い成長を見込む中、重要なのが生産設備の充実です。そこで今年、調合ラインを主とした増設工事が進んでいます。

 「調合釜を能力の大きなものに交換することで、一日3~4回行っていた調合工程を1回に集約します。生産設備が充実すればお客さまにご迷惑をかけずに済みますし、当社の利益率も上がります」と森岡様。

 その生産ラインの重要な動力源が空気圧縮機です。工場開設当初はベビコンを数台使っていたのですが、より高い能力を求めて日立製のスクリュー型圧縮機を導入。定期的に点検やメンテナンスを実施していただくことで、これまで長くご愛用いただいています。

画像: 株式会社クラブコスメチックス 五條工場 生産部 生産・設計技術課〈生産技術チーム〉 西田洋一 様

株式会社クラブコスメチックス 五條工場
生産部 生産・設計技術課〈生産技術チーム〉 西田洋一 様

 「五條工場の生産ラインではエアーの供給は欠かせません。多くの生産設備がエアーで駆動しているからです。設備構成としては、2台の空気圧縮機を交互に稼働させているので、たとえ1台にトラブルがおきても、もう1台で対応できるので安心しています」とこれまでの稼働状況をご紹介される森岡様。

 しかし、今後、生産量が増えると、エアー不足になる可能性もあります。そこで増設工事では、3つの建屋にエアー専用パイプをつなぎ、建屋同士でエアーを融通し合い、適切に供給できるシステムづくりに着手しました。併せて、空気圧縮機、受変電能力向上のために変圧器なども更新し、9月から稼働する予定です。この生産設備の大幅な増強を見込んで、すでに新規のOEM/ODMの注文も入っているといいます。

 さらなる躍進に向かって、「OEM/ODMも大切ですが、自社ブランド製品を今一度見直して、業績を伸ばしていけたらと思っています。工場の運営面では、若い世代の部下の育成に力を入れ、ロボットの導入で省力化=効率化を進めながら、失敗を恐れずに新しいことに積極的にチャレンジしていきたいですね」と森岡様は今後の展望を述べられました。

 日立産機システムへは、「インクジェットプリンタ用のインク溶剤の変更などにより、より安全な工場づくりのためにご協力をお願いしたい」とのお言葉をいただきました。

 100年を超える歴史に甘んずることなく、品質と安全にこだわり、新たな挑戦を続ける同社のために、今後も吉田機電様とともに常に新たなご提案をさせていただきます。

画像: 日立製産業用インクジェットプリンタ「Gravis RX2シリーズ」の印字ヘッド(左) 日立製スクリュー圧縮機(右)

日立製産業用インクジェットプリンタ「Gravis RX2シリーズ」の印字ヘッド(左)
日立製スクリュー圧縮機(右)

画像: 日立製スクリュー圧縮機(左) 今年5月に導入した日立製変圧器(右)

日立製スクリュー圧縮機(左)
今年5月に導入した日立製変圧器(右)

お客さまのベストパートナーをめざして —日立産機システム 製品関係者—

勉強会を主催して、お客さまとのコミュニケーションを深めています

 吉田機電さんを通じて、お客さまに最適のインクジェットプリンタをご提案してきました。13台のうち1台でも停止することのないようメンテナンスに留意していますが、不具合の報告があれば、サービスエンジニアが即座に対応できる態勢をとっています。また、有機則非該当のインクを導入していただくために、吉田機電さんと協力して有機則についての勉強会を開催させていただきました。当社としては、生産現場の皆さまと直接お会いし、製品のことや関連法規のことをお話できる貴重な機会となっています。インクジェットプリンタは競合する製品が多いので、今後とも日立製を採用していただけるよう、どんなご要望にもお応えできる力を身に付けてまいります。

画像2: 【お客さま導入事例 vol.146】
株式会社クラブコスメチックス五條工場

「双美人」に込められた美への思いを継承して、オリジナリティあふれるヒット商品を生み出し続ける。

株式会社 日立産機システム
営業統括本部 関西支社
第三営業部 省力システムグループ
インクジェットプリンタ・
マーキングシステム担当
広瀬 秀

お客さまの厚い信頼にお応えし、事業発展に貢献していきます

 私がクラブコスメチックス様を担当させていただいてから約25年、当社としてはさらに長くお付き合いをいただいています。五條工場様では、化粧品の品質管理に欠かせない産業用インクジェットプリンタや動力源である空気圧縮機などをお使いいただいています。これらの設備機器に、故障が発生したら生産そのものが停止してしまうので、設備更新のお手伝いをさせていただいています。例えば、インクジェットプリンタは毎年計画的に更新を重ねていただき、空気圧縮機は生産ラインへのエアー供給が止まることのないような配管設計や機器選択までご提案。今後の安定生産のお役に立つことができました。これからも、ご信頼に応えていけるよう成長していきたいと考えています。

画像3: 【お客さま導入事例 vol.146】
株式会社クラブコスメチックス五條工場

「双美人」に込められた美への思いを継承して、オリジナリティあふれるヒット商品を生み出し続ける。

吉田機電株式会社
大阪支店
エンジニアリング本部 ソリューション部
部長代理 矢内幸一

ご採用いただいた製品

日立産業用
インクジェットプリンタ Gravis UXシリーズ

メンテナンス性や環境性能が飛躍的に向上
日立産業用インクジェットプリンタ Gravis UXシリーズは、「安心」「きれい」「かんたん」はもちろん「エコ」性能も進化したグローバル対応製品です。多彩な印字ニーズに応える高機能と設置性で、世界のマーキングシーンで活躍しています。

主な特長
1. 環境への配慮と低ランニングコストの実現
2. 高い信頼性と安心の保守・サービス体制
3. 直感的なユーザーインターフェイスと容易なメンテナンス性

画像: 高機能モデル UX-D360J

高機能モデル UX-D360J

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( vol.105・2019年7月掲載 )

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