2019年、創業81周年を迎えた株式会社ミノファーゲン製薬。安全で高品質な製品を通じて、世界の人々の健康福祉に寄与することをめざし、長年の信頼を得ている肝炎治療薬や、希少疾病用医薬品など、ユニークな製品開発と販売・改良研究に力を注いできました。また近年は、いまだに有効な治療法がなく充たされずにいる医療ニーズに挑戦するなど、新たな事業展開にも挑戦しています。今回はグローバルニッチな医療領域を支える同社の企業精神と発展の歴史、そして工場の動力源として新たに採用された日立産機システム製品をご紹介します。
画像1: 【お客さま導入事例 vol.148】
株式会社ミノファーゲン製薬

信頼の肝炎治療薬を柱にした高品質でユニークな製品群で、グローバルニッチな医療ニーズに貢献。

株式会社ミノファーゲン製薬

代表取締役社長:宇都宮徳一郎
創立:1938(昭和13)年5月
所在地:
本社/東京都新宿区西新宿3-2-11 新宿三井ビルディング 二号館3F
工場・研究所/神奈川県座間市小松原2-2-3
従業員数:153名(2019年7月現在)
事業内容:医薬品製造販売
http://www.minophagen.co.jp

広く医療現場で使われる「強ミノC」を柱に、グローバルニッチな医薬品で存在感を放つ

 1948(昭和23)年の発売開始以来、医療の現場で長く使われている肝炎治療薬があります。「強ミノC」の愛称で知られる注射剤「強力ネオミノファーゲンシー」です。誕生のきっかけは、後に政治家として日中国交回復に尽力する宇都宮徳馬氏のある体験からでした。昭和の初め、鼻炎に悩んでいた同氏は、同窓生の高橋松蔵博士を通じて簑内収博士から提供された甘草成分グリチルリチン酸の効果に感銘を受け、アレルギー性疾患の治療薬として製造販売することを決意。1938(昭和13)年、合資会社ミノファーゲン製薬本舗簑内免疫薬理研究所を東京都新宿区に設立したのです。社名と製品名の「ミノファーゲン」は、簑内博士の「Mino」と細菌を細胞内に取り込み殺菌する貪食作用である「Phagozytose」に由来。創業の経緯は、創業者と簑内・高橋両博士を含めた3人の頭文字「U・T・M」からなる社章・社旗に込められ、今も継承されています。

 その後、「強ミノC」によって肝炎患者の検査数値が改善したとの報告が医療現場から上がり、治験を経て、1979(昭和54)年に慢性肝疾患への適応を拡大。1997(平成9)年には工場を東京都内から神奈川県座間市へと移転するとともに現社名に変更。また同年には、創業者と縁の深い中国に事務所を開設しました。

画像: 主力製品の強力ネオミノファーゲンシー

主力製品の強力ネオミノファーゲンシー

 「この間、製品もガラスアンプルのほかに、プラスチックアンプル、注射針と一体化したプレフィルドシリンジ製剤など、利便性や安全性を追求した製剤開発を進め、近年は中国市場での販売が急成長しています。また2016年には希少疾病である皮膚T細胞性リンパ腫の治療薬タルグレチンが承認され販売開始。グローバルニッチな分野で、独創的な薬剤を開発、製造販売しています」と同社の歩みを語るのは、生産本部(座間工場)取締役 工場長 生産管理部長の藤木光正様。会社設立時から受け継ぐ創業精神(社是)「日本人の発明を尊重し、独創的日本医薬をして世界市場を風靡(ふうび)せしめんことを期す」「絶えず技術の向上に努め、商品の進歩性と優秀性とを以って販売力の基礎たらしむ」「社員は誠実・努力・規律を信条となすべし」を胸に、同社は新たな分野への挑戦を続けています。

画像: 株式会社ミノファーゲン製薬 生産本部(座間工場) 取締役 工場長 生産管理部長 藤木光正 様

株式会社ミノファーゲン製薬 生産本部(座間工場)
取締役 工場長 生産管理部長 藤木光正 様

安心・安全、高品質の医薬品をつくり続け、独自の領域で強みを磨く

 1997年に完成した無菌製剤棟の座間工場は、敷地面積24,887㎡、建屋の延床面積7,622㎡。GMP(医薬品を製品の品質面で保証する基本条件)に対応した最新の設備を備え、従業員数84名の体制で、強力ネオミノファーゲンシー20mLアンプルを30万本/1日生産する能力を持ち、20日分の保管能力も有しています。

 同工場では、強力ネオミノファーゲンシー注射剤のガラスアンプルとプラスチックアンプルをそれぞれ別ラインでつくっていますが、安全性と市場ニーズを考慮し同時に2つのラインを稼働させることはなく、毎日どちらかのラインだけを稼働させています。

 「当工場の特徴は、大手製薬会社さんが手を引く傾向にある注射剤の生産に特化しているところにあります。大手製薬会社さんがこの分野からの撤退を考えるのは、錠剤や散剤などと比べて注射剤に対する安全基準は特に厳しく、レベルが違うと言えるほどだからです。しかし私たちは、より厳しい世界標準のGMPであるPIC/S(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)GMPにも対応しつつ、注射剤の安定供給にこれからも貢献し続けていきたいと考えています」と、藤木様は座間工場の強みを語ります。

画像: プラスチックアンプル充填ライン

プラスチックアンプル充填ライン

 同本部 生産管理部 次長 飯塚英樹様は、「製薬ラインにおいて、仮にトラブルが発生したらすぐに社長に報告が上がる仕組みを整えています。社長からはその都度、『慌てず安全第一に』という指示が必ず飛んできます。迅速なトラブル処理のために従業員が慌ててケガをしたりミスを重ねたりしないための配慮であり、品質とともに常に人を大事にしていると感じています」と、家族的な社風も高品質の製品をつくるための基盤だと強調されました。

 同工場では、ほぼすべての生産工程で動力源としてエアーが使われています。例えば、一番難易度が高いプラスチックアンプルへの充填工程でもエアーは欠かせません。

 「原料の樹脂を溶かしたらエアーブローによりアンプルの形状にまで一気に成形すると同時に薬液を充填します。また、製薬ラインでは配管の滅菌を毎日必ず6時間行いますが、この作業でもエアーが必要です。空気圧縮機は極めて重要ですね」と語るのは、同本部 生産管理部 施設保全グループ 課長 新宮昭彦様です。

画像: 滅菌包装室

滅菌包装室

画像: 稼働状況が一目で分かる「強力ネオミノファーゲンシー 製造フロー」の電光サイン

稼働状況が一目で分かる「強力ネオミノファーゲンシー 製造フロー」の電光サイン

画像: 研究所実験室

研究所実験室

画像: 薬の原料となる甘草

薬の原料となる甘草

万全のサービス体制で、工場を支える空気圧縮機を見守る

 座間工場の主要なエネルギー源を担う空気圧縮機について、更新すべきかどうかの検討が始まったのは2017年。八洲電機株式会社さんにも声をかけられ、今後10年間のさまざまなコストを綿密にシミュレーションされたそうです。

 「他メーカーさんからも資料やデータをいただき検討を重ねた結果、更新しない場合のコストが更新する場合のコストを上回ることが分かりました。そこで更新後のメンテナンスコストやサービス体制も考慮し、日立製品を選定することとなり、2019年8月に2台のオイルフリースクリュー圧縮機を導入しました」と新宮様。選定ポイントはサービス体制の質で、特に重要視されたのは同社を担当する人、サービススタッフの技術力、そして迅速性です。何かトラブルがあったら半日以内に対応できるかどうかが問われました。夏季休業中に設置された空気圧縮機は試験運転も終了し、台数制御プログラムのもと、現在、順調に稼働しています。

 「導入にあたっては、八洲電機さんにいろいろ相談に乗っていただき本当に助かっています。また今回は圧縮機の遠隔監視システムも契約しましたが、これは他の設備でも遠隔監視が可能かどうか検討するための試金石となるものなので、日立さんにはデータ分析をお願いします」と新宮様は期待を述べられました。

画像: 株式会社ミノファーゲン製薬 生産本部(座間工場) 生産管理部 次長 飯塚英樹 様(右) 施設保全グループ 課長 新宮昭彦 様(左)

株式会社ミノファーゲン製薬 生産本部(座間工場) 生産管理部
次長 飯塚英樹 様(右)
施設保全グループ 課長 新宮昭彦 様(左)

 今、主力製品の強力ネオミノファーゲンシーで市場をリードしていますが、同社にとっては新分野への挑戦は大切な課題です。「当工場では生産能力をフル稼働して製品を供給し続けていますが、そこに満足することなく、当社を選んで入社した若い社員が新しい薬の生産に取り組むことができるように、今までにない製造品目を探していきたいと考えています」と、藤木様は今後の展望をご紹介されました。

 飯塚様は「当工場では、とにかく人づくりが重要です。社員一人ひとりがチャレンジ意欲を持って、それぞれが仕事に主体的に取り組み、その成果を享受できるような職場環境を築いていきたいと思います」と抱負を語られました。

 世界第2位の市場である中国での事業拡大や、アジア諸国、CIS 諸国でのグリチルリチン酸製剤の開発を進めるなど、まさにグローバルニッチ企業をめざす同社の発展に、日立産機システムは八洲電機様とともに貢献していきたいと願っています。

画像: 地下機械室に設置された日立製空気圧縮機。IoTクラウド監視サービス「FitLiveⓇ」も導入している

地下機械室に設置された日立製空気圧縮機。IoTクラウド監視サービス「FitLiveⓇ」も導入している

画像: 「FitLiveⓇ」により圧縮機の稼働状況を遠隔で確認

「FitLiveⓇ」により圧縮機の稼働状況を遠隔で確認

画像: 圧縮機前面の多機能タッチパネル

圧縮機前面の多機能タッチパネル

お客さまのベストパートナーをめざして —日立産機システム 製品関係者—

空気圧縮機の価値を高める「FitLive®」をご契約いただきました

 今回、ミノファーゲン製薬様には空気圧縮機とともにIoT対応クラウド監視サービス「FitLive®」をご契約いただくことができました。当社では空気圧縮機の遠隔監視サービスをほぼ全面的に標準採用しています。すでに5,000台近くが「FitLive®」を介してお客さま、特約店・代理店さん、私たちがつながっています。今後、蓄積された稼働データを分析することで、ミノファーゲン製薬様をはじめ多くのお客さまに、日常管理をしやすくできるような情報を提供していきたいと考えています。また、メンテナンス契約の内容にも分析したデータを反映することで、よりお客さまに使い勝手の良いご提案をし、さらにご満足していただけるように努めたいと考えています。

画像2: 【お客さま導入事例 vol.148】
株式会社ミノファーゲン製薬

信頼の肝炎治療薬を柱にした高品質でユニークな製品群で、グローバルニッチな医療ニーズに貢献。

株式会社 日立産機システム
営業統括本部 設備第一営業統括部 第一営業部
空圧システム第二グループ 
課長代理 加藤亮太

製品を売るだけではなく、技術とサービス、そして「人」も売っていきたいと思います

 ミノファーゲン製薬様とのお付き合いは、日立製の照明や空調機器を導入していただいた2013年頃から始まり、今年は工場の動力源である空気圧縮機の更新案件について受注させていただきました。ご要望のポイントは、長期にわたるコスト低減と日常的なサービス体制の構築でした。当社の強みは、製品の豊富さ、施工能力、サービス体制にあるので、日立産機システムさんのネットワークと合わせた総合力を評価していただけた、と考えています。これからも、製品はもとより工事やサービスなども含めた総合的な価値をご提案し、さらに信頼をいただけるよう取り組むとともに、当社の「人」の力をアピールさせていただきたいと思います。

画像3: 【お客さま導入事例 vol.148】
株式会社ミノファーゲン製薬

信頼の肝炎治療薬を柱にした高品質でユニークな製品群で、グローバルニッチな医療ニーズに貢献。

八洲電機株式会社
産業システム一部 産業システム一課
主任 長塚雄二

ご採用いただいた製品

空気圧縮機
オイルフリースクリュー圧縮機 NEXTⅢseries

省エネ性能と充実のIT機能で生産現場を支える。
クリーンな圧縮エアーに加えて省エネ性能を磨き上げ、使いやすさを徹底追求。環境と生産性を高次元で両立しました。省エネ性能については、使用機械に必要な最適圧力の空気を効率よく供給できる上、ピークカット機能をONにすることで、消費電力を低く抑えることが可能です。また高温化での信頼性も確保され、50℃でも異常停止しない運転が可能です。

主な特長
1. 高性能スクリュー圧縮機のエアエンド構造(共通仕様)
2. 一定圧力制御により、必要な空気量を必要な圧力で供給(Vタイプ)
3. ピークカット機能を標準装備(Vタイプ)

画像4: 【お客さま導入事例 vol.148】
株式会社ミノファーゲン製薬

信頼の肝炎治療薬を柱にした高品質でユニークな製品群で、グローバルニッチな医療ニーズに貢献。

製品の詳細や導入に関するご相談はこちらから

( vol.107・2019年11月掲載 )

This article is a sponsored article by
''.