
株式会社タハラ
代表取締役社長:鶴田哲弥
創業:1951(昭和26)年
所在地:本社・工場 千葉県印西市鹿黒南2-1
従業員数:75名
事業内容:ブロー成形機の製造・販売
http://www.tahara-mc.com/
多層成形を強みに躍進、独自技術を生かして成長を続ける
ブロー成形とは、熱でとけたガラスに空気を吹き込んで器などをつくる“吹きガラス”と同様に、エアーを樹脂材料に吹き込みさまざまな容器を成形する技術。身近なものではシャンプーやケチャップ、マヨネーズなどの容器があります。このダイレクトブロー成形機の分野で業界の先頭を走り続けるのが、今回ご紹介する株式会社タハラです。
1951(昭和26)年に鉄工所として誕生した同社に転機が訪れたのは、1961(昭和36)年のこと。きっかけは、アメリカで生まれたセルロイド玩具が国内で流行したことでした。塩化ビニールを原料として人形などをつくるブロー成形機に可能性を見出し、その開発製造に乗り出したのです。
その後、1980年代には大手メーカーと包装容器の共同開発に取り組むことで技術力を磨き、業績を大きく伸ばした同社。1994(平成6)年には、それまでの油圧式から日本初の電動成形機を開発するに至りました。この技術革新により、成形機をより精密に制御することが可能になり、以来、食品や化粧品、薬品、洗剤やシャンプーなどの容器の分野で強みを発揮し、小型ブロー成形機の市場で高いシェアを占めています。

中型ブロー成形機
「材料の樹脂は、主にポリエチレン、ポリプロピレン、ペット、多層の4種類がありますが、中でも多層成形が当社が強みを発揮している分野です。例えば、6層のマヨネーズボトルの場合、スクリュー4本を使って一気にかつ均一に成形することが可能です。層を均一にすればするほど高価な樹脂を節約できるので、お客さまにも喜ばれています」と、同社の強みを紹介される常務取締役の明石裕文様。単一材料の成形機でも再現性、スピード、均一性において高い評価を得ており、納入後の行動力を生かしたサービス体制にも定評があります。
今では好調な業績を背景に、2019(令和元)年に工場を東京都内から千葉県印西市へ移転。海外向けの大ロット成形機、国内向けの小ロット成形機、ポリタンクなどの工業部品用成形機、多層成形機の製品ラインアップで、「挑戦・創造・研鑽」を企業理念に掲げ、品質と生産性の高い成形機を提供し続けています。

株式会社タハラ 常務取締役 明石裕文 様
社員一人ひとりのプロ意識を支える新工場の環境とチームづくり
2019年5月に稼働を始めた本社・新工場は、敷地は従来の約3倍の7,722㎡、建屋面積も2.7倍の約3,300㎡と規模を拡大し、生産能力も2倍に増強されました。
「旧工場では、事務所を挟んで工場建屋が2つに分かれていたのですが、今は1つにまとめ作業環境を向上させました。また旧工場は住宅街にあり、幅の狭い道路にトレーラーや大型のレッカー車などが出入りしていたのですが、今は製品や原材料の搬出入が楽になりました」と大きな変化を語る明石様。また新工場では床材にもこだわり、滑りにくく汚れも目立たない仕上げで安全性と動きやすさに配慮。さらに畳敷きに掘りごたつを設えた休憩室など、リラックスできるスペースも整えました。オフィス空間ではワンフロアにさまざまな部署を集約。いつでも意見や情報交換ができる共有スペースをつくり、社内のコミュニケーションを高める環境づくりに成功しました。
同社のモノづくりの特徴はセル生産方式を採用していることです。ブロー成形する容器の用途や形状、材料などに合わせた成形機を設計、生産するため、担当チームが設計から完成、納品、サービスまで一貫して携わる体制を整えています。

大型ブロー成形機の製造を担う第一工場
「お客さまのニーズをカタチにするために、流動解析やブロー冷却解析などの技術も重要ですが、特に大事にしているのは“最後まで手を抜かず、誇りを持って仕事をする”という基本的な姿勢です。というのも成形機の組み立ては自分との闘いだからです。例えばどうしても組み立て精度が目標に満たない時にあきらめないでもう1回頑張ってみよう、それでもダメならもっと挑戦してみよう、と思うかどうかは私たち次第だからです」と、モノづくりにかける思いを述べられる明石様。
「またお客さまのニーズをつかみ、設計や生産につなげていくには、営業スタッフの力が特に重要です。仕様の打ち合わせには、通常エンジニアを同行することが多いと思いますが、当社では営業スタッフがよく勉強しているので、お客さまと専門的な技術面の打ち合わせもでき、設計に素早くつなげることができます」。さらに「発注をいただいた時には、営業、生産管理、技術、組み立て、サービスなどの全メンバーが集まって、『お客さまにはこういう背景や事情があって受注できたので、こういう点に留意して設計・製造しよう。こういうサービス体制を組もう』と、納品後のことまで考えたミーティングを重ねます。こうして1つのチームで設計、生産から出荷後のメンテナンスまで責任を持っています」と、明石様は独自の仕組みを紹介されました。この姿勢が、同社への高い信頼に結びついていることは間違いありません。

さまざまな部署をワンフロアに集め社内コミュニケーションを高める

荷受室

組み立て部品の製造工程
一人ひとりの健康状態まで分かる環境で、さらなる成長をめざす
2019年5月、新工場に日立製の中圧仕様の空気圧縮機2台が新たに導入されました。10年前に中圧仕様圧縮機が2台設置(1台は日立製)されていましたが、販売店の株式会社酒井工機様によるご提案と田島工業株式会社の取り組みが実を結び、工場の移転に合わせてご採用いただけました。
多くの空気圧縮機は0.69MPa(メガパスカル)と低圧ですが、中圧タイプは約2倍の1.35MPaでエアーを吐出します。ブロー圧が高くなればなるほど金型への転写が精密になり、優れた品質の製品をつくることができます。同社では、完成したブロー成形機の試験運転用とともに、減圧して部品生産の動力源としてご活用いただいています。
「ブロー成形機はまだ低圧エアーを使うものが多いですが、海外での中圧成形へのニーズを見据えて中圧仕様圧縮機を導入しました。当社製品でも言えることですが機械は故障した時が大事です。何かあったらどれだけ早く復旧してもらえるかが大事だと思い、日立製を選びました」と期待を述べられる明石様。IoTクラウド監視サービス「FitLive®」もご契約いただき、2台のうち1台を予備機として運転するなど、盤石の生産体制を支えています。

株式会社タハラ プラスチック 一級技能士 製造部 副部長 田中栄司 様
今後は、海外市場に力を入れ、好調な東南アジアのほかに、ヨーロッパ展開も見据えている同社では中型・大型の成形機まで手掛けていく計画もあります。2019年10月には、欧州市場への展開の第一歩となるドイツの見本市に主力製品を出展。高評価を得たことで幸先の良い一歩となりました。
「当社は従業員数が多くないので、一人ひとりの顔色の違いも分かります。こういうところも経営陣が見ているということを従業員の皆さんに分かってもらえる環境づくりを進めていきたいですね。そしてモノづくりのプロとして、自分のつくったものはボルト1本まで責任を持って取り組んでほしいと思っています」と、明石様は従業員の皆さんへの思いを語られました。
より使いやすく、より高い機能を備えた容器の進化を支えるブロー成形機。これからも日立産機システムは、株式会社酒井工機様、田島工業株式会社とともに、価値あるご提案と迅速なサービスで、株式会社タハラ様の事業発展のお手伝いをさせていただきたいと願っています。

コンプレッサー室に設置された日立製空気圧縮機

「FitLiveⓇ」のアンテナ

圧縮機の稼働状況を遠隔で確認
お客さまのベストパートナーをめざして —日立産機システム 製品関係者—
中圧仕様も充実。空気圧縮機に強い当社の製品ラインアップを評価いただきました
電動ブロー成形機のトップメーカーである株式会社タハラ様に、中圧のエアーが必要な製品試験と生産ラインで使うために、空気圧縮機2台を納品させていただきました。中圧仕様圧縮機の外見は標準圧力仕様のものと変わりませんが、一つひとつの部品が中圧仕様であるなど、部品の設計段階から異なる製品です。機能面では、圧力の変動を制御するカレンダータイマーが内蔵されているので、使い勝手が良いとの評価をいただいています。当社は他メーカーに先駆けてIoTクラウド監視サービス「FitLive®」を標準搭載しているので、株式会社タハラ様でも、省エネ、省人化のために積極的にご活用いただきたいと考えています。

株式会社 日立産機システム
営業統括本部
設備第一営業統括部 第一営業部
空圧システム第二グループ
栗原聡美
空気圧縮機を専門とする販売店さんとともに日立製品の強みをアピールできました
私ども田島工業は、空気圧縮機を専門とする酒井工機様が、株式会社タハラ様の本社・工場の移転新築に合わせて空気圧縮機を2019年5月に納入、設置する際、ご提案段階からお手伝いをさせていただきました。酒井工機様が10年以上にもわたって築いてきたお客さまとの強い信頼関係のもと、機種選定や最適な配管などもご提案し、採用に至ったものです。竣工したばかりの工場での設置工事は酒井工機様が細心の注意を払って行いました。中圧仕様の圧縮機はお客さまの生産ラインにとって欠かせない設備です。今後は、日立製圧縮機に強い特約店として、日立産機システムとともにメンテナンスに力を注ぎ、お客さまのご信頼にお応えしていきます。

株式会社 酒井工機
代表取締役 酒井啓 様(左)
田島工業株式会社
埼玉営業所 主任 服部佑哉(右)
ご採用いただいた製品
空気圧縮機
給油式スクリュー圧縮機 NEXTⅢseries 中圧仕様
コンパクトボディで安定した中圧のエアーを供給。
最高圧1.35MPaを供給する中圧仕様の空気圧縮機。レーザー加工機用のアシストガス、空気圧試験装置、タイヤ空気圧充填用など特殊用途に適したラインアップをご用意しています。熱源となる空冷クーラを上部に配置したユニット構造と高効率な大型ターボファンによるユニット内部の強制換気により、周囲温度45℃での安定した連続運転が可能です。
主な特長
1. 新型エアエンドによる高効率化の実現
2. 周囲温度45℃での安定した連続運転が可能
3. 充実のIT通信機能 ○USBメモリー対応 ○Bluetooth®経由Webサーバ機能 ○Modbus®通信対応

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( vol.108・2020年1月掲載 )