
プレス工業株式会社
代表取締役社長 兼 社長執行役員:美野哲司
設立:1925(大正14)年2月16日
所在地:
本社 神奈川県川崎市川崎区塩浜1丁目1番1号
宇都宮工場 栃木県下野市下坪山1704
従業員数:1,852名(連結従業員数6,080名)*2021年4月1日現在
事業内容:フレーム、アクスルなどの自動車部品、建設用キャビンなどの建設機械用部品の製造・販売
https://www.presskogyo.co.jp/
お客さまとともに磨いた独自の技術力で、自動車部品業界を牽引
物流の主役、トラック。大型から小型までのさまざまなトラックのフレームや、大型・中型・小型トラック用のアクスルを独自のプレス技術、溶接技術、塗装技術を駆使して生産するプレス工業株式会社。フレームは車両と積載物すべての重量を支える長さ5~12m、板厚3~10mmの鋼板製のはしご状部品で、トラック全体を荷台下から支えます。一方アクスルは前後輪の車軸であり、駆動力を車輪に伝える重要な部品です。同社は、これらの自動車部品に加え、建設機械用キャビンの分野でも確かな地位を築いています。現在、本社・川崎工場、宇都宮工場、埼玉工場、藤沢工場、尾道工場の5ヵ所に生産拠点があり、海外では中国、タイ、インドネシア、米国、スウェーデンなどに生産拠点を展開しています。
今回お伺いした宇都宮工場は、主にフレームとアクスルを手掛ける重要な生産拠点です。1976年10月に操業開始して以来、国内の主要なトラックメーカーを顧客とし成長。現在は、いすゞ自動車様、三菱ふそうトラック・バス様、UDトラックス様などに向けて基幹部品を供給し、トラック生産にとって欠かせない重要なサプライチェーンを担っています。

主力製品のシャシーフレームとアクスル
「当社が大手トラックメーカー様から信頼を得ることができたのは、これまでお客さまと一緒に部品データの蓄積やプレスや溶接などの生産技術の検討をはじめ、強度・精度・形状などの品質向上や要素技術の開発などに取り組み、独自の技術を進化させながら成長してきたからだと思います」と同社の強みを紹介する宇都宮工場工務課長の山下剛史様。
例えば、大型トラックのリヤアクスルをプレス成形による製品化に初めて成功した高い技術力や、材料となる鋼板をトラックメーカーと協議を重ねながら材料メーカーと一緒になって開発するプロセスを確立したことは、成長を支える主要な要因です。また製品の精度向上に欠かせないプレス用の金型を開発・製造する技術を蓄積してきたことも、大きな強みです。こうしてトラック部品に求められる品質をとことん突き詰め、材料メーカーとも力を合わせて築いてきたモノづくりの力を生かして、今では、同社の製品は国内市場において60%ほどのシェアを占めるほどになりました。

プレス工業株式会社 宇都宮工場 工務課長 山下剛史 様
ダイナミックなプレス工程、高品質の塗装工程、正確な組み立て工程を支える空気圧縮機
宇都宮工場では、158,000㎡という広い敷地にプレス工場、塗装工場、組立工場が建ち並んでいます。フレームを例にとれば、プレス加工(外形と穴開け)→プレス加工(曲げ)→フレーム組み立て・塗装、という工程を経て部品が完成します。まずサイドメンバというレール状の部品をつくるために、厚さ最大10mm、最長12mの鋼板を平板NCピアス加工やカットピアス型で外形と穴を加工。ついで世界最大級の5,000tプレス機により鋼板をコの字型にプレス成形し、左右のサイドメンバと数本のクロスメンバ(横梁)をはしご型に組み立て、各種部品を締結。最後に塗装して完成です。
「プレス工場には、ロボットによる全自動化を実現したラインもあり、1,000tと3,000tのプレス機で、打ち抜き・成形を行っています。他に800tと2,000tのプレス機、レーザーカット機、開先形状をつけるガスカット加工機、塗装面を高速できれいに仕上げるエアーブラスト加工機、搬送機なども活躍しています。いずれも当社独自の強みを発揮する設備です」と山下様。「また、当工場でつくっている変速ギヤを組み込むアクスルハウジングは、鋼板をプレス形成した部品を溶接で組み立て、機械加工を施した製品です。ここでは軽量化と強度を両立させた差厚加工という部分的に板厚を薄くする当社独自の技術が、お客さまから評価をいただいています」と胸を張ります。

プレス工業株式会社 宇都宮工場 工務課 技術チーム
夏迫和音 様
これらの工程で、プレス、電着塗装、搬送、その他さまざまな設備の動力源として重要な役割を果たしているのが圧縮エアーです。
「従来、3ヵ所のコンプレッサー室に、75kW2台、37kW2台、75kW1台+100kW2台の計7台の空気圧縮機を設置し、メンテナンススタッフが毎日足を運んでそれぞれの空気圧縮機を起動・停止したり、工場全体をループ状に巡る配管の途中に設置された4ヵ所の電動弁を開閉することで、各工場にエアーを供給していました」と語るのは、宇都宮工場工務課 技術チームの夏迫和音様です。
空気圧縮機は、日々の生産計画に応じて3工場とも稼働、プレス工場のみ稼働、プレス工場と塗装工場を稼働など、さまざまなパターンに合わせて起動・停止するとともに、工場間の電動弁を開閉する必要があるので、全体の自動化や効率化をめざす上では大きな課題となっていました。

製造ライン

プレス工場建屋

配管を開閉する電動弁

工場内をループ状に巡る圧縮エアーの配管
空気圧縮機の群制御システムを導入し、実現した工場の効率化と省エネ化
「監視・制御体制が整っていないと、ムダなエアーを供給したり、メンテナンスのタイミングを逃して生産ラインを止めなくてはならないこともあります。そこで空気圧縮機の稼働状況をまとめて遠隔監視でき、生産計画に合わせて自動制御できるシステムを構築したいと、圧縮機に強い日立産機システムさんと関東日立さんに相談しました」と夏迫様。分散した空気圧縮機の監視・制御に加えて、電動弁や関連設備の監視・制御も統合できるシステム構築を目標とされたので、難易度の高い開発案件となりました。
お客さまのご要望と現地調査を踏まえて日立産機システムがご提案したコンセプトが、「空気圧縮機群制御システム」です。3つの工場に分散する空気圧縮機を1つの群として捉えて遠隔監視・遠隔制御することで、全体のエアー需要量の変動に群として対応できます。
「2020年春の本格稼働以来、生産計画の変更にも柔軟に対応できるので、エアーをムダなく、効率的に使えるようになりました。メンテナンススタッフも各所に出向くことなく保全棟からすべてを監視・制御しています。仮に故障が発生しても他の圧縮機のエアーを使えるようにタッチパネル操作で制御できるので、生産ラインへの影響もありません」と、導入効果を紹介される夏迫様。

Cコンプレッサー室の日立空気圧縮機(100kW×2台、75kW×1台)
また、出荷前のフレームに品番や製造年月日を印字するためのインクジェットプリンタも、日立製の装置へと更新していただけました。過酷な条件で長い年月使用するトラック部品に印字することから、インクの耐久性とメンテナンス体制を評価していただけました。
今後の工場づくりについては、「当工場の機械設備は、独自の技術を注ぎ込んでつくったものばかりです。基幹部品を他工場へ安定供給する役割を果たすため、今後もさらに自動化や遠隔監視・遠隔制御ができるように取り組んでいきたいですね」と山下様は展望を語られました。夏迫様からは、「空気圧縮機以外でもポンプやモータなど日立さんの製品を使っているので、それらの設備もIoT化し、予防保全だけではなく、予知保全にも踏み込んでいきたいと思っているのでぜひ相談にのっていただきたいですね」とご要望をいただきました。
日立産機システムと関東日立は、これからも同社のモノづくりの自動化や効率化、さらなる省エネ化をお手伝いできるよう、新たな製品・システムをご提案させていただきたいと願っています。

群制御の設定は、タッチパネルで簡単に操作できる

制御盤内部

事務棟からでも遠隔監視・遠隔制御が可能

塗装ラインの日立産業用インクジェットプリンタ

塗装ラインに設置された印字ヘッド

フレームに印字された鮮明な文字
お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—
空気圧縮機制御の自動化と省エネに直結する群制御システムを構築しました
宇都宮工場様の動力源である日立製の空気圧縮機7台を1つの群としてまとめ、生産状況に応じ柔軟に制御できるシステムの開発に取り組みました。このシステムは空気圧縮機に加え、配管途中の電動弁の開閉やクーリングタワー、ドライヤーなどといった補機の制御も統合したシステムにするというもので、当社の開発力、技術力が試される前例のない案件でした。親局と子局にはIoT対応産業用コントローラ「HXシリーズ」を設置し、親局HXとタッチパネル操作にて遠隔監視・制御を実現。お客さまにご満足いただけたと確信しています。今後は関東日立さんとともに、空圧システム全体の予知保全に関してもご提案していきたいと考えています。

株式会社 日立産機システム
営業統括本部
省力・ソリューション統括部
エネルギー・ソリューショングループ
部長代理 吉崎昭男

株式会社 日立産機システム
事業統括本部
ドライブシステム事業部
制御システム設計部 システム技術課
技師 大石年成(左)
同事業部 ドライブオートメーションセンタ
主任技師 川口浩典(右)
お客さまのお困り事を解決する多彩な製品とシステムが私たちの強みです
プレス工業株式会社様には空気圧縮機のメンテナンスなどを中心に、これまでもお付き合いをいただいてきました。2019年春には、工場内に分散配置している空気圧縮機の遠隔監視・遠隔制御システム構築についてご相談をいただきました。当社にとっては初めての取り組みでしたが、日立産機システムさんと現地調査やご提案を重ね、2020年春に本格的に運用を開始することができました。また同時期に多彩なインクのラインアップをご評価いただき、産業用インクジェットプリンタ2台をご採用いただきました。今後はお客さまとのコミュニケーションをさらに深めて、モノづくり現場のお困り事を解決できるソリューションをご提案してまいります。

株式会社 関東日立
神奈川支社
産業システム第二部 第一グループ
担当部長 木村正和(左)
主任 河野充(右)
ご採用いただいた製品
日立産業用
インクジェットプリンタ Gravis UXシリーズ
メンテナンス性や環境性能が飛躍的に向上
日立産業用インクジェットプリンタ Gravis UXシリーズは、「安心」「きれい」「かんたん」はもちろん「エコ」性能も進化したグローバル対応製品です。多彩な印字ニーズに応える高機能と設置性で、世界のマーキングシーンで活躍しています。
主な特長
1. 環境への配慮と低ランニングコストの実現
2. 高い信頼性と安心の保守・サービス体制
3. 直感的なユーザーインターフェイスと容易なメンテナンス性

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ご採用いただいた製品
日立空気圧縮機群制御システム
分散配置した複数の空気圧縮機を遠隔で監視・制御する一括群制御システム
空気圧縮機を複数の場所に複数設置している場合、各生産現場に必要なエアー量を、週、日、時間ごとの生産量の変動に合わせてムダなく供給するための最適なソリューションが群制御システムです。すべての空気圧縮機を1つの群としてまとめ、その稼働状況を遠隔監視しながら生産計画に応じたきめの細かい制御を実現。大きな省エネ効果とともに迅速なトラブル対応を可能とします。
主な特長
1. 補機のドライヤー、冷却ポンプ、電動弁も一体的に制御
分散設置した空気圧縮機のスケジュール制御を実現
2. 目標圧力設定に従い
分散配置された空気圧縮機ごとに部分最適化を実現
3. 集中コントローラにタッチパネルを採用
分散配置した空気圧縮機を1ヵ所で集中設定・統合管理


※ 他メーカーの空気圧縮機にも対応できる場合がありますのでご相談ください。
お問い合わせ先営業窓口
営業統括本部 省力・ソリューション統括部
エネルギー・ソリューショングループ
TEL (ダイレクトイン)03-4345-6025
ご採用いただいた製品
IoT対応産業用コントローラ
HXシリーズ
進化するIoTニーズに対応する産業用コントローラ
生産現場の設備装置の制御と設備装置の情報の収集と処理、サーバなどとのシームレスな通信を担う産業用コンピュータの機能を持つIoT対応産業用コントローラ「HXシリーズ」。工場のIoT化やスマート化に伴い、ますます必要性が高まっています。情報の収集(Sense)、多角的に分析(Think)、その結果に基づいた実行(Act)というサイクルの中で、Sense、Think、Actの機能を果たし、現場環境で使える信頼性や高度な制御機能に加え、オープン化、高性能化、シンプル化により、プログラミングの生産性向上と効率化に貢献します。
主な特長
1. 高機能モデル、CNCモーションモデル、ハイブリッドモデルは
Ethernet※1ポート 3ポート標準搭載
2. 情報系(Ethernet)、制御系(EtherCAT※2、EtherNet/IP※3)通信により
自動機械・生産設備の中核制御と通信を一体化
3. 産業機器間のソフトインタフェース規格
全モデルにOPC-UAサーバ機能搭載
4. CPUモジュールにSDカードを実装可能
SDメモリによる現場でのデータロギングに対応
※1 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の登録商標
※2 ドイツBeckhoff Automation GmbHがライセンスを供与する特許取得済みの技術、およびその登録商標
※3 ODVA,Inc.の登録商標

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ご採用いただいた製品
空気圧縮機
給油式スクリュー圧縮機 HISCREW NEXTⅢseries

省エネ性能と充実したIT機能で生産現場を支える
ムダな運転を省くインバータ制御で実現した高い省エネ性能に加え、充実したIT通信機能を備えています。使用空気量に応じて末端までの圧力を予測し、低負荷時の圧縮機出口圧力を低下させることで動力の消費を低減します。またModbus®※1通信対応により監視システムとの連携を強化するとともに、USBメモリへの運転データ保存による運転管理を効率化。さらに50℃まで運転可能という高温下での信頼性確保と、パッケージフィルター標準搭載により耐じん埃性向上を実現しました。
※1 Schneider Automation Inc.の登録商標または商標 Modbus/TCPはオプションでサポート
主な特長
1. 運転データをUSB保存。CSVデータ形式での外部取り出しが可能
省エネ運転に活用できる充実のIT通信機能
2. Bluetooth®※2経由でタブレット端末のWeb画面を使い
圧縮機の運転状況の確認、設定確認・変更が可能
3. Modbus®通信対応により
上位監視システムへの接続が容易
4. 多機能カラータッチパネルを採用
充実の運転機能
※2 米国Bluetooth SIG,Inc.の登録商標
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( vol.116・2021年5月掲載 )