
平和交通株式会社
代表取締役:阿部 悦己
設立:1974(昭和49)年9月
所在地:本社 千葉県千葉市稲毛区宮野木町577-1
従業員数:160名
事業内容:一般乗合旅客自動車、運送事業(路線バス)、一般貸切旅客自動車、運送事業(貸切送迎バス)
http://heiwakotsu.com/
地域の要望に応えて路線を開拓し、人々の移動ニーズを徹底的にサポート
日々の通勤、通学、買い物やレジャーなど、毎日の足として欠かせない公共交通機関。特に細かな路線網を持つバス交通は、生活者に最も身近な交通インフラです。
ビィー・トランセグループは、千葉県千葉市を中心に路線バス事業や高速路線バス事業、貸切バス事業、ハイヤー事業などを展開しています。1965年、わずか5台のタクシーで事業をスタートし、今では路線バスと高速路線バスを軸とする平和交通株式会社、貸切バス事業がメインのあすか交通株式会社、貸切スクールバスとハイヤー事業を展開する西岬観光株式会社の3社で地域社会の足を支えています。「人を信じ『挨拶』を大切にする日本の心を働く人々の幸せとともに広げ、地域に、そして社会に貢献します。」をグループビジョンに掲げ、さらにスローガンとして、「日本一“あいさつ”を大切にするバスとタクシーのグループ会社」とうたっているように、地域のお客さまに貢献し、親しまれることをめざしています。

CO2削減に貢献するEVバス。ベイタウン海浜幕張線を走行するイエローの車体
同グループにとって大きく発展するきっかけとなったのは、1986年に非電鉄系では関東初の路線バス免許を取得したことです。以降、東京駅と若松台団地(千葉市)を結ぶ深夜急行バスの運行、学校・企業・ホテルの送迎、大型商業施設への買い物バスの運行、乗車しやすい低床バリアフリー車両の導入など、先進的な運送サービスを積極的に進めてきました。この間、同グループの中核として事業をリードしてきたのが平和交通株式会社です。乗合バス50台、貸切バス10台、高速バス17台など、84台のバスを保有し、地域の交通ネットワーク構築に貢献してきました。
「平和交通は地域社会のご要望に合わせて成長してきた会社です。鉄道系のバス会社とも競合することなく、きめ細かな路線開発を進めることができました。終電後の接続、深夜料金を設定しないなどの工夫も地域の皆さまのご支持をいただくことができた理由だと思います」と語るのは、同社運輸部部長兼本社営業所所長の浅野克弘様。路線開拓のために終着駅の乗降人数をカウンターで数え、最短ルートを調べるためにタクシーを追跡するなどの地道なマーケティング活動が同社の強みを支えてきました。

平和交通株式会社
運輸部 部長 兼 本社営業所 所長 浅野克弘 様(左)
総務部総務課 課長 藤原浩隆様(右)
乗車時間をもっと価値あるものにするバス車内デジタルサイネージへの挑戦
地域に根差した交通事業を展開する同社では、2021年7月に路線バス車内に千葉県初のデジタルサイネージを導入しました。同社がデジタルサイネージ導入を決断したのは2020年末のこと。バス車両を生かしてお客さまの移動時間そのものの価値を高めるとともに、バス運行から新たな収益を上げるためのスキームを構築するためでした。
デジタルサイネージとは、運転席の後部や乗降口に取り付けられたフルハイビジョン・ディスプレイに、お客さまに楽しんでいただけるスポーツエンターテインメント情報と地域企業などの広告コンテンツによって構成された動画をインターネット経由で受信、再生する仕組みで、広告配信サービス業を手掛ける株式会社GNI(以下 GNI)が開発したデジタルコンテンツ配信システムによって支えられています。
「当社がアップロードするコンテンツを、モバイルネットワークを使ってバス車内に設置した通信端末を経由してダウンロードすることで、安定した映像を配信することができます」と語るのは、GNI代表取締役社長の沼﨑敦雄様。「デジタルサイネージはすでに空港ビル内での導入実績があり、通信機器・システムの提供から、設置工事の手配、運営、媒体の開拓までを手掛けています」。

高速バス内のデジタルサイネージ
こうして2021年前半に実機を搭載した路線バスを使った実証実験を経て、現在では「ららぽーとTOKYO-BAY線」「ベイタウン海浜幕張線」「マイタウンライナー」の3路線でデジタルサイネージが運用されています。浅野様は、「インバウンド需要が戻れば乗車時間が長いエアポートバス(成田−東京)の場合、デジタルサイネージはお客さまの目に長く触れるので、より広告効果も期待ができます。効果が実証できれば、増設も検討し、より多くのお客さまに乗車時間を有意義に楽しんでいただければと思っています」と、今後の展開に期待を寄せられています。
一方、GNI事業企画部部長の間宮英授様は、「リアルタイムで更新されるモバイルネットワークでの配信によりエンターテインメント性を付加し、広告の価値を高める試みは全国でも珍しいと思います。今回、デジタルコンテンツの受信端末としては、移動体通信分野での実績がある日立製の産業用無線ルータ“CPTrans-MEW”を使わせていただきました。コンパクトで通信性能に優れ、バスの振動に強く、耐久性が高いことがこの製品を選んだ理由です」と、評価していただきました。

地域の人々に親しまれている路線バス

整列した高速バス

バスの安全運行を支える運行管理室

地域広告のほかスポーツエンターテインメント情報などを配信
カーボンニュートラルへの貢献、シームレスな決済システムなどを見据え、さらに進化をめざす
「導入後半年以上経過しましたが、車内を見るとお客さまの関心も高く、興味を持ってご覧いただいているようです。今後はもっと地元の店舗や企業も巻き込んで、地域活性化のお役に立つような媒体になればと期待しています」と手応えを語られる浅野様。同社総務部総務課課長の藤原浩隆様も、「デジタルコンテンツには動きがあり、今までになかった魅力的な媒体になっていると思います。自動配信なのでドライバーが操作をする必要がない点も良いですね」とご満足いただいています。
交通インフラは、大きな変革の時代を迎えています。自動運転やAI、シェアリングサービスなどを統合し、次世代の交通システムを生み出そうとする「MaaS (Mobility as a Service)」の動きも広まっています。航空機、鉄道、バス、タクシーといった複数の交通手段を乗り継ぐ際、ルート検索、予約・支払いなどがスマートフォンのアプリを使ってシームレスに利用できるシステムが普及すれば、利用者の利便性は格段に向上することが期待されます。

株式会社GNI
代表取締役社長 沼﨑敦雄 様(右)
事業企画部 部長 間宮英授 様(左)
浅野様は、「現在の路線バスは変化する利用者ニーズとマッチしていない面があります。例えば外国からのお客さまが多い空港路線では、鉄道などと連携したキャッシュレスの決済システムを早急に導入していく必要があります。またGPS、ドライブレコーダー、無線LAN、PASMOの運賃機など、バス車内には複数の通信機器を積んでいるので、通信料金体系を統合するようなシステムへのニーズはさらに高まると思います」と、交通インフラの変化を見通されています。さらに、「コロナ終息後の空港路線の復活に合わせて、サイネージ事業を含めた新たな事業の展開も検討していきたいと思っています。またネットビジネスを支える物流拠点でもある臨海部工業団地群の業務用バスにも大きなチャレンジとして取り組みたいですね」と、今後の事業展開を展望されました。藤原様は、「脱炭素化への取り組みも大きな課題です。2021年2月にはEVバス3台を導入しました。カーボンニュートラル実現に貢献するために、今後も環境への取り組みをさらに推進していきたいと思います」と、意気込みを語られました。
日立産機システムは、関東日立とともに、進化する地域交通システムを支える同社の発展に貢献できるよう、これからもご期待にお応えしてまいります。

運転席に設置されている産業用無線ルータ「CPTrans-MEW」

無線LAN対応。コンパクトな上、安定した通信を実現
お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—
セキュアで応用範囲の広い通信技術を生かして、お客さまのニーズにお応えします
平和交通株式会社様が運行するバスに搭載されたデジタルサイネージのコンテンツ配信を支える産業用無線ルータ“CPTrans-MEW”。小型・軽量で振動衝撃に強く、-20℃から60℃の温度帯で安定して使える点が評価され、ご採用いただけました。本製品はGNI様のようにパッケージ製品としてもお使いいただけますし、多様なニーズに応じてソフトウエア、ミドルウエア、ハードウエアともにカスタマイズできることが特長です。お使いいただける分野も、移動体通信、自動販売機のキャッシュレス決済や通信カラオケ機器、クラウド対応のIoT化などと幅広いので、グループ力を生かして、さまざまなお客さまに貢献していきたいと思います。

株式会社 日立産機システム
営業統括本部 ドライブ営業統括部 制御システム部
制御システム第三グループ 部長代理 森田将平(左)
同グループ 市村さくら(右)
CPTransを駆使したデジタルサイネージのさらなる展開をお手伝いいたします
GNI様から産業用無線ルータのお引き合いをいただいたことで、平和交通株式会社様とも新たなお取り引きが始まり、大変ありがたく思います。日立産機システムさんとともにバスに搭載されデジタルサイネージに流れる映像を拝見し、“CPTrans-MEW”のポテンシャルの高さを実感しました。平和交通株式会社様のグループ会社には他にもバス運行会社様があるので、デジタルサイネージ展開のお手伝いができれば幸いです。今後も通信キャリアさんが展開する、より高速で高品質、大容量の通信サービスがさらに普及していくので、キャッシュレス決済への応用など、本製品が活躍できる場を一層広げていきたいと考えています。

株式会社 関東日立
産業機器営業本部
本部長付 浅沼行雄
ご採用いただいた製品
産業用無線ルータ
CPTrans-MEW
主な特長
1. 耐振動衝撃、広い温度範囲を考慮した設計
2. 通信の安定稼働を実現するための自己監視機能を搭載
3. 小型設計により、お客さま設備への収納が容易
4. すぐにお使いいただける内蔵アンテナ搭載、ACアダプタ同梱のパッケージモデル
*CPTrans-MEWはキャリア無線(4G LTE)に対応し、さまざまな機器への接続が可能です。
*インターフェースとして、有線LAN/無線LANに対応しています。
*CPTransシリーズのグローバル対応端末「CPTrans-MGW」も近日発売予定。詳細は別途お問い合わせください。

CPTransシリーズの豊富な実績を生かして、
新たな製品の開発、サービス構築をサポートします
専用ハードウェアの提供
○LTE通信を利用した機器の設計、開発、製造の一貫サポート
○センシング機器を組み合わせた盤の提供
GNSS補正情報配信サービス
○GNSS補正情報配信サービスとGNSS機器を組み合わせて、顧客ニーズに合わせた位置情報サービスを提供
回線提供~運用サービス
○各種回線プランご提供
○閉域網の構築
○機器と回線をワンストップで提供
端末管理サービス
○端末管理機能をサポート
○端末の遠隔アップデート
○キッティング対応可能
製品の詳細や導入に関するご相談はこちらから
( vol.121・2022年3月掲載 )