1958年、東大阪の小さな町工場からスタートしたアイリスオーヤマ株式会社。1年間に発売する新商品は約1,000アイテム。総売上高に占める新商品売上高の割合が6割以上と、革新と挑戦を止めない企業として成長を続けてきました。この間、本社を仙台市に移転、角田I.T.P.(インダストリアル・テクノ・パーク)/角田工場を開設するなど、東北地方を拠点として発展してきました。今回お伺いした角田工場では、マスクとパックごはんなどの生産ラインにおいて日立空気圧縮機が、高い品質の商品づくりに貢献しています。
画像1: 【お客さま導入事例 vol.156】
アイリスオーヤマ株式会社
角田I.T.P./角田工場

ユーザーイン発想から、暮らしの中に次々と新たな
ソリューションをもたらしたメーカーベンダーの先駆者。

アイリスオーヤマ株式会社

代表取締役社長:大山 晃弘
設立:1971(昭和46)年4月
所在地:
本社 宮城県仙台市青葉区五橋2-12-1
角田I.T.P./角田工場 宮城県角田市小坂上小坂1番
従業員数:5,379名(2022年1月時点)
事業内容:生活用品の企画、製造、販売
https://www.irisohyama.co.jp/

生活者視点の新しいビジネスモデルで、急成長を遂げたアイリスグループの本拠地

 プロダクトアウトでもなく、マーケットインでもない、ユーザーイン発想をベースに、独自の“業態メーカーベンダーシステム”というビジネスモデルを構築し、急成長を続けるアイリスオーヤマ株式会社。メーカー(製造)機能とベンダー(問屋)機能を併せ持ち、特定の業種や事業にとらわれず、さまざまな素材の商品をグローバルに生産・調達することで、変化する市場ニーズに柔軟に応えてきました。

 同社の発展の歴史は、新しい分野へのチャレンジの歴史でもあります。1970年代には産業資材メーカーとして成長。1980年代には園芸用品に進出しガーデニングブームを牽引し、1990年代はホームセンターとの取引拡大によりメーカーベンダー機能を強化。2000年代は事業のグローバル展開とLED電球に代表される家電分野への進出を果たし、2010年代には東日本大震災を経て、食品事業に進出。近年は家電事業を拡大するとともに、マスクをはじめとするヘルスケア分野でも注目を集めています。

画像: マスク、除菌ウェットティッシュ、パックごはん、もちなど角田工場の主力商品

マスク、除菌ウェットティッシュ、パックごはん、もちなど角田工場の主力商品

画像: 角田I.T.P./角田工場

角田I.T.P./角田工場

 今回お訪ねした角田I.T.P./角田工場は、本部機能、研究開発部門、工場、福利厚生施設などが一体となった同社の本拠地。1992年に完成して以来、国内外のアイリスグループ各社と33(取材当時)の工場の中心としてモノづくりを支えてきました。

 同社生産技術部 部長 木村誠様は、「当社では、自社で内製することにこだわりと矜持を持っています。本当に良いものをお客さまに届けるためには、自らの手でつくらないと真の価値や技術的な課題も分かりません。だから、まず実際につくってみるのです」と、モノづくりの基本姿勢をご紹介されました。

 同部 マネージャーの桑島良人様は、「当工場が完成した当時は、前年に社名を変更するなど、その後の飛躍に備えた大きな転換の時期でもありました。ここで開発・生産した園芸商品やペット商品、収納用品などの樹脂製品が、現在のアイリスオーヤマの基礎を築いたと思います」と角田I.T.P./角田工場の役割を話されました。

画像: アイリスオーヤマ株式会社 生産技術部 部長 木村誠 様(左) 同部 マネージャー 桑島良人 様(右)

アイリスオーヤマ株式会社
生産技術部 部長 木村誠 様(左)
同部 マネージャー 桑島良人 様(右)

2020年、店頭から消えた国産マスクをいち早く届けるため発揮した、モノづくりの底力

 2020年初頭、ここ角田工場では、新型コロナウイルス感染症拡大とともに全国的に入手困難になりつつあったマスクの生産に着手することになりました。生産計画が立ち上がるやいなや、直ちに角田工場の一部を改修し、新たにマスクの生産ラインが構築されました。

 「もともとマスクは中国の大連と蘇州にあるアイリスグループの工場で生産していましたが、日本国内へのマスクの安定供給体制を構築することで社会に貢献しようとのトップの想いに応え、一気に国内生産体制を整えました」と木村様はマスク参入の経緯を振り返りました。桑島様も「まず、マスクの生産ラインのためのスペースづくりから始めましたね。ただ大連や蘇州の生産ラインは木村が主導して立ち上げたものですから、マスクに関する生産技術はすでに構築できていたので、計画に沿って一気呵成に進めることができました」と語ります。「生産ライン設計においても中国の工場をモデルとし、それを角田工場に用意したクリーンスペースに展開するだけですから、短期間でできた記憶があります。国内向けの取り組みとしては、生産効率向上とコスト抑制に貢献するために、新たな自動化設備を導入しました」と木村様。

画像: アイリスオーヤマ株式会社 製造部 角田製造マスク課 リーダー 鈴木徹也 様(左) 同部 角田製造フード課 リーダー 佐々木弘真 様(右)

アイリスオーヤマ株式会社
製造部 角田製造マスク課 リーダー 鈴木徹也 様(左)
同部 角田製造フード課 リーダー 佐々木弘真 様(右)

 このスピーディな生産ラインの立ち上げにおいては、生産設備の駆動に圧縮エアーが必要なことから、日立産機システムと特約店の三和電機商事もお手伝いをさせていただきました。桑島様は、「生産ラインで稼働する設備のエアシリンダーやアクチュエータを動かす動力は、主にクリーンな圧縮エアーとモータですから、まず空気圧縮機は欠かせません。そこで長年当社とお付き合いのある日立産機システムさんと三和電機商事さんに相談し、必要なスペックを満たすオイルフリー圧縮機を短納期で納入していただきました」と、ご採用の経緯を紹介してくださいました。

 こうして角田工場のマスク生産ラインは2020年6月から稼働開始、7月にはナノエアーマスクの出荷が本格化。国産マスクを求める生活者の切実なニーズに応えることができました。その後は機能や素材、デザインやカラーのバリエーションも増え、2021年にはJIS適合マスクを生産、2022年には新たに除菌ウェットティッシュの生産も始まりました。

画像: マスク生産ライン。各所の動力を圧縮エアーが担っている

マスク生産ライン。各所の動力を圧縮エアーが担っている

画像: パックごはん生産ライン。動力源の空気圧縮機のほか日立製IJPも活躍している

パックごはん生産ライン。動力源の空気圧縮機のほか日立製IJPも活躍している

画像: もち生産ライン

もち生産ライン

画像: 新商品開発会議が開かれる会議室

新商品開発会議が開かれる会議室

画像: まるでホームセンターのように生活用品がずらりと並ぶショールーム

まるでホームセンターのように生活用品がずらりと並ぶショールーム

東北地方の農家を支え、日本の原風景と米食文化を守る食品事業

 マスク生産とともに角田工場が手掛ける食品事業には、東日本大震災後も東北地方を拠点として発展してきた同社らしさが生きています。同社では、アイリスグループ会長 大山健太郎様の「東北を元気にしたい、日本のふるさとの原風景である農業を守りたい」との想いを起点に、2013年に精米事業を地元の農業生産法人とともに立ち上げ、そこから食品事業を拡大してきました。

 精米に着目したのは、仙台に本社を置く企業として、東日本大震災からの復興に貢献したい、東北地方のおいしいお米を広めたい、との想いからでした。木村様は、「最初は当工場で精米事業を立ち上げましたが、今は関係会社の舞台アグリイノベーション株式会社(本社:宮城県仙台市、工場:宮城県亘理郡)が生産を担い、当工場ではそのお米を使ったパックごはんと切りもちなどを生産しています」と、事業の概要を紹介されました。桑島様は、「パックごはんを事業化した理由は、少人数のご家庭でもおいしいお米を食べていただくためです」と、商品開発のねらいについて語るとともに、「同工場のパックごはんと切りもちの生産ラインでも、日立製の空気圧縮機が活躍しています。マスクの生産同様、クリーンな圧縮エアーが必要なので、導入しているのはオイルフリー圧縮機。生産ラインの室内環境に影響を与えるフィルターの選定にもこだわりが反映されています」と空気圧縮機の位置付けを話されました。

画像: アイリスオーヤマ株式会社 製造部 角田製造フード課 秋保順一 様

アイリスオーヤマ株式会社
製造部 角田製造フード課 秋保順一 様

 「マスクでも食品でも、生産に関わる空気圧縮機が動かないとすべての設備が止まってしまうので、信頼性とメンテナンスサービスは最重要です。この点で日立産機システムさんと三和電機商事さんを評価しています」と木村様。桑島様からは、「生産技術部としては品質を大前提としつつ設備効率を重視しているので、予備機などを持ちません。これからは複数の空気圧縮機がつくるエアーを、ラインを超えて融通できるシステムや、ラインに影響を与えないメンテナンス計画などのご提案をいただきたいですね」とご要望をいただきました。

 2022年中には、グループ会社のアイリスプロダクト株式会社の南相馬工場が稼働を開始。福島県浜通り地域の復旧・復興とともに新たな挑戦が始まります。日立産機システムと三和電機商事は、これからもアイリスグループの発展に貢献し続けたいと考えています。

画像: マスク生産ラインに使用されている日立空気圧縮機

マスク生産ラインに使用されている日立空気圧縮機

画像: パックごはん生産ラインに使用されている日立空気圧縮機

パックごはん生産ラインに使用されている日立空気圧縮機

お客さまのために力を合わせて —日立産機システム 製品関係者—

空気圧縮機を通じて、社会に貢献する事業の立ち上げに関わることができました

 アイリスオーヤマ株式会社様は東北地方を代表する企業として、地域社会とともに成長してきた企業です。角田工場様が手掛けるパックごはんの生産は、2011年の東日本大震災で被災した米作農家さんを支援するための精米事業から始まっています。国産マスクの生産も、国内のマスク不足をいち早く解消するために、驚くほど短期間で生産ラインを立ち上げられました。当社も社会が切実に必要とするマスクを生産するため、空気圧縮機も可能なかぎり短納期で納入させていただきました。無事にラインが稼働した時には、お客さまと社会の期待にお応えできたと実感することができました。今後とも空気圧縮機を守り、アイリスオーヤマ様の発展に貢献してまいります。

画像2: 【お客さま導入事例 vol.156】
アイリスオーヤマ株式会社
角田I.T.P./角田工場

ユーザーイン発想から、暮らしの中に次々と新たな
ソリューションをもたらしたメーカーベンダーの先駆者。

株式会社 日立産機システム
営業統括本部 東北支社
営業部 空圧システムグループ
課長代理 松田洋一(右)
同グループ 高矢聡之(左)

成長するヘルスケア事業と食品事業に、今後ともしっかりと貢献してまいります

 アイリスオーヤマ株式会社様は、30年以上のお付き合いがある大切なお客さまです。この間、丁寧なメンテナンスサービスなどでの実績をご評価いただき、日立製品のお引き合いをいただく機会が増えてきました。主にヘルスケア事業と食品事業を支える角田工場様では、それぞれの生産ラインに空気圧縮機を導入していただいています。特に空気圧縮機が活躍するマスクの生産ラインは素晴らしく、クリーンな環境の中で次々とマスクができていく様子を見た時には人々の健康に貢献する事業に関わることができたと思い、感動しました。これからも日立産機システムさんとともに空気圧縮機のメンテナンスを通じ、角田工場様のお役に立っていきたいと思います。

画像3: 【お客さま導入事例 vol.156】
アイリスオーヤマ株式会社
角田I.T.P./角田工場

ユーザーイン発想から、暮らしの中に次々と新たな
ソリューションをもたらしたメーカーベンダーの先駆者。

三和電機商事株式会社
代表取締役社長 伊藤忠雄(左)
営業二部 産業グループ 課長 吉田和裕(右)
同グループ 木村綾(中)

ご採用いただいた製品

空気圧縮機
日立オイルフリースクリュー圧縮機

圧縮エアーに油分を含まないので、食品、薬品、化粧品などのクリーンな現場にオススメ
クリーンな圧縮エアーが必要な現場に最適。オイルフリースクリュー圧縮機は、15~240kWと幅広い出力のラインアップを誇るとともに、オイルフリースクリューとインバータ搭載による可変速制御を実現した省エネタイプを取り揃えています。食品工場、薬品工場、化粧品工場などのクリーンな現場のお客さまニーズにお応えします。

主な特長
1. さまざまな環境でも性能を発揮する高性能スクリュー圧縮機のエアエンド構造
2. 高精度な一定圧力制御により必要な空気量を必要な圧力で供給
3. 圧縮機内部温度上昇を最小限に保つ新型ユニット構造により高温下での信頼性確保
4. IoT対応クラウド監視サービス「FitLive」で管理工数を削減

画像4: 【お客さま導入事例 vol.156】
アイリスオーヤマ株式会社
角田I.T.P./角田工場

ユーザーイン発想から、暮らしの中に次々と新たな
ソリューションをもたらしたメーカーベンダーの先駆者。

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( vol.122・2022年5月掲載 )

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