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四国サービスステーション
所在地 : 香川県高松市香西本町142-5
上:四国支社内の四国サービスステーションのスタッフ。
下:四国サービスステーションの整備工場(左)。四国サービスステーション外観(右)。
「FitLive」のチェックから始まるサービスエンジニアの一日
数多くの島々が浮かぶ穏やかな瀬戸内海に面した香川県高松市。同市に拠点を構える日立産機システム 四国支社サービスグループ 技師の上田琢也の仕事ぶりを見ると、サービスエンジニアがお客さまに提供するサービスのあり方が、近年、大きく変わってきたことが分かります。上田は、毎朝出社するとPCを起ち上げ、まず産業機器向け設備監視サービス「FitLive」にログインし、自身が担当するお客さま先で稼働している空気圧縮機の中で同サービスに接続されているすべての空気圧縮機の運転状況を確認します。そして、PCのモニタに表示された温度や圧力、電流の動きを一通り確認し、故障発生などの問題がなければ、その日の仕事に取りかかります。ここで駆使するのは「FitLive」サービスから得られる詳しい稼働情報です。例えばお客さまからメンテナンスの見積り依頼を受けた場合、その空気圧縮機が「FitLive」サービスに接続されていれば、稼働データを多角的に分析することで、通常の定期点検に加え、予防保全のための提案をはじめ、機器の運用を最適化するための省エネやライフサイクルコスト削減に貢献する新たなソリューション提案につなげることができます。
「私が担当しているお客さま先の空気圧縮機のうち、『FitLive』サービスに接続している空気圧縮機はずいぶんと増え、最近では全体の約4分の1にまで達しています。また、『FitLive』の機能も進化してきて、予兆診断もある程度可能になりつつあります。例えば、故障の兆しを検出することができたら、モニタにポップアップとして表示されるので、それを確認したらすぐにお客さまに最適なメンテナンスをご提案することができます。予兆診断につながる新しい機能をお客さまにご紹介すると、大変驚かれ、高い関心を寄せていただけるケースが増えています。『FitLive』サービスが今後も市場において拡大することは間違いありませんね」と上田は同サービスがもたらしたサービス部門における最近の大きな変化を語ります。
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上田琢也 (2009年入社)
株式会社 日立産機システム
四国サービスステーション
サービスグループ 技師
一方、同サービスに対応していない空気圧縮機をお使いのお客さまへの対応は、一層、重要です。トラブルが発生したらいつでもオンコールで対応し、必要があれば直ちに出動し、修理にあたります。また、定期的な訪問診断や部品交換を提供する「メンテナンスパックプラン」や、製品導入時からの保守・メンテナンスを一体化しライフサイクルコストを平準化する「リースパックプラン」のご提案活動は欠かせません。さらに古い機種については、設備のダウンタイム発生を防ぐためにも最新機種への更新を積極的にご提案するなど、お客さまとの日常的な関係づくりの大切さは、サービスのIoT化が進んでも変わることがないといいます。
お客さまの使い方を熟知して、空気圧縮機の能力をフルに活かす
サービスエンジニアとしての上田の強みは、空気圧縮機の制御に関する知識の広さと制御盤を自在に操作できる技術力、さらに、その強みを活かした提案力にあります。例えば、お客さまから制御システムをカスタマイズしてほしいとのご依頼があったら、当社事業所の設計や品質保証担当者も巻き込んで迅速にソリューションを提案したことは何度もあったといいます。
とはいっても、入社した当時は当然のことながら、知識も技術も、まだ満足できるものではないので、「先輩のサービスエンジニアや協力会社の方と一緒に現場に行き、空気圧縮機の分解方法や、圧縮機本体の機構や動きを一から教えてもらう日々でした。2年目ぐらいからは一人でも運転できるようになり、オンコール対応があれば現場に直行し、電話で先輩の指示を受けながら手探りの状態で部品交換や修理をする経験を積み重ねて、4、5年目に、社内の製品ライセンシーも取得でき、自信を持ってお客さまに向き合うことができるようになりました」と上田は語ります。

後輩の佐々木(左)とともに圧縮機のクーラーを慎重に分解清掃する。

左:空気圧縮機の交換部品を点検する。
中:先輩の中西(右)とサービス計画を打ち合わせる。
右:出動前に持参する工具を念入りにチェックする。
その後、サービスエンジニアとしてさらに成長するきっかけとなった出来事がありました。それは出力240kWの大型給油式スクリュー圧縮機を、お客さまのニーズに合わせた運転ができる設定にしようとしたら思ったように稼働しない、というトラブルに直面したことでした。断続的に圧縮エアーを使いながらも容量制御を実現したいというご要望でしたが、うまく対応できません。お客さまの生産活動に支障はなかったものの、本来のご要望にお応えできなかったので、上田は諦めることなく何度も訪問して試行を繰り返しました。そして、最終的には部品を変更することで問題を解決でき、お客さまに大変喜んでいただけたといいます。
また、お客さまにとって最適なメンテナンスサービスをご提供することも上田の重要な仕事です。昨年は、大手生活用品メーカー様の四国工場に向けて、空気圧縮機の新規増設にあたり、サービスメニューとして保守付きの「リースパックプラン」、定期整備やオンコールサービスをパッケージ化した「メンテナンスパックプラン」、さらには機器ではなく圧縮エアーそのものを商品化した「サブスクリプションプラン」などをご提案させていただき、最終的には費用の平準化と長期契約を重視したプランを選択していただきました。「お客さまのご要望に沿った複数の提案の中から、『この提案はいいね』と評価していただいたことで、当社のサービスの品揃えにさらに自信を深めることができました」と上田は語ります。

上司の遠山(左)に業務報告する。

お客さま先で空気圧縮機を点検・整備する。
サービスエンジニアの可能性を広げる四国サービスステーションの取り組み
瀬戸内海沿岸には、今回お訪ねしたオリエンタルモーター株式会社様などの電機メーカーや、医薬品、化学、製粉、造船などの大手メーカーの生産拠点が多く進出しています。これらの大手メーカー様では当社製の空気圧縮機をお使いいただいていますが、ライフサイクルでのコスト管理、制御面やサービス面での柔軟な提案や対応が求められています。「四国サービスステーションでは、最近はお客さまとともに『FitLive』サービスに関する勉強会を開催したり、圧縮機の稼働データを分析し、それをお客さまの生産に活かす取り組みを推進しています」と上田。特に力を入れている取り組みが、サービスステーションで毎朝必ず「FitLive」サービスにログインして、5分かけて空気圧縮機のデータを分析することです。わずか5分間でも、電流や負荷率、温度変化などを分析することでお客さまにご提案すべきことが見えてくるといいます。上田は、この取り組みを社内に浸透させるために、サービスエンジニアの後輩である佐々木涼にもデータ分析に必要な着眼点やコツを教えています。
2019年に入社した佐々木は「上田さんには、技術面はもちろんのこと、見積もり書や提案書の作成の仕方なども基礎から教えていただきました。また、空気圧縮機の設置に伴う工事スケジュールやスタッフの調整のノウハウなども教えていただきましたね。最近は、『FitLive』サービスの稼働データの見方も勉強させてもらっています。今後はこのサービスの機能をフルに活用して、上田さんのようにお客さまに喜んでいただける提案ができるように成長したいと思います」と語ります。

後輩の佐々木(左)に「FitLive」サービスで収集した稼働データの分析手法を指導する。

「FitLive」サービスで稼働データを確認することは毎日の大切なタスクだ。
「上田君は、『FitLive』サービスから得られたデータ分析を通じ、お客さまのカーボンニュートラルの取り組みに貢献しようとしています。今後は、その成果が実を結ぶよう応援したいと思います」と先輩技師の中西和輝。上司である主任技師の遠山匡昭は、「四国サービスステーションでは、年間1,000件ほどの案件に対応しています。また、愛媛県新居浜市にもサービス拠点を展開し、臨海工業都市のお客さまや高知県のお客さまにサービスをご提供しています。遠隔地のお客さまも多いので、今後は『FitLive』サービスをさらに普及し、サービスの品質をより一層高めていきたいと考えています。その意味で、同サービスのプロフェッショナルである上田君には、四国支社をリードしてほしいですね」と期待を寄せています。
当社の空気圧縮機は、品質、性能、ラインアップ、サービスにおいて市場をリードしています。上田は、「これからも、常にお客さまの立場で、お客さまが本当に求めていること、期待されていることをご提案できるよう成長していきたいと考えています。そのためにも、『FitLive』サービスを活用して、お客さまが求めるソリューションと感動を提供できるサービスエンジニアでありたいと思います」と抱負を語ってくれました。
サービスエンジニアが活躍するお客さまを訪ねて
モーションを精密に制御する
手のひらに乗る小型モーターを生む、
西日本唯一の開発・生産拠点
オリエンタルモーター株式会社 高松カンパニー 高松香西事業所 様

香川県高松市の郊外に拠点を構える
オリエンタルモーター株式会社 高松カンパニー 高松香西事業所様

オリエンタルモーター株式会社様の主要製品の一部
生産現場の自動化、ロボット化を支える小型モーターのリーディングカンパニー
オリエンタルモーター株式会社様は、医療機器や半導体製造装置メーカーをはじめ、幅広い産業分野に向けた精密小型モーターや制御用電子回路などを開発・設計、製造、販売を自社で一貫して行っているスペシャリスト集団です。
今回お訪ねしたのは、同社 高松カンパニー 高松香西事業所 製造技術課の田井聡一朗様です。田井様は、前任者の後を受け、工場のさまざまな生産設備のメンテナンス、新規設備の立ち上げ、空気圧縮機などの維持管理といった設備全般の管理を担っています。「高松香西事業所(設立 2001年)と高松国分寺事業所(設立 2012年)からなる高松カンパニーは、当社の国内9製造拠点のうち、西日本に置かれた唯一の製造拠点で、高品質の小型ステッピングモーターの開発と生産を担っています」と事業所の概要を紹介される田井様。「高松国分寺事業所では主にこのモーターに使われる部品の生産を行い、高松香西事業所では、モーターにエンコーダや電磁ブレーキなどの部品を組み付けるアッセンブリ工程から出荷までを担っています」。
小型ステッピングモーターは、パルス信号に正確に同期し、高精度の位置制御が可能なことから、短い距離の短時間位置決めに適しています。低速での高トルクと低振動に優れているので、医療分野ではCT装置、レントゲン装置、血液分析装置など、その他の分野では、生産現場の自動化やロボット、計量器や包装機などの食品機械、ETCゲートなどの交通機器、街の中では回転寿司レーンや監視カメラなどの精密な制御に貢献しています。

出力22kWの日立パッケージ型スクリュー圧縮機が生産ラインを支える。

オリエンタルモーター株式会社
高松カンパニー 高松香西事業所 製造技術課. 田井聡一朗 様
高品質なステッピングモーターの生産を支える日立空気圧縮機
高松香西事業所の生産ラインにおいて重要な役割を担っているのが、生産設備を駆動するための圧縮エアーを供給する2台の空気圧縮機です。全社あげてカーボンニュートラル実現をめざした取り組みを推進する中、同事業所においては、圧縮エアーで駆動している設備からのエアー漏れに焦点をあてて、エアー漏れ可視化カメラを活用してロスの見える化、ロスの削減、省エネに取り組んできました。「この活動を進める中、日立産機システムの上田さんから、空気圧縮機の更新と設備監視サービス『FitLive』のご提案を受けて、その成果を空気圧縮機の最適運用に反映することができました」と田井様。エネルギーロスを発生する設備を廃棄・更新することでロスをリセットするとともに、空気圧縮機の出口圧力を0.7MPaの設定のところ0.5MPaに降圧することで、約16%の省エネ効果があることが分かったので、現在、切り替えに向けて活動しています。
「現在、当社ではCO2排出量を抑制する取り組みを推進していますが、この目標の達成のために、圧縮エアーが通るすべての配管にバルブを設置し、より厳格にロスの削減を進めていく計画です。これまでも日立産機システムさんには、柔軟な対応で助けていただいてきました。今後は、上田さんとともに『FitLive』サービスの使い方を研究し、カーボンニュートラルの取り組みをステップアップさせていきたいと考えています。特に予兆診断機能の進化については期待しているところです」とのお言葉をいただきました。これからも日立産機システムは、オリエンタルモーター株式会社様の精密なモノづくりとカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みに向けて、先進の製品とシステム、ソリューションをお届けしてまいります。

左:田井様にメンテナンス計画をご提案する上田。 右:空気圧縮機の稼働状態を確認する。
オリエンタルモーター株式会社
事業内容:精密小型モーターおよび制御用電子回路などの開発・製造・販売
本社:〒110-8536 東京都台東区東上野4-8-1
高松カンパニー 高松香西事業所:〒761-8012 香川県高松市香西本町28-1
https://www.orientalmotor.co.jp/ja
( vol.136・2024年9月掲載 )