日立オリジンパーク「創業小屋」に展示されている「五馬力誘導電動機」の設計図面(複製)(左) 国の重要文化財に指定される日立オリジンパーク「小平記念館」に展示されている「五馬力誘導電動機」(製造番号No.1)(右)
日立最初の製品「五馬力誘導電動機(以下 5馬力モータ)」が、設計図面5枚とともに2022年11月文化庁の文化審議会答申を受け、国の重要文化財(歴史資料の部)に指定されることとなりました。5馬力モータは、1910年に日立製作所創業者である小平浪平の指揮のもと日立鉱山で使うためにつくられた日立最初の製品であり、日本人により設計製造されたモータとして現存最古のものです。この製品を原点として、日立および日立産機システムは日本の産業と社会の発展に貢献し続けてきました。

*「近代化産業遺産」Vol.1ページもご覧ください
https://voltage21.dino.vc/rvladm/webformat/content/update/17744138

5馬力モータに込められた 創業者の志と情熱

 日立の創業製品である5馬力モータが、電気機械国産化の礎を築いた機械として産業技術史上、学術的価値が高いと評価され、国の重要文化財に指定されることは非常に光栄で、誇らしいことです。また、5馬力モータとともに設計図面が重要文化財に指定されることにも大きな意義を感じています。これは機械設計と電気設計の成果が組み合わさった最終工程の組立図面であり、ロウをひいた絹に非常に丁寧に1本1本の線が描かれています。現在の設計者から見ても、作図の大変さとそこに込められた創業期の先輩方の電気機械国産化にかける思いを感じることができる、大変に価値ある図面だと思います。

画像: 国の重要文化財に指定される日立オリジンパーク「小平記念館」に展示されている「五馬力誘導電動機」(製造番号No.1)

国の重要文化財に指定される日立オリジンパーク「小平記念館」に展示されている「五馬力誘導電動機」(製造番号No.1)

5馬力モータは、日立鉱山で使うために創業者が指揮して日立鉱山工作課修理工場においてつくられましたが、当時は鉱山で使う発電機、水車、変電設備などはすべて外国製であったことから創業者達は電気機械の国産化をめざし、まず3台の5馬力モータを開発・製造。重要文化財に指定される製品はその1号機です。その後、創業者は1910年11月、新たな工場(現 日立インダストリアルプロダクツ日立事業所)を立ち上げ、さらにモータ、変圧器、油入開閉器、発電機などを次々と生み出すとともに、さまざまな苦難にもめげず日立製作所を設立する基盤を築いていきました。このモータに象徴される創業の精神と技術が、今では多くの先輩方の努力により、日立製作所から日立産機システムに引き継がれてきたことに対して深く感謝するとともに、モータ設計に携わる者として次世代に大切な日立の伝統を伝えていく責任を強く感じています。

社会のニーズに応えて 進化と挑戦を続けてきたモータ

5馬力モータが登場してから、モータはエネルギー効率の高さと扱いやすさなどから、石炭を使った蒸気機関や水力などに替わり徐々に産業界における動力源としての存在感を高めていきます。この間、産業用モータは材料や製造方法を見直しながら小型・軽量化を進めました。創業時の5馬力モータと比較して最新の5馬力モータは重量比約4分の1にまで軽量化が図られています。またモータは社会基盤を支えるキーデバイスとして、発電、産業、交通、家電などの分野でその役割を果たしています。特に1980年代以降のマイクロエレクトロニクス技術やパワー半導体素子の発展とともにインバータとモータを組み合わせた駆動制御システムが急速に進展しました。今ではモータは動力源として工場、鉄道、家電や自動車機器、情報機器に至るまで幅広く使われています。このモータ事業の内、日立製作所から産業用モータ事業を引き継いだ日立産機システムでは、出力0.75kW(1馬力)から300kWまでの幅広いラインアップにより、産業と社会からの多様なニーズに応えてきました。

画像: 株式会社 日立産機システム 事業統括本部 ドライブシステム事業部 モータ設計部 担当部長 下薗忠弘

株式会社 日立産機システム
事業統括本部 ドライブシステム事業部
モータ設計部 担当部長
下薗忠弘

モータの進化について特筆すべきことは、1994年に日立「ザ・モートル」シリーズが誕生したことです。それまで鋼板や鋳物を使っていたフレームを、アルミ合金フレームに変更し軽量化と冷却性を高めることで小型化を実現することができました。技術的には大きな課題があり先輩方が苦労されたと聞いていますが、この成果により、他社よりも先行できたことで技術的に優位に立つことができました。

画像1: 【日立産機の技術者たち】
「五馬力誘導電動機」重要文化財指定記念 モータ特集

❶ 明治43(1910)年製造
創業当時のもので、国産技術により初めて完成されたモータ。冷却ファンはなく、メタル軸受を使用しています。
❷ 大正5(1916)年製造
モータ外径がやや小さくなるとともに、冷却ファンを採用しています。
❸ 昭和10(1935)年製造
構造的に大きな変化はありません。このころまでインチ寸法を使用していました。
❹ 昭和30(1955)年製造
電線にVF線、軸受に玉軸受を本格的に採用したモータ。特性はJIS、取り付け寸法はJEMに適合させ、フレーム構造も防滴形です。
❺ 昭和38(1963)年製造
新NEMA寸法に準じて小型化し、デザインも一新。高度な防滴構造を持ち、ファンはアルミ回転子と一体化しました。
❻ 昭和45(1970)年製造
IEC準拠の新JEM寸法により小型化したモータ。ポリエステル樹脂、E種絶縁を採用しました。
❼ 平成3(1991)年製造
1983年の新規格(新JIS)化以降、さらに静音化・低振動化を実現したサイレントパワー第1号機です。
❽ 平成6(1994)年製造
国内で初めて汎用モータにアルミ合金フレームを採用した「ザ・モートル」第1号機です。
❾ 平成19(2007)年製造
保護構造IP55、耐熱クラスFを標準装備したグローバルスタンダード「ザ・モートルNeo100」屋外型シリーズを発売しました。
❿ 平成25(2013)年製造
日立のモータ技術の歴史を担い、国内トップランナー規制に対応するとともに、グローバルスタンダードも視野に入れたプレミアムモータです。

次に日立産機システムがモータ事業を担ってからの大きな社会変化は、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)においてトップランナー制度が導入されたことです。産業用モータがトップランナー基準の対象機器になったことでモータの高効率化、省エネ化が加速しました。当社では、2013年から省エネ基準をクリアしたモータの生産をいち早く始め、2015年に規制が始まるまでには、出力0.75kWから300kWまでの76機種を一気にトップランナーモータに切り替え、当社ならではの強みを確立することができました。特に、他社が中型モータの200V/50Hz、200V/60Hz、220V/60Hzの3仕様の対応が遅れた中、当社では中型の全仕様でトップランナー規制に対応することで、リーディングカンパニーとしての立場を築くことができたと自負しています。

創業精神を胸に、さらなる技術革新に挑戦

日立では創業以来、汎用性、利便性、生産性の高いインダクションモータを社会に送り出してきましたが、1980年代からは、それと並んで高効率で制御性が高いPMモータ(永久磁石モータ)のラインアップも揃え、社会基盤を支えてきました。

世界の消費電力量の約40%をモータが占めているといわれています。その中で、産業用モータの電力消費を大きく減らすことができれば、グローバルな規模での大きな省エネ、カーボンニュートラル、さらにはゼロカーボンの実現につなげることができることから、当社では次世代のモータ開発を進めているところです。

インダクションモータについては、トップランナーモータとして効率レベルは国際電気標準会議(IEC)によるIE3に対応していますが、今後、IE4クラスの高効率モータに対応した製品をこれまでと同じように開発・生産、供給し続けることが求められています。これはIE3クラスと比較して電力損失を約20%削減する必要がありますが、すでに欧州向けに空気圧縮機に搭載するモータを先行して開発しています。またPMモータもさらなる高効率化とともに、制御性の高さを活かした新たな応用分野の開拓や、上位通信ネットワークとのシステム化をめざした開発を進めています。モータ事業は成熟した分野といわれていますが、効率化の余地はまだまだあります。また社会全体の電動化ニーズに対応して、これまでモータの導入が進んでいなかったエンジンや油圧機器の電動化にも貢献できると考えています。

当社には、“Leading a Sustainable Future”という大きな使命のもと、持続可能な未来を拓いていくために、カーボンニュートラルの実現に貢献できる製品とシステムを提供できるモータ事業をさらに進化、発展させていく責任があります。創業時の5馬力モータが誕生してから113年。私達は、国の重要文化財に指定されることの重みをかみしめながら、創業の精神である「和」「誠」「開拓者精神」を引き継ぎ、「技術を通じて、社会に貢献する」ことを忘れず、モータの11 VoltAge21 vol.129 JUL 2023重要性や可能性をさらに高めていきたいと願っています。

日立の原点を訪ねて

日立製作所創業者 小平浪平の指揮のもと、1910年に日立鉱山工作課修理工場においてつくられた「五馬力誘導電動機」が、設計図面とともに国の重要文化財(歴史資料の部)に指定される意義を改めて確認するために、「日立オリジンパーク」と、日立鉱山跡地に建てられた「JX金属グループ 日鉱記念館」様を訪ねました。

画像: 日立製作所 創業者 小平浪平 (1874-1951)

日立製作所
創業者 小平浪平
(1874-1951)

画像: JX金属グループ 創業者 久原房之助氏 (1869-1965)

JX金属グループ
創業者 久原房之助氏
(1869-1965)

日立オリジンパーク 

創業者と日立の歴史、社会課題への挑戦の物語をたどる
日立オリジンパークは「小平記念館」「創業小屋」「大みかクラブ」「大みかゴルフクラブ」からなる施設です。中でも「小平記念館」「創業小屋」は、世界で活躍する日立グループの約37万人の社員が、日立の原点である創業者の志や受け継がれてきた企業理念、社会課題解決への挑戦の歴史などを学び、体感する企業記念館としての役割を果たしています。

画像: 日立オリジンパーク

❶小平記念館五馬力誘導電動機や変圧器をはじめとする日立鉱山工作課修理工場(創業小屋)で開発された創業時の製品が展示されている。
❷小平記念館 来場者の目をひく国の重要文化財に指定される「五馬力誘導電動機」。 初の純国産モータの誕生によって国産の電気機械が発展する礎となった。
❸創業小屋 [再復元された日立の原点]小平が撮影したたった一枚の写真を手掛かりに1956年に復元された創業小屋を、創業110周年事業の一環として2021年11月に再復元された。
❹創業小屋 [今も動く創業期モータ] 重要文化財に指定される五馬力誘導電動機と同時期につくられた五馬力誘導電動機が動態展示されている。

株式会社日立製作所 日立オリジンパーク
〒319-1221 茨城県日立市大みか町6-19-22
TEL 0294-87-7575
開館時間 9:30-16:00(最終入館15:00)
予約不要
休館日  水曜日、祝日
https://origin.hitachi.co.jp

画像2: 【日立産機の技術者たち】
「五馬力誘導電動機」重要文化財指定記念 モータ特集

日鉱記念館

日立鉱山の創業者 久原房之助氏の偉業をたどる
1905年、日立鉱山(現 JX金属グループ)を開業し、わずか数年で日本有数の銅山に成長させた久原房之助氏は、1912年に久原鉱業を設立。日本の非鉄金属業界を牽引するとともに、日産コンツェルン形成の基盤を築いた実業家です。同氏は日立銅山の草創期に、若きエンジニアであった小平浪平などを招き、鉱山の近代化を推進しました。日立鉱山は1981年に閉山されるまで、日本の近代化と経済発展に貢献。日鉱記念館は同氏の創業の精神や鉱山発展の歴史、JX金属グループの歴史などを学ぶことができる施設として、鉱山跡地に1985年に建てられました。

画像: 日鉱記念館

❶模擬坑道…採掘技術の変遷などを実物機器と人形を用いて紹介している。
❷鉱山資料館…1944年に建てられた木造のコンプレッサー室をそのまま使い、大型のコンプレッサー、削岩機などを展示している。
❸電気機関車(日立製作所製)…明治末期から50年間、専用電気鉄道や製錬所構内で活躍した。
❹第一竪坑…1906年から1981年の閉山まで鉱山の大動脈として活躍した。

JX金属グループ 日鉱記念館
〒317-0055 茨城県日立市宮田町3585
TEL 0294-21-8411
開館時間 9:00-16:00(入館受付15:30まで)
休館日  月曜日、祝日、年末年始等
https://www.jx-nmm.com/museum/

画像3: 【日立産機の技術者たち】
「五馬力誘導電動機」重要文化財指定記念 モータ特集

モータ特集 特別座談会

社会イノベーションに貢献する
「モータの日立」の強みと可能性

画像: 株式会社 日立産機システム 左:事業統括本部 ドライブシステム事業部 モータ設計部 標準IM設計グループ 阿部敦 中:営業統括本部 関西支社 第一営業部 ドライブシステム第一グループ 今野洋佑 右:営業統括本部 中国支社 営業部 ドライブシステムグループ 大方陽平

株式会社 日立産機システム
左:事業統括本部 ドライブシステム事業部 モータ設計部 標準IM設計グループ 阿部敦
中:営業統括本部 関西支社 第一営業部 ドライブシステム第一グループ 今野洋佑
右:営業統括本部 中国支社 営業部 ドライブシステムグループ 大方陽平

1910年に日立の創業製品として5馬力モータが誕生して以来、飛躍的な進化を見せてきたモータ。産業用、民生用を問わず、多種多様なモータがさまざまな分野で活躍しています。日立産機システムは「モータの日立」の伝統を受け継ぎ進化させるとともに、次代の社会イノベーションに貢献する製品開発に取り組んでいます。この特集ではモータの開発と営業を担う若きエキスパート達が、日立産機システムの強みと可能性を語ります。

産業と社会、暮らしを支える「モータの日立」

阿部 モータは、生産現場はもちろんのこと、身の回りの電気で動く機械、設備には必ずといっていいほど使われています。生活に欠かせない送水ポンプ、快適な室内空間をつくる空調機、ビルのエレベータやエスカレータ、商業施設の立体駐車場、アミューズメントパークのアトラクション施設などを見ると、モータのない社会は想像ができません。
今野 空気圧縮機、ポンプ、ホイスト、ブロアなど当社の主力製品の多くもモータで駆動しますね。電力供給を支える変圧器も回転こそしませんが、銅や電磁鋼板といったモータと同じ素材を使ってつくられます。
阿部 電気を磁気に変換して動力に変えるモータと、電気を磁気に変換してもう一度電気に変換する変圧器の基本的な仕組みは同じです。
大方 モータがここまで欠かせない存在となった理由は、エネルギー効率が他のエネルギー変換装置に比べると非常に高いことと、他の動力と比べて扱いやすいことです。特にインダクションモータは、電気を流すだけで回り、コントローラをつければ簡単に制御することができるので、汎用性が高く、さまざまな用途に使われています。

画像: 主任技師 阿部敦(2007年入社)

主任技師 阿部敦(2007年入社)

日立産機システムのモータの強みと特長

大方 産業用モータにおける当社の強みは、0.75kW(1馬力)から300kWまでの幅広い出力帯のラインアップを揃え、600V以下の低圧電力をお使いのお客さまニーズをほぼカバーできていることです。
阿部 出力帯も、0.75kW、1.5kW、2.2kW、3.7kW・・・と22段階ありますが、その中間の出力にも対応し製造することができます。また端子箱の位置違いや電圧違いなども含めて標準在庫を豊富に持っているので、お客さまのニーズにきめ細かく対応できることが大きな強みです。
今野 屋外型モータは漏水や防塵性能が重要ですが、当社は他社に先駆けてIP55という防水、防塵の高い保護等級を標準仕様として採用し、標準仕様、見込み在庫として備えているので、この点もお客さまにアピールできるポイントです。さらにトップランナーモータ(プレミアム効率:IE3相当)の場合は、すべての機種で耐熱クラス155(F)にも対応しています。耐熱性はモータの長寿命化と信頼性向上につながっています。
今野 トップランナーモータ以前から、標準仕様でIP55と耐熱クラス155(F)を採用していたのは当社だけではなかったでしょうか。日本で最初に国産モータをつくったという伝統と誇りが今の日立産機システムのモータに生きています。「モータの日立」というネームバリュー、ブランドが築かれているのは大きな財産ですね。
阿部 絶縁性能や信頼性の評価には、長い時間が必要です。材料の選択や評価方法の確立も含めて、創業以来の積み重ねた経験や知見がお客さまからの信頼につながっていると思います。

画像: 主任 今野洋佑(2008年入社)

主任 今野洋佑(2008年入社)

大方 営業現場でお聞きする声で一番多いのは、「日立産機システムのモータは壊れない」ということです。私の場合、お客さまがつくる製品の一部品として当社製モータを納めるケースが多いのですが、いずれも高評価をいただいています。PMモータもお客さま先で他社製品と競合になった時に、当社製品の効率性とコンパクトさが高く評価され、自信を深めることができました。
今野 私は、送風機、ポンプ、空気圧縮機、産業用空調機などに使うモータを扱っています。最近は物流拠点の搬送システムに使う駆動用モータのニーズの高まりも感じています。
阿部 個々の製品の品質とともに、調達から開発・生産、品質保証の仕組み、さらにはサービス体制に至る全体のフローの中でお客さまの意見を取り込んでいることも当社の強みですね。また創業以来の伝統が若い世代にも受け継がれて、目に見えない大きな財産になっていると思っています。さらに、ポンプや空気圧縮機などモータを使う多くの製品を社内でつくっているので、モータを必要とする装置メーカーのお客さまのニーズやお困りごとが良く理解できることも強みだと思います。
大方 当社の研究開発体制は歴史もあるし、規模も大きく安心感がありますね。
阿部 創業の地にある日立研究所には、基礎研究や解析などの面でモータに関する知見が集約しているので、お客さまのニーズを超えるような製品開発につながっていると思います。
大方 当社の強みとしてフルラインアップを揃えていることがありますが、モデルチェンジなどのタイミングでは全機種を見直す必要があるので開発者は大変ではないでしょうか。
阿部 そういう面もありますが、その強みを失わないためにすべてを受けて立つ気持ちで開発に取り組んでいますし、それに耐え得るような研究開発体制があるので、自信はゆるぎません。

画像: 主任 大方陽平(2009年入社)

主任 大方陽平(2009年入社)

社会イノベーションにもっと貢献できる製品をお届けするために

阿部 産業と社会、暮らしを支えるモータの、さらなる効率化なども含めて次世代のモータを開発し、社会イノベーションに貢献できることは設計担当者の大きなやりがいです。
大方 カーボンニュートラルの実現とIoT化は今後も産業界にとって基本的なメガトレンドですので、モータのさらなる高効率化と制御の進化による見える化の実現は大きな目標ですね。
今野 モータは外側からしか見ることができないので、お客さまも分解するかベアリングの音の変化から状態を診断したりされています。そこで、モータ内部の振動や温度がセンシングできないかとのご要望が上がってきています。
阿部 モータ内部の見える化やIoT化など、もっと進化させて、より使いやすくするとともに、他社製のモータと比べて魅力的な機能や新たな使い方ができるモータを開発したいと思います。これまでも設計部ではお客さまや市場の期待を上回るモータをつくるために、創業精神の「開拓者精神」にならってコア技術のブレークスルーにチャレンジし続けています。
大方 チャレンジの成果として、高速道路のトンネル内のファンに使うジェットファン用モータが近年トップランナー規制に対応して発売されましたね。この分野は2015年まで規制自体がなかったので高効率モータがありませんでしたが、始動電流も稼働電力も低いモータとして市場に投入することができました。
今野 近年、エネルギー価格の上昇、環境意識の高まりから「油圧」から「電動化へ」の動きが高まっています。それに加えて、エネルギーを生むモータの開発も期待されています。私達は既存のモータをマイクロ発電に応用できるシステムをご提案し、駆動源ではなく、電力を生む創エネの原動力としてモータを活かす取り組みも進めています。
阿部 見えないニーズをつかみ、新しいモータを開発するためには、開発・生産、販売・サービスの経験と知見を集約し、新しい技術を生み出すことが求められます。また日立グループ全体の大きな力を取り込んだ提案もしていきたいと思います。環境視点はもちろんのこと、これからの社会イノベーションに貢献できるモータをぜひ世の中に送り出したいですね。
大方 大切なことは、お客さまの事業の継続と発展に何ができるかという視点だと思います。また新しいモータの開発とともに、社会基盤を支える製品として、品質上わずかな問題があれば、絶対に世に出さないという厳しい姿勢も忘れることはできません。
今野 そうですね。日立は創業以来、いつも社会への貢献を一番大切にしてきました。この精神のもと、事業の柱であるモータをさらに盛り立て、支えていきたいと思います。

画像: 習志野事業所 所在地 : 〒275-8611 千葉県習志野市東習志野7-1-1

習志野事業所
所在地 : 〒275-8611 千葉県習志野市東習志野7-1-1

画像: 1.東洋一のモータ工場といわれた習志野事業所 2.大型ポンプに使用されているモータ 3.完成したモータ 4.手巻電工ライン 5.DS棟のPMモータ製造ライン 6.水中モータ

1.東洋一のモータ工場といわれた習志野事業所 2.大型ポンプに使用されているモータ
3.完成したモータ 4.手巻電工ライン 5.DS棟のPMモータ製造ライン 6.水中モータ

社会を支える
産業用モータのフルラインアップ

1910年、国産初の五馬力誘導電動機1号機が完成して以来、「モータの日立」として産業界の発展に貢献。現在では社会基盤を支えるキーデバイスとして、多彩な種類と機能を持ったモータを社会に送り出しています。

画像: 社会を支える 産業用モータのフルラインアップ
画像: ザ・モートルNeo 100 Premium

ザ・モートルNeo 100 Premium

トップランナーモータ
トップランナー規制(プレミアム効率:IE3)に対応
高効率と省エネをさらに追求した日立トップランナーモータ
(効率クラスIE3、0.75kW~300kW)
○ 取り合い寸法(枠番号、軸径、脚穴位置など)は標準効率モータと同一
*132kW以上は受注生産対応品のため、個別にお問い合わせください。
○ 全機種(屋内/屋外型)に「耐熱クラスF」を標準採用
○ コンパクトで高トルク
○ 屋外型機種は保護構造「IP55」を標準採用(132kW以下)

画像: ECOHEARTシリーズ

ECOHEARTシリーズ

高効率永久磁石モータ
ロータ(回転子)に永久磁石を使用し、高効率と省エネ、小型・軽量化を実現する新時代モータ

画像: ADVシリーズ

ADVシリーズ

SERVO SYSTEM
高性能サーボエンジン搭載、超高速通信EtherCAT 対応
*EtherCATは、ドイツBeckhoff Automation GmbHによりライセンスされた特許取得済み技術であり、登録商標です。

画像: GPシリーズ

GPシリーズ

減速機付きモータ
低騒音・長寿命・複列シール構造採用機器の動力源として幅広いニーズに対応

画像: HBAシリーズ

HBAシリーズ

ブレーキ付きモータ
保護構造は、IP44(屋外型はIP55)新構造の手動ゆるめ装置採用

画像: 制御装置(左) クレーンモータ(右)

制御装置(左) クレーンモータ(右)

クレーンシステム
荷役運搬作業の合理化・高能率化に

画像: ビルトインタイプ

ビルトインタイプ

高速モータ
最高300,000min-1までの幅広いラインアップ

( vol.129・2023年7月掲載 )

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