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北海道サービスステーション
所在地 : 北海道札幌市西区琴似四条1-1-30
上:北海道サービスステーションが置かれた北海道支社のスタッフ。
下:サービスステーションの工場内(左)と雪に包まれた北海道支社の外観。(右)
広大な 北海道を駆け巡りポンプを守る
日立産機システム 営業統括本部 北海道支社 サービスグループ 技師の福士将也は、仕事のリズムを大切にしています。朝は7時過ぎに出社し、日によってデスクワークと現場での仕事を計画的に振り分け、可能な限り夕方は5時すぎに退社するように心がけているといいます。デスクワークは、チームスタッフが作成した書類の承認業務、お客さまや特約店からのメールチェック、自身の報告書や見積書の作成、さまざまな工事に関わる図面の作成、スタッフや材料の手配、スケジュール管理など多岐にわたるので、集中してこなさなければなりません。現場に出動する場合は、特約店の担当者やチームスタッフとの綿密な準備のもと、お客さまにご満足いただけるサービスの提供に努めています。
札幌市内に拠点を構える北海道サービスステーションの担当エリアは離島を除く北海道全域です。札幌市内やその近郊にお客さまが多いとはいっても、北は札幌から直線距離で約340kmの稚内市や、東は別海町、根室市や釧路市、知床半島付近にもお客さまがいらっしゃいます。もちろん南へ約300km離れた函館市周辺も主要なサービスエリアです。現在、北海道支社のお客さま総件数は約2,300件(2023年度実績)。うち、福士が担当しているお客さまは約260件です。業種は製造業を中心に乳製品メーカーや酪農家、製紙業、大型商業施設や集合住宅、その他熱供給事業所などのお客さまを多く抱えています。
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福士 将也 (2004年入社)
株式会社 日立産機システム
営業統括本部
北海道支社サービスグループ 技師
「私が担当しているお客さまは、マンションなどの集合住宅では加圧給水ユニットをご採用いただいているケースが多いですね。また乳製品メーカーでは冷却水の循環のために中型のうず巻きポンプが使われています。熱供給事業所では大型のうず巻きポンプが導入されることが多いです。マンションでメンテナンス作業を行う場合は、ポンプを停止する時間が必ず生じるので、断水すると住民の皆さまに大変なご迷惑やご不便をかけてしまいます。そういった時は、お客さまや住民の皆さまにご不便をかけないように、仮設の加圧給水ポンプを設置し、断水を防ぎます。一方、工場や大型施設では、複数台のポンプを設置して台数制御により運転しているので、メンテナンス作業中にすべてのポンプが停止することはありません。ただ、どんなポンプに対しても、突発的な断水が発生することがないように常に心がけて、使い方や据え付け場所に合わせて、長期的な視点で保守サービスをご提供するメンテナンスパックの契約や設備更新などを同時にご提案するようにしています」とサービスエンジニアの基本姿勢を紹介します。
製品のライフサイクルを視野に収めたサービスエンジニアリング
ポンプの保守、メンテナンスには定期的な年次点検が大切ですが、中には何年も点検されていないポンプが故障したとご連絡があり、突然、調査・修理を依頼されることがあります。そんな時にも福士は、故障箇所や異音の発生源を突き止めたら、すぐに他の部品も調査して、安定給水を実現することを第一に考えます。稼動年数や総運転時間を確認した上でポンプ本体の修理が必要か、制御部分の修理だけで対応できるかなどをその場で判断し、可能な限り速やかな復旧を実現してきたといいます。
「ポンプ本体のオーバーホールは、1日10時間、365日運転したとすると3年ごとに分解修理することをお勧めしています。駆動部のベアリングは寿命が2万時間とされていますが、こちらは重要な部品なので交換時期前の交換を推奨しています。制御機能を担うインバータなどは、6年から8年でのオーバーホールが推奨されているので、お使いの環境や使われ方に応じてメンテナンス時期をご提案しています」と福士は語ります。

口径200mmのうず巻きポンプのオーバーホールに取り組む福士と同僚の中野(右)。

重量物であるポンプの運搬。

サービスカーに整備済みのポンプを積み込む。
また、ポンプは据え付け場所の違いや大きさによって、サービスステーションに持ち込むか、現地で修理するかを検討します。加圧給水ユニットの場合は、搭載されているポンプは小型でかつステンレス製なので、現地修理が可能ですが、工場や公共施設の場合は大きなポンプが使われているので、整備品質を確保するためにサービスステーションに持ち込むことが望まれます。
「大型ポンプは、取り外しが困難な場所に据え付けられていることもあるので、整備が大変です。北海道支社で手がけた一番大きなポンプは口径450mm。出力330kWのモータがついていました。このポンプの場合、ケーシングを含め総重量は約4t、羽根車だけでも約200kg、その他の部品も一つが50~60kgもあります。それを5~6人がかりで分解・整備した時は本当に大変でしたね」と福士。さらに、「現地で分解・修理するのか、取り外してサービスステーションに持ち帰って整備するのかは、実際はお客さまのご都合やご要望に応じて決めます。現地で清掃するより、設備が整ったサービスステーションで清掃した方が当然きれいに仕上がりますが、お客さまの整備ルールに決められていれば、現地の据え付け状況から取り外しが困難であってもご指示通りに作業します。その場合は、スタッフ一丸となってさまざまな角度から分解方法や搬出方法を検討することになります」と語りました。

ポンプの組み立てにはホイストが欠かせない。
経験を重ねつつ探究心で身につけてきた知識と技術
ポンプのメンテナンスには機械的な知識・技術と電気・電子部品に関する知識・技術が必要ですが、福士は両分野ともに自信を持っています。「例えばベアリングはどういう構造をしていてどのように動いているかは、上司や先輩から、詳細な構造や理論を教えてもらいました。また、サービスエンジニアとしての一般的な基礎知識や技術は全社的なサービス研修や先輩方の仕事ぶりを見ながら身につけてきたものですが、自分自身が機械も電気も好きだったことも大きいですね。好奇心や探究心を原動力として自ら打ち込んで勉強してきたことが今の大きな財産になっていると思います」と語ります。さらに、福士のサービスエンジニアとしてのバックボーンには、入社1年目から大きな現場で鍛えられた経験があります。
「当時、ポンプやパッケージエアコンはもちろんのこと、空調や衛生設備など一つのビルのすべての設備の保守点検や管理などの業務をまかされました。しかもオフィスビルなので、平日は点検業務のために設備を停止することができないため、ビルの休館日にしか作業ができません。自分を含め、協力会社の方の勤務時間のやりくりに苦労しながら作業にあたるスタッフを集めて業務分担を決めたり、工程管理や品質管理にも責任を持ってあたりました。経験も浅い頃だったので、ベテランの工事関係者の方から叱られたこともありましたね(笑)」と当時を振り返ります。
しかし福士は、この経験がその後の規模の大きな案件における長期の工程管理や人員配置、安全や品質の確保に必要なスキルの基盤になっているといいます。一方、知識や技術に対する貪欲な姿勢は入社間もない頃から発揮し、先輩の仕事ぶりを見て言語化できないような仕事のコツを見るだけですぐ覚えることができ、経験はなくても自信だけはあった、といいます。
お客さまから信頼される「ベスト・ソリューション・パートナー」をめざして
株式会社 北海道日立
営業統括本部 第二営業本部 インフラシステム部 第一課 岡田征也
当社は日立グループの特約店として、1962(昭和37)年の創業以来、北海道全域を対象とし、日立グループ各社の製品・システムの販売やサービスを、多くのお客さまに提供してきました。今では、培ってきた技術・ノウハウを活かして、各種設備工事、システムの設計、施工、ソリューションビジネスなどを展開する総合エンジニアリング企業に成長したと自負しています。私自身はインフラシステム部に所属して、日立産機システムさんの製品をメインとし日立グループの製品を幅広く取り扱うとともに、元請けとして管工事や電気工事を手がけています。
福士さんとは長年パートナーを組んで、お客さまの設備のメンテナンスはもちろんのこと、製品のライフサイクルにわたって持続的な価値をお届けできるような新たな提案に取り組んでいます。普段の仕事において、福士さんがお客さまのご依頼に対して首を横に振るところを見たことがありません。また、お引き合いをいただいてからの対応が素晴らしく、現地調査を経てからお見積りを提出するまでの仕事ぶりにはスピード感があって、見習いたいところが多いですね。また、お客さまのお困り事や求めていることの背後にある真のニーズを把握する力も抜きん出ているので、いつも大いに頼りにしています。

北海道日立の岡田(左)と自動給水ユニットIJ3に関する提案資料を検討する福士。
株式会社 北海道日立 https://www.hitachi-hansya.jp/hokkaido-hitachi/
〒060-0905 札幌市東区北5条東5丁目1番地11
後進を育成するとともにサービスのレベルをさらに高める

後輩エンジニアの佐藤(右)のプレゼンテーションを指導する福士。
福士は、サービスグループのリーダー的な存在として、自身が得意とするポンプ以外にもモータやインバータの修理や保守に加えて、空気圧縮機の入れ替え工事で工事全体を取りまとめる場面も増えています。また後輩を指導する立場にあって、若手のサービスエンジニアの育成にも力を入れています。取材当日は、若手サービスエンジニアの佐藤大耀が社内で発表する論文作成と、そのプレゼンテーションの指導にあたっていました。
福士同様にポンプを担当する佐藤は、今、ポンプとインバータに関するサービス技術のスキルを向上させようと努力しています。
佐藤は、陸上ポンプと水中ポンプに関する現場経験が浅いため、構造やサービス技術にまだまだ不安があると感じているので、現場作業に加えてサービスステーションでの分解整備の経験を重ね、構造やサービス技術を身につけていきたいといい、「インバータについては、製品知識や構造や理論の理解がまだまだなので、OJTにより知識や技術を身につけ、省エネ提案のスキルを高めたいと思っています。まずは、インバータの製品知識を深め、お客さま先での省エネ稼動の実現に貢献していきます。いずれにしても福士さんにはもっともっと教えていただきたいですね」と語ってくれました。

うず巻きポンプ(JC2形)の出荷点検。
福士の上司であるサービスグループ 主任技師の佐藤恵一は、「福士さんは経験豊富で、知識、技術も申し分なく、部下思いで、チームのメンバーをまとめてくれるので、大変頼りにしています。サービスエンジニアが取り扱う製品の多くは、長くお客さまにお使いいただき、事業発展に貢献するものばかり。事業に欠かせないので安全、安定した稼動を守るためにも、製品のライフサイクルにわたる設備監視サービス『FitLive』や、設備・機器を守るメンテナンスパックの契約の普及もさらに力を入れていこうとしていますが、これも福士さんが率先して取り組んでいます。今後も北海道支社はもちろんのこと、当社のサービス部門を背負っていくような存在になってほしいと思っています」と期待を寄せています。

サービスグループ 主任技師の佐藤(左)とメンテナンス計画を検討する。
福士は、「これからも、お客さまがお困りになっていることに対して、最新技術も駆使して一番価値あるご提案ができる力を高めていきたいし、後輩にそれを伝えていきたいと思っています。サービスエンジニアは大変さもありますが、それを超えたやりがいがあります。暖かくなったら北海道ならではの季節の気配や匂いを感じながら仕事をすることを楽しんでいきたいと思います」と抱負を語ってくれました。

FitLiveの監視画面。監視データを分析することで、状態監視だけではなく最適運転を提案することができます。
設備監視サービス“FitLive”でリアルタイムに各製品の稼働状況を把握。
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北海道サービスステーション[ポンプ編]](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783708/rc/2025/01/11/6f32ee4d358fc9ae2544bf274e72da7a94785438_xlarge.jpg)
◆ PCやタブレット端末でいつでも監視状態が分かります。
設備の温度・圧力・電流などの稼働データをいつでもどこでも確認できます。また、お客さまの指定した販売・保守会社との情報共有も可能です。
◆ 産業機器の警報やメンテナンスのお知らせが自動でメール送信されます。
点検時期のお知らせ、警報・故障発生を自動でメール送信します。点検漏れの防止や、故障発生時の早期対応に役立ちます。
◆ 産業機器の稼働データはクラウド上に保存されます。
自動保存されたデータは、記録日時を指定してグラフ化やファイル出力が可能です。トレンドグラフにより温度などの上昇傾向が見える化され、予防保全、故障原因の早期究明に役立ちます。
安定稼働のための早期異常発見&対処で設備ダウンタイム短縮
状態監視により迅速に対処方法を検討できるので、保守作業にムダが生じません。

FitLive導入前後のフロー比較(イメージ)
( vol.134・2024年5月掲載 )